表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/109

第32話 イリスは嘘をついてもバレバレです。

信之は失念していた。


ショッピングモールでイリスと信之がデートをした際、店員に見られていたことを。



ーーーーーSNSにてーーーーー

「神谷イリスさんが〇〇のお店に来た!!」


「え!マジ?なんかの撮影?」


「違う!マスクとメガネと帽子で変装バッチリな男性と来て、イリスさんが色んな服を着てファッションショーしてた!」


「そうなの!?どこかのアイドルとか俳優か?」


「分からないけど、体はがっしりしてて、イケメンな雰囲気出てたよ。顔全く分からなかったけど雰囲気は出てた!」


「雰囲気言い過ぎ。」

ーーーーー


イリスが男と2人で服屋に来た事がSNSにて瞬く間に拡散され、デート疑惑としてニュースにもなった。


その情報を取得したイリスが所属している事務所は、イリスを呼び出した。


「イリスちゃん、この前のお休みの日に男性と2人でデートしているというニュースが表沙汰になりました。これは事実ですか?」


事務所の社長がイリスに問う。


社長は女性でイリスの理解者であり、ゴブリンに襲われた時も一番に心配してくれ、イリスのお姉さんのような存在でもある。


「社長…、報告せずにすみません。そのニュースは本当です。一般男性の方と現在付き合っています。」


その言葉に、社長は眉間を押さえる。


「はぁ~。最近、自宅にいないって話を聞いていたから、てっきり実家にいると思っていたのだけれど、もしかして今いるのはその彼氏君の家?」


「はい…。あの人が病院から脱走したと聞いた日から、彼の家でお世話になっております。」


あの人というのは悠助のことであり、彼というのは信之のことだ。


「そもそもその彼とはどこで知り合ったの?以前は全くそんな気配なかったと思うんだけど、最近じゃない?」


「えっと…その…最近です。」


イリスは返答に困る。出会いなどを話してしまった場合、信之がピエロであることがバレてしまう可能性があるからだ。ピエロは大鎌を所持していた為、銃刀法違反として警察は捜索中だ。なので信之との出会いについてはあまり触れてほしくはないイリス。


「ふーん。…そういえば、イリスちゃん三回もピエロに救われてるわよね?」


社長は鋭い目でイリスを睨む。


イリスは核心を突かれたと思い動揺し、頭が真っ白になった。


「ちちち違います!信くんは、ぴぴっぴピエロさんじゃありません!凄く強くて凄くかっこいいけど、ピエロさんじゃありません!」


頭が真っ白になったイリスは否定したが、何故か一緒に自分の信之に対する気持ちも吐露する。


「…」


沈黙が流れ、自分が言ったことを理解したイリス顔を赤くする。


「はわわ…。あの、あの…。」


「はいはい。わかった、わかったご馳走様。余程ラブラブということは理解出来たわ。」


「うぅ…。」


社長の突っ込みに何も言えずに顔を赤くしたまま俯くイリス。


「でも、これから大変であることは認識しておいてね。イリスちゃんとは特に彼氏を作っては行けないという契約は結んではいないけれど、イリスちゃんは今や日本のトップアイドルで、そのアイドルに彼氏が出来たなんて大ニュースだし、ファンも離れたり罵倒してくる可能性もあるからね。」


「はい…。そこは覚悟しています。」


イリスは社長を見る。その瞳の強さから社長はイリスがしっかり覚悟を決めていると踏んだ。


「わかった。それなら会社(うち)からの回答は、恋愛は本人に任せているってことで回答するわね。」


「お願いします!」


「じゃ、もう行っていいわよ。今日は午後から撮影のための打ち合わせよね?」


「はい!行ってきます!」


社長はイリスを笑顔で見送った。

扉が閉まったあと、社長は難しい顔をする。


「…これは確実に黒ね。相手はピエロ…か。」


頭を悩ます社長。


「これは流石にまずいわね。ピエロを何とかしないと…イリスちゃんも捕まってしまう可能性があるわ。」


ピエロは犯罪を犯しており、それがわかっているのにも関わらず知らんふりをしているイリスは、何かしらの罪に問われてしまう可能性がある。仮に罪に問われなかったとしても、世間はイリスに対して見る目を変えるだろう。

社長はイリスをかわいい妹のように思っており、そのような未来を歩んでほしくはない。


社長は、警察に気付かれる前に何とかピエロをイリスから離す方法を考えるのであった。




仕事が終わり信之の家に帰ったイリスは、社長と話した件について信之に伝える。


「なるほどね。そんな事があったのか。店員のことすっかり忘れてたわ…。」


ため息をつけながら、参ったと言わんばかりに後頭部を掻く仕草をする信之。


「うん、でも信くんと付き合った事は全く後悔してないし、むしろ私は公表したい!胸を張って信くんと付き合ってる事をみんなに伝えたい。」


「イリス…ありがとう。」


「えへへ…。」


「ただ、そうなるとピエロが問題だよなぁ…」


「そうなんだよね…。社長さん私が付き合っている人はピエロさんなんじゃないかって疑ってて、私凄く動揺しちゃったから…。」


そう言って両膝を抱えて顔を伏せるイリス。やらかしたという感じを醸し出している。


「うーん…。何かいい手が…あ!あるやん!」


信之は閃く。


「え?何か良い手があったの?」


「あぁ。絶対に俺がピエロじゃないと思わせる方法があった!」



後日、ピエロはニュースとして取り上げられることになる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