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ステージ3 サトミvs???

サキの次に出発したのはサトミだった。



昨日と違い、1人で出発する事にこだわり、サトミは起きたら誰とも会わずにスタートした。


誰とも会わない為に、スタート地点の1番近いテントで寝る事にしたくらいには用心した。



もしオウタ達と挨拶してしまったら、1人で行く覚悟が鈍ってしまう気がしたからだ。




昨日のリベンジですわ。昨日の時間を取り戻す事はできませんけれど、今日、昨日の手に入れる事ができたハズの『成長』を手に入れる事はできるハズですもの。




サトミは看板の前で止まっていた。




第3ステージ トランスペアレント アニマルズ


以下のステージ内にいる動物から鍵を入手して、ボートで第三キャンプ場へと向かえ!





動物園や水族館にあるマップが書いてあるが、動物が書かれている訳ではなく。



現在地から進んだ先に、『崖ステージ』、『スラムステージ』、『公園ステージ』


・・・などなど、ステージ名のみが書かれていた




サトミ「さて、どうしたものかしら」


サトミ「トランスペアレント・・・って『透明』って意味ですわよね」


サトミ「だったら、敵を見つけやすい『ステージ』を選択した方が有利ですわね」




でしたら・・・ここにしましょう。



指指さした場所は『崖ステージ』だった。




・・・




視界に緑が入る中、サトミが踏みしめている場所は緑1つないカラカラの岩やカッチカチの地面だった。



足場に気を付けながら、どのステージよりも高いであろう『崖ステージ』へと向かう。


『不幸』の文字が浮き上がる瞳を、緑が生い茂る、さらに向こうへと向けていた。




サトミ「火事ですの?」


あそこは・・・『森ステージ』かしら?『林ステージ』かもしれませんわね。



緑が生い茂る中央の部分が赤く燃え上がり、煙がもくもくと上がっている。



サトミ「火を使う人と言えば、ボマーですわね」


サトミ「なるほど、考えましたわね、どんな敵が来たとしても『全部巻き込んで爆発』すれば解決ですものね」



一旦はそう考えたものの。



サトミ「ボマーの爆発って任意の範囲で、威力も任意だから、木のあるステージである必要無いですわよね?


サトミ「そう考えたら、あんまり賢いステージ選択ではないかもしれないですわね」




・・・



そうこう考えながら『崖ステージ』へとたどり着く。



サトミ「ふぅ、疲れましたわね」


サトミ「で?ここで何が来ますの・・・?」



とりあえず、崖の端へと行き下を見る。



サトミ「ふふふ・・・なんで海になってますの?」



海なんて無かった、ただの砂漠なのに、今この瞬間にも崖に向かってザザーンっと波が叩きつけていた。



そんな光景を見たサトミは、さすがに笑ってしまった。



サトミ「ふふふふふ、もう笑うしかありませんわね」



サトミ「さてと、それでぇ?何も起きてませんけど、どういう事ですの?」


サトミ「ステージは此処で合っているハズですわよね?もしかして間違ってるかしら?」



言いながら周りを見ると、枯れた木が1本づつ、離れた所にあるだけだった。



サトミ「崖に枯れた木って、本来あるものですの?ステージ上のギミック・・・ッ!?」



その枯れた木が、大きく揺れた!


それも離れている、2本の木が同時にだ!



サトミ「来るッ!始まりますわ」



カラカラに乾いた、石を砕きながら『何か』がサトミの方に接近してくる



『何か』はサトミには分からなかったが、『何か』が迫って来ている事は分かった。



何故か?『透明』だったからだ、でも『透明』だったけど、『判る!』



サトミ「アクリル板?ペットポトル?樹脂関係かしら?」


そんな透明の『物体』が迫っているように見えた。



サトミ「それにあの動き」


サトミも動き始める。2つの動くなにかの中心に向かうように・・・走る!




サトミ(サル?違う大きすぎる、多分ですけどコレは・・・『ゴリラ』ですわ)


サトミ(トランスペアレントアニマルズ、わたくしの敵は『ゴリラ』ですわッ)



走りながら


能力を発動して攻撃をくらった瞬間カウンターできるように準備を始めた。



剣先、包丁の先端、鎌や斧、槍先・・・あらゆる『近接武器』が全身の皮膚から少しだけ顔を覗かせていた




サトミ(最初からウニの様に武器を出すのはダメですわ)


サトミ(動きが制限されるし、敵を貫く事が出来ない限りわたくしに勝利は無いですもの)




カッ!カッ!ドコドコドコ!


