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オウタ 沼ステージ

看板


第3ステージ トランスペアレント アニマルズ


以下のステージ内にいる動物から鍵を入手して、ボートで第三キャンプ場へと向かえ!


動物園とかにあるような、園内マップに『花園ステージ』や『沼ステージ』、『崖ステージ』



オウタ「んー色々書かれてるけど。正直どこでも良いな」



オウタ「だからー、1番手前のステージでいいや」




ーーーーー



沼ステージ。じめじめした空気に、水分をたっぷり含んだ土。雑草なのか草がボーボーと生えている。


ずちゃ、ずちゃっと鳴る地面を踏み。道なき道を進む。



オウタ「マップを見た限りコッチの道で合ってるハズ」


オウタ「ん~、この感じは汚い沼だろうなぁー」



オウタ「まぁそうだよな、沼って汚いイメージあるよなー」


オウタ「ドロドロしてさぁ、1度足を踏み入れたら抜け出せないヤツなー」



オウタ「でもさぁ、ほんとはさ、キレイな沼もあるんだぜ?、俺知ってるもん。調べた事あるからさぁ~」



自分で選んだ道だ。だから前に進む・・・が。


ぬちゃぬちゃと足を沈めながら地面を踏み進んで行く度、選択しくじったなぁ!と思わざるえなかった。



そのせいか、1度自然と独り言を漏らしたら、バケツに穴が空いた水の様に、我慢してた思考が漏れ続け、ブツブツと喋り続けてしまっていた。




オウタ「はぁ~、引き返そうかなぁ~・・・着いちゃったけど・・・」



目の前には底が目えない茶色い沼が目の前に広がっていた。


大樹が3つ生えていて葉っぱの緑も濃く、より汚く見えた。




オウタ「気分の問題かぁー?それで?ココで何するんだっけ?」


オウタ「そうだ、動物だ、ココにいる動物を倒して鍵を手に入れるんだろ?」


オウタ「昨日のカンガルーみたいだったら、ちょっとキツイぞ・・・」



キョロキョロと当たりを見回す・・・すると、ゴポッ・・・コポッ・・・。



オウタ「ッ・・・『穴』が空いたぞ?あそこの沼のあたりだ」



視線の先にある沼に不自然な穴が動いていた。そう動いていた。



オウタ「動いてる。『穴』っていうのは間違ってるな。でも『迷彩状態』の動物って感じでもない」


オウタ「穴っていうと『丸』をイメージしちまうもんけど、でもアレは長方形っていうか・・・アレだよ・・・アレ」



この『形』の動物ってなんだっけ?と考えていると。


その動いてるものがオウタの方へと向かってくる・・・。



オウタ「アレだよ・・・アレ・・・そうだ!ワニだっ!」



ワニの『形』をした『穴』が沼から陸へと上がってくると、ワニの『重さ』と『形』を示すように土が、変形していく。


車が通った後にタイヤ痕が付くように、もしくは、オウタ自身の『足跡』が残るように・・・変形する。



ズチャ・・・ズルッ・・・っと。足跡で体の大きさが判る。


動物自体が見えないのに。今まさにオウタの方へと・・・走ってくるッ!



オウタ「大丈夫、視える!」



能力のおかげで動体視力が上がっているオウタは、透明だが、ペットポトル越しに向こう側を見た時の感覚を瞬時に理解した。



オウタ「見えないけど、向こう側が見にくい『輪郭』のみでお前が判るぞ!」



ワニが口を大きく開きながら向かってくる!



オウタは構える!


オウタ「いつでも来い!お前の口内から『穴』をブチ」



ブチ空けてやる!そう言おうとしたが、言葉にしたのは『ガッ・・・』という言葉にならない悲鳴だった。


横っ腹に何に噛みつかれた・・・いや、そんな優しいもんじゃない。普通に喰われた。


体の中に『歯』がある事を感じる。肉を嚙みちぎられる感覚・・・。



さらに、迫ってきたワニに・・・。オウタの意識は暗転した。




ーーー



ベキッ!バキッ。グチャ・・・己の体が本来曲がらない方向へと強制的に曲げられ、咀嚼される・・・。



オウタ「ハッ!・・・はぁ、はぁ・・・」



その映像を見て、跳ね起きるっ!


