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コウタ達vsイヌ

RQ「『勝者に栄光を、敗者に成長を』」


シゲの治療が始まった。




トキノ(シゲの死体を見ると胸が痛む。コウタが死んじゃった時もそうだった、大丈夫ちゃんと生き返る)


トキノ(心臓の心拍数が上がってるのが分かる。このままじゃ、おかしくなりそう。他の事に意識を向けないと)



トキノ「えぇっと、なんでアイツ死んだの?」


そうコウタに向かって質問した。シゲの治療を確認した後プローテの方へ歩いていったコウタ。


コウタ「コイツの攻撃を何回か受け止めた時、その攻撃を利用できるんじゃないかと思ったんだ」


そう言いながら、プローテの足を調べ始めた。


トキノも何もする事が無いので、スマホをポケットから出し、動画モードで撮り始めた。



トキノ「攻撃を利用?って何してるの?」


コウタ「パンチしても受け止められるから、どうやって倒すか分からなくて焦ったんだ」


コウタ「でも、俺の能力で『毒』を体内に入れる事ができたら勝てるって思ったんだ」



良いながら、プローテの足裏を、ぶにぶにと触っているコウタ。


トキノ(水でも入っているのかな?でもなんで足の裏?これが水虫ってヤツかな?)



コウタ「俺の能力は『薬』を作りだす事だけど。液体が入ったビンが出て来ただろ?アレは妄想したのがビンだったからだったんだ」


コウタ「今回は、『注射器』を妄想して中身を『毒薬』にしたんだ」



足裏のチェックが終わると、プローテのズボンの上から、なにかをチェックしつつ上半身へと向かう。


その姿をバッチリ撮影しているトキノ。



トキノ「いつのまに能力使ってたの!?」


コウタ「ああ、コイツの攻撃に合わせて俺の手の平に注射悍を添わせる様に創造して」


コウタ「コイツ自身の攻撃で拳に針を刺し、押し込ませる・・・これで毒が拳から心臓へと到達するって計算な」


トキノ「ちゅうしゃ・・・なに?」


コウタ「押子・・・プランジャ・・・って言っても分からないか、えっとー、注射器の押し込んでいくヤツのこと」


トキノ「あぁー!あのびゅーって押し出すヤツね!」


コウタ(ふふっ・・・なんか、えろいな)


苦笑するコウタ。



トキノ「えっと?ようするに・・・コウタの能力で倒したって事だね!」


トキノ「すごいねぇー!あの一瞬で、色々考えられるんて。私には絶対無理だよ!」


肩をポンポンと叩く。


コウタ「お、おう、ありがと」


嬉しそうに、頭をかくコウタ。



上半身を触診を終えたコウタは、目や口の中、鼻や頭を確認している。



トキノ「で?今は何やってるの?」


コウタ「トキノ、コレ、人造人間だぜ?あはは」


と笑いだすコウタ。



トキノ「??・・・えぇぇぇぇぇぇ!?」



・・・



1時間後。



シゲの治療が終わり3人はプローテの死体に集まっていた。


シゲ「マジかよ?コレって人造人間なのか?」


コウタはRQから貰った大きめのナイフで手に持ち。



コウタ「これから足の裏にナイフを入れる、この巨体の上半身は生身だけど、下半身は機械だから大丈夫だ」


そう言って、ぶよぶよしている足裏にナイフを入れると、液体がぶしゅっと出てきた。



トキノ「うわっ、アレの臭い!」


シゲ「ガソリンか?」


コウタ「ガソリンか、何かしらの液体で動いているとは思ったけど、ガソリンで動いているなら、まぁ?なんとなくあり得る気がするな」



3人で足裏の状態を見る。2つの穴が空いている、義足の裏が見えた。



トキノ「おぉーほんとだー」


シゲ「確かに義足だけどよ、義足なら人造人間じゃないだろ?人造人間ってよイメージ的にはこう・・・がっつり機械って感じ?」



義手や、義足は世の中に浸透しているので、あまり人造人間と言うのは違う気がするのももっともだろう。


人造人間の定義は、人を模した機械という事だが、シゲはふわっとした知識しかもっていなかった。



コウタ「この露出した脳みそ」


プローテの脳みそを指さしながら、頭の方に移動する。


トキノのきもちわるっ!っと聞こえたが無視して、ナイフを脳みそへと近づける。


おいおい、やめろってとシゲが言うが、時既に遅し、ナイフが脳みそへと当たる・・・当たったのだガチッっと。



トキノ「・・・この気持ち悪い脳みそって・・・機械なのぉー!?」


シゲ「まじかよ、リアル過ぎるだろ。・・・おぉぉ・・・」


機械と知ると、脳みそをペタペタと触りだすシゲ、トキノも続く。



人と判断するのは体なのか、脳なのか3人には判断できないが。



シゲ「コレは正真正銘の人造人間だッ!」


シゲはそう判断したようだ。


トキノ「あれ?でも、じゃあなんで、コウタの毒は利いたの?機械なんでしょ?」


コウタ「ナイフを入れると生生しいから止めるけど、上半身は人間の体だった、だから毒が効いたんだ」



トキノ「ふーん、なるほどねぇ、上半身だけ生身の人間で、人造人間ねぇー」


トキノ(なんでそんな風に作ったんだろう?コレって倫理的にアリなのかな?)