ゴリラも、もの凄い勢いで迫ってくる!



サトミ(ゴリラの握力は人間の10倍以上あるって話ですわね)


サトミ(掴まれる事だけは避けなくてはいけませんわッ!)



透明だからか?サトミの足が遅いからか?



思ったよりも早くサトミの闘いが始まった!



初撃は・・・左右からのゴリラパンチから始まった!



サトミの左右から同時に、右フックと左フックが同時に顔面へとぶち当たる!




サトミ(ッ!?)


一瞬カウンターが遅れて顔面が潰れたかと思った。だが潰れる事なくカウンターが発生しゴリラの拳が触れた瞬間、剣やら槍やらが目一杯伸びてゴリラの拳を貫くと同時に押し戻す!



サトミ(カウンターは成功しましたわ・・・でも・・・)


サトミ(頭が・・・割れそうですわ!押しつぶされそうですわっ!)


サトミ(ッッッッッ!)



カウンターが成功したのに関わらず、頭を万力で挟まれている感覚が襲い掛かる!



サトミ(知らなかったですわ。思った以上の『パンチ速度と圧力!』)




どう表現すれば良いか分からない悲鳴があがる。


それは透明のゴリラもそうだった。




ゴリラ「ウホォォォォ!」



透明だけど声は聞こえるようだ。痛みは無くても脳は揺れる!


グラグラする視界の中でのゴリラの悲鳴はさらに頭に響いた。



サトミ「ッッッッ!」



さらに顔面が引っ張られる感覚!



貫かれた拳をなんとか引き抜こうと引っ張ってきたのだ!


だけど、槍や鎌、素潜りで使うモリまで出ているので、引き抜く事ができないようだ。




サトミ(あの巨体の時と違って、地面や相手の腕を上手く利用して固定できない!


サトミ(このままじゃ、顔を引き裂かれますわっ!絶対させませんわ!)



このままだと、裂けるチーズのように左右から裂かれる勢いだったが、能力を解除すると、武器が皮膚へと変わり、元の顔へと戻っていく。



サトミ「わたくしの顔を傷つけようなんて・・・絶対!許しませんわっ!」



拳から血が出ているのでゴリラの位置は分かった。


サトミから見て右側にいるゴリラに向かって走る!



透明で見えづらい為ゴリラの懐に潜り込めたかは勘に頼るしかなかった。



サトミ「今ですわ!」


能力を発動し、ウニの様に武器を出し敵の体を貫いた!



ブシャァァァ!



サトミの顔を掴もうとしたであろう右腕からの出血がサトミの顔へかかる、目を閉じてしまうが発動した武器の感触からゴリラを完全に仕留めた事を、文字通り皮膚を通して感じていた。



サトミ(1頭、完全にしとめましたわ!)



思惑通りゴリラの懐へとしっかりと入る事ができたおかげで1発で仕留める事ができた、だが・・・。


ゴリラから出て来る血の量が普通じゃ無かった。



サトミ(出血量が半端ないですわ、目を開けられない。1度離れないと・・・)




そう思い能力を解除する。目を拭きながら、離れようとした。その時!



サトミは体制を崩した・・・いや、崩された。




右足首を掴まれ、引っ張られる!


ガシッ!バキボキッ!




サトミ(イッ・・・)



痛みはない、だけど判る。骨が握力によって砕かれ。繋がってる皮膚をムチやホースように引っ張られる感覚が。



体が宙に浮く。刀に付いた血を地面に向かって行う『血振り』をゴリラが行ったのだ!



能力を解除した瞬間を狙われた。骨が砕けた感覚とゴリラに引っ張られる感覚に『意識』を持っていかれた。


だから防衛の為に、能力を発動した時に見た光景は・・・地面だった!



サトミ(ギリギリ、ギリッギリもギリギリですわ!)


サトミ(まさか、もう地面に叩きつけられる瞬間だなんて)


サトミ(あと一瞬、一瞬遅かったら、地面に叩きつけられて死ぬ所でしたわ!)