起きた場所は、『沼』の中心にある大樹の上だった。



1人分ギリギリ寝転べるような、異様な育ち方をした木だった為、飛び起きた反動で落ちそうになる。



オウタ「ちょ、ヤバっ!・・・あっぶね、落ちる所だったぁ・・・」



ギリギリでバランスをとる事に成功し、なんとか座り直す。



オウタ「ふぅ、良かった、よかっ・・・おいおいおいおい」



落ち着こうと思ったが、視界に入った異常な状況が目に入り、速かった心拍数がさらに加速した。


ソレは、沼にワニの形をした穴が『複数』、木の周りを泳いでいた所だった。



オウタ「ワニだけじゃねぇ、もっとデカイのもあるぞ」



最初にみた『ワニ』の大きさだけじゃなく、オウタがなんとなく判るレベルで『カバ』、『ヘビ』などが沢山いた。



オウタ「俺が『餌』なんだ・・・ここから脱出する為には『沼』を、泳いで?泳ぐ事なんてできるのか?


オウタ「『動物』の形をした穴を見た感じでも、『底』が見えないぞ・・・ドロドロだろうから、絶対にスピードでは勝てない」


オウタ「『ワニ』も『カバ』も、映画で言ってたよな?人間が出す速度なんて軽々と超えてくるってさ、本当かどうかは分からないけどさ」



絶体絶命・・・。全くどうしたら良いか分からない。



さっき死んだ事を思い出すと、『1匹』づつなら倒せるけど、戦ってる間に『複数匹』と戦う事になる事は目に見えてる。



陸地だったらワンチャンあると思ってるけど・・・いや、ちょっと待て。この『敵』の中から『鍵』を手に入れないとダメなんだ。



忘れてた。ここから安全に抜け出す方法を探してたけど。『鍵』を手に入れる為に片っ端から倒さないとダメなんだ。



それとも、『特別な1匹』がいるのか?それを探す為の『ステージ3』なのか?


いやいや、敵が鍵を『守ってる』パターンもあるぞ?


宝探しのように、沼の中に『落ちてる』パターンとかも・・・やべぇ・・・考えれば考える程、分からなくなってくる。





くっそぉーやべぇー。本当にどうすれば良いか分からない。




オウタは脱力し寝転がる、木々の間から見える空を見上げる。


沼ステージに入るまでは青々としていた空が、少しずつ雲がかかり、今は完全に雲しかなく、気分が沈む灰色になっていた。



いつから?太陽の光が差さなくなったんだろう?


いつから空が灰色だったんだっけ?



太陽が見たい。キャンプ場に行きたい。



ココは狭すぎる、窮屈だ・・・。ストレスが溜まる。




何も思いつかない?思考停止してるからだ。


だけど、どうすれば良い?沼に飛び込んでみるか?そんな事に意味があるのか?



ワニだって複数体いるんだ。沼に足をツッコんだ瞬間、喰われるだけ・・・『死』しかない。




無意識だった。ポケットに手を入れて携帯を握っていた。



オウタ「・・・」


オウタ「そうだ、『大きな流れ』、『運命』・・・『ホワイトボックスの中身』・・・」


オウタ「義母さんが手に入れられなかったモノ・・・」



オウタ「欲しい・・・欲しいモノが手に入る・・・」



オウタ「そうだった、そうだ、『欲しい』から『動くんだ』」



オウタ「思い出せ。新しいヒントがあったハズだ。『大きな流れ』を思い出せ」




【フック「モグラ・・・いやソレは卒業か。次はダクトの方が良いか」】




オウタ「はぁ・・・また義母さんのアドバイスのおかげでクリアできそうだよ」




ーーーー



ダクトとは、気体を運ぶ管であり、主に建築物内で空調、換気、排煙の目的で設備される。



それがナニ?俺の能力は『殴った所に穴を空ける』能力だ。


なのにフックはヒントとして『ダクト』と言った・・・。



第2ステージは『能力の成長』だった。モグラは『穴を掘る』という着想から


穴の行く先を変えて『攻撃』できる事を実証した。



じゃあダクトは?『攻撃』っぽくはない。だけど『どこか』から『どこか』に繋がってる『穴』だとすれば・・・。




オウタ「俺の能力は『最強』かもしれない。だけど、それじゃダメだ。そうだろう?」



自分に言い聞かすような言葉。独り言。





そう言って。オウタは沼に飛び込んだ!


