『かくれんぼ』
『夏のホラー2021』の参加作品となります。
なんか、締め切りまで残り18分くらいらしいです。
小さな頃、夏休みになると田舎へ
泊まりに行くのが恒例でした。
今考えてみれば、親が共働きで
昼間は誰も居ない状況なら
子供1人を置いて仕事には行けないので
祖父母の家に泊まりと言うか
預けられていただけの事ですけどね(笑)
と言っても、別に海は無いし
遊ぶところだって無い所です・・・
あるのは裏山の竹林と綺麗な小川くらいで
いつも退屈なお泊まりでしたが・・・
その日も、私は独り竹林で遊んでいると
少し離れた場所で楽しそうに遊ぶ声がしたので
聞こえてくる方へ歩いて行くと
私と同じか、数歳年上の子達の姿が見え
こちらから声を掛けたのは覚えてます。
「ねぇー! 何して遊んでるのー?」
少し離れた所からでしたが声を掛けると
4人居たうちの1人が私に気が付き
向こうも私の方へ駈け寄ってきてくれました。
「良かったら私も混ぜて?」
子供というのは、初対面とか関係無しに
直ぐに友達になってしまうもので
みんな一緒に遊んでくれる事になりました♪
「何して遊んでいたの?」
聞いてみると、特に何かをして居たわけではなく
何となく遊んでいたらしいです。
でも、いつも遊んでいるなら
それはそれで飽きているだろうから
結局、どこの子だって何となく遊ぶ感じに
なるのだと想います(笑)
「それならっ! かくれんぼとかどう?」
かくれんぼだって
やり尽くして飽きているかもしれませんが
新参者の私が入ることで少しは新鮮な
かくれんぼが出来るのでは?
とか想ってみたりの提案だったのですけど。
「えっ? 最初、私が鬼?」
地元ルールなのか分かりませんが
言い出した人が鬼をするらしく
最初から私が鬼になってしまいました。(汗)
「もういいかい?」
100、数え終えて呼びかけても
何も返ってこないので、かくれんぼスタートです♪
「う~ん 向こう側が怪しいかもっ!」
この竹林でかくれんぼをするのは初めてですが
毎年、独りで遊んでいたので少しは位置や地形は
何となく分かってました♪
「あっ! 見つけたっ!」
かくれんぼは、1人を見つけると
近くにも隠れている場合が多く
それほど離れていない所で
「見つけたっ!」
やっぱり、もう1人見つけることが出来ました♪
けれど、あとの2人は近くには隠れていないようで
直ぐには見つけられません。
「どこだろー?」
さすが地元っ子なのでしょうか?
かなりの時間探し回ってますが全然見つけられなく
どうやら私の負けです。
「もう、降参! 出てきてよー」
かくれんぼで初の降参!?
でも、それくらい探しても
あとの2人が見つけられなかったのです。
「あっ、どこに隠れてたのー?」
2人とも距離としては見えないところに
隠れていたわけではなく、すぐに出てきましたので
単に私が見つけられなかっただけの様です。
ある意味かくれんぼのプロなのでしょうか?(笑)
「全然見つけられなかったよ・・・」
1度、全員集まり再度かくれんぼスタートですが
鬼はもちろん! 降参した私です(泣)
「もういいかい?」
再び100を数え終えて、呼びかけても
返事が返ってこないので2回戦目のかくれんぼが
始まりましたけど・・・
「えぇー 見つけられないっ!?」
先程とは違い、最初の1人を探すのにも
苦戦してしております。
「ホントに、どこ!?」
かなり念入りに竹林を探し回り続け
時間は掛かりましたが何とか1人は見つけましたけど
結局3人を見つける事が出来ず
2回連続で降参した私でした。(泣)
「みんな、一体どんな風に隠れているの!?」
再び、全員が集まりましたけど
今度こそ4人とも見つけなくては
3回目の降参になってしまいます(泣)
「今回は全員みつけるっ!」
かくれんぼで3回連続で降参とか
聞いた事がありませんので
何としても見つける為
その時は、子供ながらに全神経を五感へ
集中していた気がします。
「もういいかい?」
再び100を数え、呼びかけてから気合いを入れ
3回戦目! 先程の10倍以上念入りに探し始めますっ!
「えぇ~(悩)」
がっ! まさかの1人すら全く見つけられません。
いくら耳を澄ましても、少しでも風が吹けば
揺れた竹がカラカラと音を立てるので
他の音は掻き消してしまい何も聴き取れませんし
数の多い竹は視界を遮るので遠くに居る姿は
余計見つけられません(泣)
「もう無理かも・・・」
正確な時間は分かりませんが
たぶん1時間近くは探し歩いたと想います。
それだけ探したのに1人も見つけることは出来ず・・・
「ホント降参っ! 1人も見つからないっ!」
本当に信じられない程、上手に隠れている様で
私が降参宣言すると、見つけられない距離ではない所から
みんなは出てきて、また全員集まりましたけど
「もう、私の負け・・・ 鬼を交代して欲しい・・・」
次、私が鬼をやっても
絶対に見つけられないと分かったので
鬼の交代をお願いし他の子に代わってもらい
次は私も隠れることに!
「今度は私が見つからない様に隠れなきゃ」
私の代わりに鬼に変わってくれた子が
数え始めると、みんな一斉に四方八方へ走り出し
何気なくみんなが走って行く方向を
目で追っていたのですが・・・
「あれ?」
それ程遠くない所を走っていた子ですが
少し太い竹の脇を駆け抜けたところで姿を見失い・・・
「他の子は!?」
かろうじて、走る背中や腕が見えましたが
それらの姿も直ぐに竹の後ろへ消えてしましました。
「3人とも見失った・・・」
と、感心している場合ではなく
私も早く隠れないといけなかったのですが・・・
「あれ・・・?」
早く隠れないとダメなのですが
私はその場で立ち止まり、辺りを見回し
後ろを振り返るとそこには。
「鬼・・・?」
まだ数え始まってから
それほど経ってないハズなので
ココから鬼の姿が見えなくなる距離までは
私も離れていませんし。
いくら風が吹いて竹や葉の音がしても
数える声が聞こえなくなる程ではありません。
「・・・でも誰も居ない」
3人は既にどこかへ隠れてしまったようですが
私には見つけることは出来ませんし
鬼を変わってくれた1人も数えるのをやめたのか
数え終わったとしても「もう良いかい」と
聞こえて来ないので・・・
「かくれんぼ・・・ 終わり?」
結局、鬼を代わってもらったのに
私がみんなと鬼を探し回ったのですが
夕方になっても1人も見つけられず
その時は、勝手にみんな帰ってしまったのだと
想いましたが・・・
◆◆◆◆◆
毎年、お盆になると今でも何日か泊まりに来ますが
さすがに、小川や竹林で遊ぶ年齢ではありませんし
あの日以来、竹林の中へは13年間行ってません。
「かくれんぼ・・・」
子供の頃の記憶。
どこまでが正確なのか分かりませんが
今想い出してみれば、あの4人の子供達の服って
私が着ていた服とは全く違っていたし
靴とは別の履き物だった様に想えます。
「単なる私の記憶違い?」
あの日の事をゆっくり想い出しながら
2階の窓から眺める裏山の竹林は
今もあの頃と変わらずに、風が吹けばカラカラと
音を立て竹が揺れていていますが・・・
たぶん、この窓から見える竹林のどこかに
今も4人の子供が隠れている。
最後までお読み頂きありがとうございました。
もし、お時間があるのでしたら
他の作者さんの『夏のホラー2021』作品を
引き続き読んで貰えたら良いな~って想っております。
にゃはは~♪