録画を止めた。もう充分撮ったらしい。




コウタ(少しだけ話しを聞いた事がある、人造人間を作って軍事利用するとか、しないとか・・・


いやでも、人間の肉体を使う必要がそもそも無いだろうとか。この巨体も上半身だけ本物の肉体・・・意味あるのか?


生の体が、機械以上に精密な動きが出来るとは思えないけど、銃弾を掴む繊細な動きはもしかして?)



・・・



カチカチ・・・カチカチ・・・。


機械音が3人の耳に入る。


シゲ「おい、また何か聞こえるぞ」


声を抑えながら、2人に伝える。


人造人間は倫理的にアウトなのか考えているトキノ、親の会話を思い出していたコウタは、シゲの声に思考を切り替える。



カチカチ・・・カチカチ・・・。



トキノ「聞こえたよ」


2人の背中に守られる位置へと移動しながら、また録画をスタートした。



コウタ「次は俺が前にでる、シゲは俺の援護してくれ」


前にでようとするが、シゲが腕で静止した。



シゲ「いや、さっきは油断しただけだ、俺が先制攻撃したほうが絶対効率良い」


M202に似たロケットランチャーを創造し、片膝をつき待機する。(4つの弾が出るロケラン)



コウタ「分かった」



カチカチ・・・カチカチ・・・。



通路の向こう、曲がれる角から現れたのは・・・機械のイヌだった、それも2匹。


カチカチと音が鳴っているのは、口を閉じたり開けたりする時の歯が鳴っている音だろう。



コウタ「イヌだ。いや機械か、あれも人造人間・・・じゃなくて人造犬だったりするのか?」


隙間からなんとか撮ろうするトキノが。


トキノ(おっ、ほんとだ!かわいい!)


と、少しだけ撮れた所で。



シゲ「関係ねぇ、アレは俺達を殺しにきた敵だぜ」


バン!バン!バン!バン!いっきに4発発射する!



射出された弾が1体に対し2発が向かって行く、その弾に、ビーダマの様な綺麗な瞳をギョロギョロと反応させ。


ワンワン!ワンワン!と口を動かさず電子音を鳴らし、先に着弾するであろう弾にむかって、喰らいついた!


長く太い弾丸だったので、チワワの口の大きさでは先端を咥える事しか出来ないみたいだが、何故か着弾判定されず爆発が起きない。




シゲ「なんで?なんで爆発しない」



爆発しない事にも驚きだったが、弾丸の先端を咥えたまま2発目の弾丸を軽々と避けていた。


チワワに避けられた弾は、後方の壁にぶち当たり爆発する。



コウタ「はやい」


トキノ「食べてる」


シゲ「?・・・なにを?」


シゲは後ろにいるトキノの方を向いた。


トキノは録画している画面ではなく、イヌの方をちゃんと見て言った。



トキノ「シゲが撃ったヤツ食べてるッ!」


ビシッっ指さして言った、それを見てシゲはイヌを見た。



ガリガリ食べ始めた犬が成長していく。



チワワがドーベルマンの大きさになっていく。



シゲ(やべー)


コウタ「デカくなってる・・・やばいぞシゲ、早く撃てぇー!」



シゲ(ロケランじゃ、遅いかもしれない)


速い銃を!そう思い無意識に創造したのはXM556(手持ちできるガトリングガン)に似た銃だった。


1分間に4千発撃てるガトリングガン・・・それを・・・バラララララララ!!



弾丸なんて見えやしない・・・普通なら。だけど3人の中に1人だけ見えていた人がいた。


コウタだった、さすがにスローに見えていたわけでは無いが、ブルドックになっているイヌが、何百発も放たれている弾丸を、高速で飲み込んでいくのが見えてしまった!



コウタ「シゲやめろー!」


シゲ(!?)


コウタがシゲの銃を掴み、握りつぶす事で、シゲの攻撃は止まった。だけど



目の前に居たのは、チワワでもブルドックでもない・・・ボルゾイという犬種だった



ボルゾイという犬種に馴染みがない3人だが、自分達の身長の半分よりも高いイヌ、それも機械のイヌが敵として目の前にいると・・・恐怖は倍増するものだ。




シゲ(やべぇ)


トキノ(かなり大きくなってる、ヤバイ!)