ゴリラ「ウホォォォォォォ!!!!!」



最初にサトミがカウンターで与えたダメージが残る右手。掴んで地面に叩きつけようとした左手、その両方が使い物にならなくなった悲鳴をゴリラがあげる。



地面に武器を突き刺し、完全に固定化されたサトミ。


ゴリラは突き刺さる武器を引き抜こうと力を入れている。



サトミ「絶対に逃がしませんわ」


サトミ「必ず、もう、ここで・・・決着を付けますわ!」


サトミ「ハァハァ・・・ハァハァ・・・」



ゴリラ「オオオオォォッォオ」




サトミ(コイツ・・・手を引き抜こうとしているだけじゃなく、そのまま、私の足も掴んだまま持ち上げようとしていますの!?)


サトミ(それとも、わたくしの能力のせいでそうせざる負えない状態?)



サトミ(だとしたら、まずいですわね・・・)


サトミ(能力を解除したら掴まれないにしても、蹴られるかも。のしかかられるかも、逃げられる?)


サトミ(右足は潰されて、もう使えない。逃げられる理由が無い)



サトミ(くっ・・・どんな攻撃をしかけて来るか分からないから、この『状態をキープ』したいですわ)



どうする?どうする?どうすれば良い?


完全に固定化されているので戦闘は硬直状態になったが。次の1手が思いつかない。



落ち着け、落ち着け、落ち着くのよ。



お父様ならどうする?そうよ、お父様ならどうするか考えますわよ。



サトミ「お父様、この状況どうすればいいですの?」


サトミ「お父様ならどう考えますの?」


サトミ「お父様の考えた方でこの問題を解いていきますわよ」



ーーー


父との会話。


サトミ「アイツを拘束している状態で、私は『自由』に行動したいの、でも飯を与えたり、トイレの世話なんて嫌なのよ。私はただ、アイツを視界に入れず、アイツを不幸の状態をキープしていたいの」


お父様「誰かを、何かを束縛しながら自分は自由であろうなんて考えは、あまりにも身勝手だぞサトミ」


サトミ「分かってる。でも嫌いなヤツとか、目障りなヤツが居ると、どうしても考えてしまうの」


お父様「人が人を守れるのは、たった『1人』だけなんだ。もしくは『1つ』だけなんだ。なのに『嫌いな人』や『嫌いな事』に目を向けると、ソレが『1つ』になるんだ」


サトミ「なに言ってるの?お父さん『守りたいモノ』と『嫌いなモノ』は別ベクトルでしょ?それに『守る』と『攻撃』は別なんだから、一緒にするのは違うわ」


お父様「拘束と束縛が『攻撃』だと思っているなら、考えを改めるべきだぞ?サトミ。大事なのは『意識』なんだ。何に『注目』しているかが大事なんだ」


サトミ「何を言っているのか理解できない」


お父様「嫌いなヤツや目障りなヤツに『注目』するから、そう思うと言っているんだ。『成長』しなさい。そうすれば『成長』に『意識』が向くなら、不純物に目がいかなくなるんだ」


サトミ「それじゃあアイツをほっとけって事?嫌よ、痛い目に合わせてやらないと気が済まない」


お父様「そうか・・・なら。どのくらいの『デメリット』なら許せるのか自分自身と相談する事だ」


サトミ「『デメリット』を受け入れろって事ね、なるほど。『攻撃』じゃないわけだ」


ーーー


サトミ(成長とデメリット・・・。サキも言っていたわね)



サキ「能力の成長」


オウタ「穴の向かう先の操作ができる」


コウタ「体を巨大化」


シゲ「レーザー銃」



わたくしは?何が出来る?どう成長できる?


オウタとサキとの会話・・・遠距離攻撃ならカンガルーを倒せる?


わたくしは?オウタは自分の能力を『近距離』だと思い込んでいた。


わたくしも?思い込んでる?



いや。今この状況では『遠距離攻撃』にしたいんじゃありませんわ。


わたくしが望んでいる状況は・・・。


思いつきましたわ。『デメリット』を・・・受け入れますわ。




ーーー



ゴリラ「ウホッ!?」



ゴリラは驚いていた、今尚、必死に引き抜こうとしているのに。


ウニの様になっていた人間がゴロゴロと転がって来たからだ。



そう、サトミが『転がって』ゴリラを完全に仕留められる距離へと!



サトミ「目が回りますわね・・・でもコレで終わりですわ」



三度目の能力の発動で今回の闘いは終わりを告げた。



ブシュブシュ・・・・。



トランスペアレントアニマルズ  サトミvsゴリラ サトミの勝利!

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