そして『沼』の水面を殴る!



ポコッっと拳大こぶしだいの穴が空く!その穴は『沼の底』にある地面へと進む。




ズボッ・・・っとオウタは沼へと沈んでいく。


水面に向かって殴る必要があった為、先に顔が沈んでしまうのは仕方ない事だった。


少しずつ、少しずつ・・・沈んで行く。



呼吸ができない。酸素を確保する為に両手を顔の方へと持っていこうとするが。沼の中がここまで体を動かす事ができない事を痛感する。



オウタ(沼の中がこんなに動きにくいとは思わなかった・・・でも)


能力を発動させる、右の拳が『触れている部分』から口元までの『沼』に『穴を空ける』。さらに『モグラ』の性能を利用して『口元から地上へと穴をあける』。


オウタ「コレで酸素を確保したぞ」



オウタ「思い出したんだ。第2ステージでイヌを殴らずに『穴』を空けた事をさ」


オウタ「俺の能力は『殴ったモノ』じゃなくて『触れたもの』だったんだ」



だから水中で触れている部分からモグラが穴を掘る要領で、顔に、そして水面へと『穴』をあけた。



閉じない理由は、穴を『空け続けている』からだ。




ワニやカバ、ヘビが、ここぞとばかりにオウタの方へ向かってくる!



だが、オウタに辿り着く事はなかった。



1度目に空けた『穴』が底へと到達し、さらに『穴』を空けた。


どこに、その『穴』が向かうのか・・・オウタはソレを『指定』した。



オウタ「『穴』は『ダクト』としても利用できるんだ、俺が『指定』した場所は・・・」


オウタ「どこかなぁ?富士山かなぁ?浅間山かなぁ?もしかしたら『太陽』かも?」



こんなにザックリした妄想・・・想像でも適用されるのか?試してみよう。


『ダクト』として妄想した『穴』はどんどん広くなっていく。オウタの想像通りに。




とにかく、火山だ、火山へと『落下』するように『穴』を空けた。




沼がコポッ、ゴボゴボゴボゴ・・・・どんどん、しかしゆっくりと。いつの間にか渦巻いて、穴に吸い込まれていく様に落下していく。



沼にいた動物達は巻き込まれて、地上にいる動物もオウタを喰らう為に沼に入ってくる・・・その行為が意味が無い行動だとしても。




全部!全部燃やして、鍵を手に入れる!俺も死ぬ事になるけど。


それで良い。コイツら全部殺して、沼も全部抜く・・・そしたら『鍵』も探しやすいからな。



欲しいもの為に『行動したい』。『死』が確定していても『その先があるなら問題ない』。



だって・・・ソレが『生きる』って事だろ?



なんで自分も殺すのか?




体が宙に浮いた感覚を覚える、マグマが頭上にあるのが視認できた。


透明で見えない動物達がマグマの中に吸い込まれる。俺も含めて。



ジュゥゥゥ・・・ジュッ・・・。




決まってるだろ?『成長』の為には『今の自分との決別』が必要だからだ。





『ホワイトボックス』は『絶対に手に入れるぞ!』。


『欲しい』じゃない!『手に入れる!』



今決めた!たった今、絶対にだ!





マグマへと辿り着くよりも前に熱のせいで肉体は消滅していたが、そんな事どうでも良い事だった。




トランスペアレントアニマルズ  無事、鍵を見つけ出し。オウタの勝利

トキノ「どうしよう!?明日は私達の番だよ!?」


シゲ「なに緊張してるんだ?昨日と何も変わらないだろ?」


コウタ「たしかに、緊張する意味がわからないな。それよりも俺達はどうやって『透明』の敵を倒すんだ?」


シゲ「まぁ、なんとかなるだろ・・・真剣に取り組まなくても良いしな」


トキノ「あぁ・・・緊張するー!」


トキノが緊張する理由とは!?

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