コウタ「シゲ、トキノを連れて後ろに下がって守れ!」


そう言ってコウタが前に出た!いまのコウタの丁度半分くらいの高さの敵なので優勢かもしれない。



シゲはトキノの手を掴み。


シゲ「トキノ隠れるぞっ!」


トキノ「う、うん!」



シゲ(また、しくじった・・・いや、とにかくトキノは守る)


ネガティブな思考が一瞬頭をよぎったがすぐに思考を変え、通路を曲がった所でコウタの様子をうかがった。



2匹の犬がコウタに噛みつきにかかる。


1匹がコウタの右腕に噛みついた!噛まれた状態で壁に叩きつけた!


ガチャガチャ、ばしゃーん。イヌが破壊される事なく砂の壁に埋まるだけ。



だから、まだ噛みついたまま!



ぶしゅ、っと出血しているが、痛みは無いので構わない。



バウバウ・・・バウバウ・・・・どっちから鳴る音か分からない程、鳴り響いている。



もう1匹が左足に噛みつこうとするが、身体能力を上げているコウタは、右腕に噛みついているイヌを使って、噛みつこうとしてくるイヌにぶつける!



ガチャガチャ!



コウタ(固いっ!固すぎる、壁にぶつけても、イヌ同士をぶつけても手ごたえが全くない!)



2匹のイヌが絡まる様に転がっていくと、勢いが弱ったと同時に地を蹴り、伏せの状態になる。


そして口をパカッっと開けると、喉の奥から銃口が出てくる。



コウタ(嘘だろっ!?)


次に来る攻撃に備えて顔と心臓を守るように、三角座りし。両腕で丸くなるようにガードする。



バウバウ・・・バウバウ・・・と口を開けた状態で音を鳴らしながら、バラララララララ・・・・!


イヌの口から、シゲが撃った銃弾を放ってくる、それをモロに受けてしまう。




前腕と足に・・・弾丸が食い込む。でも痛みは感じない。




感じるのは弾丸が筋肉の中に入り、貫通する事なく腕の中に溜まっていく、妙な感覚だった。


ここまで自分の体の状態を把握できるのはドーピングのおかげだろう。いい気分ではないけど。



肉体に弾丸を埋め込まれる事、数秒、シユゥゥゥゥ~と聞こえ。静かになった事でコウタは構えを解いた。


構えを解くと、自分の手に違和感を覚える。




コウタ(指が・・・動かない)


前腕の神経がダメになったのか、ガードして命は繋いだけど・・・これじゃ、もう戦えないぞ。


そう思考しながら、イヌの様子を窺うと。




コウタ(チワワになってる!弾丸を喰って大きくなったが、その弾丸を武器として射出したから、チワワの状態に戻ったのか!)



ポルゾイという大型犬からチワワという小型犬に変わった今、コウタにも勝機があるように思えた。



だけど、文字どおり前腕の中に弾丸がつまこまれ、指も腕も使い物にならない状態。


だらんと腕が垂れ下がり、ただのウエイトと化している。



シゲの能力では相手に餌を与えていく一方だし、トキノの能力で倒せるビジョンは浮かばない。



今の状況、小型犬のチワワの姿をした2匹を倒せるのは、俺しか・・・。



コウタ(どうする!どうする!)



コウタが頭をフル回転させてる間にもイヌは動く!


ワンワン・・・ワンワン・・・!



2体の犬が走ってくる、1匹は、またも左腕に向かって飛びついてきた!


もう1匹はコウタの横を通って後ろに向かおうとする!



コウタ(俺にできる事・・・もうコレに懸けよう!)


コウタにできる事、それは、やっぱり『能力』を使う事だった。



それしかない、コレ以外にない。


想像じゃない、妄想するんだ。


俺は医療の勉強をしてきた。だけど、それに囚われてはいけない。




1匹のイヌが、弾丸でいっぱいの左前腕に噛みついた!ぶちゅっと出血する。


もう1匹はコウタを通過して、転がっているプローテに噛みついた!



シゲ「やばい、トキノ下がってろ」


シゲ(くそっ!俺はどうしたら良い?銃を創っても、意味ないんだろ!?)



トキノ「う、うん」


トキノ(コウタ大丈夫なのっ!?生きてるの?アレだけ撃たれて!?)




シゲとトキノの不安は、既に必要なかった。




コウタに噛みついたイヌが、どろどろ、と・・・溶けていったのだ。


コウタ「俺の勝ちだ・・・よっしゃー」


そう言って、体を後ろに倒して地面に倒れ込む。




プローテを食べていたイヌも、ジュゥゥゥーっと湯気を沸かせながらドロドロに溶けていった。




ソレを見たシゲとトキノが終わった事に気づき、コウタの元にかけよる。



シゲ「コウタ、大丈夫か」


トキノ「コウタ!」



トキノが弾丸を撃ち込まれた事による傷でいっぱいなコウタを見て、また心拍数が上がる。




勝ち目の見えない状況からの勝利に2人は驚きながらも、静かに、戦闘が終わった。




コウタ達vsイヌ コウタ達の勝利!

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