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サトミのキャンプ 2日目

昨日と同じくサトミは、ボートに乗って温泉へと向かっていた。



疲れましたわ。ほんとうに、本当に疲れましたわ。



アクセルを踏む力が弱まっていくと、自然とボートが停止する。


まだ温泉にはついていないし、キャンプ場が視認できる程近くもない。




ふぅ・・・はぁ・・・。




何を思ったのか、靴を脱ぎ、靴下も脱ぎ始める。


それらを乱暴に放り、ボートから降りたと思ったら、膝を折り、ザバッ!と砂漠の砂に身をゆだねる。


砂がサトミの体を包み込むように凹凸に変形する。




あぁ、なんて事ですの、失態、失敗。本当に上手くいかないですわね。


わたくしのせいで死んでしまったオウタ。


わたくしのせい、だから1人で行動したんでしょ?


そしたら、誰にも迷惑もかけないし、わたくしの責任で全て終えるハズだったのに。


最後の最後で・・・結局オウタに救われる。




オウタ・・・オウタ・・・貴方はなんで、なんでも持っているのかしら。


オウタ、貴方がいると、何故か全て上手くいくと、思ってしまう自分がいますわ。


実際、カンガルー相手に何もできず、頭を抱えていた私を見つけ出し救ってくれた・・・。




額を砂に押し付ける。太陽の光が少しづつ赤になっている。熱さは丁度いい。


砂の温度が少しだけ、冷たい。



この冷たさが気持ちが良い。



仰向けになり、制服を脱ぎ始めボートの中に放り込む。


上半身が下着姿になり、背中全体に砂の冷たさを感じ始める。




悔しい。なんで貴方なの?わたくしじゃクリアできないって事なの?


巨体も・・・イヌも、ちゃんと倒しましたのに。


最後の、カンガルー・・・あんなの、あんなに大量の蟲、勝てる気がしませんわ。



オウタに助けてもらってからも、ずっと考えていますけれど・・・思い、つかない。


お父様、お父様ならどうしますの?わたくしにヒントを、ヒントをくださいお父様。




・・・。戦い、能力、それらを使ったアドバイスなんて貰った事なんて無い


当然、父からのアドバイスなんか記憶を探っても探っても見つかるわけないのだ。




熱い、暑い。太陽の熱でも、砂の熱でも無い。


コレは内側からの発熱だ。




スカートを脱ぎ、ボートへと投げ込むと。


再び、四つん這いになり、額を砂に叩きつける。


ザッ!ザッ!ザッ!




ふぅ~~。


絶対に手に入れてみせますわ。


『ホワイトボックス』・・・必ず、手に入れますわ。


お父様、貴方みたいになるために。



オウタ、貴方の理解できない『何か』を越える為に。



そして何よりも・・・勝ちたいという『飢え』を満たす為に!




欲しいっ!




改めて仰向けになり。赤みがかった空を見ながら、休憩するのだった。

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