第60回 魔王さまの依頼
マイホームを手に入れたばかりなのに落ち着けないのは主人公なので仕方ない。
「やったねぇハヤト♪それにしてもなんで爆発しなかったんだろ。」
トトっと駆け寄ってくるミサキ。
今回爆発を起こさなかったのには俺の実験の成果でもあるだろう。
「ああ、今までの魔物は強力な魔力を以て倒すから爆発すると思ったんだよ、今回の狙撃は絞りに搾った魔力を細く編み上げたものを撃ち込んだんだ。結果魔石の芯を破壊しただけに留めた。ルリコ、リリィあいつを降ろしてくれ。」
「はいっ!」
二人が力を抜くとオニキスジャイアントの巨体は蜘蛛の巣ごと下へ降りてくる。
既に錬金術師の霊は消滅したか昇天したのだろう、指一本として動くことは無い。
よし、これなら俺の考え通り上手くいくはずだ。
「これから素材を剥ぐのですか?」
「いや、このゴーレムは俺の研究に丸ごと使わせてもらう。やってみたいことがあったんだよな・・・。」
「あ~ハヤトがこうなったらしばらくはお熱だわ。」
俺はゼロムキャリアーにゴーレムを縛り付けてもらうとマイホームに運ぶことにした。
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後日パーティ全員で家の探索を兼ねて掃除をしていると地下への階段が屋敷の裏にあると気づいた。
わざわざ外に出て、裏口からも離れた倉庫の地下にあったため全く気づかなかったが倉庫の地下室ではなく明らかに母屋の地下に続く階段に歩を進め魔石灯で照らしてみるとそここそが錬金術師が主に使っていたであろう秘密の工房であった。
よくよく見れば例のゴーレムが埋まっていた穴とも繋がっているようだ、発進口だったのかもしれないな。
「となれば書斎に併設されていた工房はカモフラージュかサブ工房か?」
「ハヤト~なんか色々材料みたいなもの沢山あるぞココ。」
「危険物があるかもしれないからヘタに触るなよ?」
「あいよー。」
「なるほどのう、錬金術には明るくありませんのでよくわからない器具などもありますね・・・ハヤトさんはご存知で?」
「まあ本の情報しか知らないけどな。」
この世界における錬金術とは釜に素材をポンポン入れるだけで別のものが出来上がったり人間の命を材料にして禁忌に触れるようなものでは無い、アニメやゲームじゃあるまいし。
それは科学知識に近いモノだ、それに魔力回路と呼ばれる多重魔法陣を用いることで元世界の電子回路やプログラムに近しい成果を上げられるという事は・・・あのゴーレムを俺の好きな風に改造出来るということに相違ない!
そんなふうにワクワクしているとコヨミがなにか言いたそうにモジモジしている、普段の彼女はもっとズケズケというタイプなので珍しく思っていると意を決したのか俺に近寄ってきた。
「ハヤトさん、いいえ私もハヤトと呼ばせてもらいますわ。」
「ああ、うん?」
「それでハヤト、少し事情があるのですけれど・・・私に付き添って魔帝国に行きませんこと?」
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それからリビングに戻ってヒナカさんの用意してくれた晩飯にありつく、今日はパスタの日らしくショートパスタにソースはエビのトマト煮が掛けられたものだった。
「それで突然なんだったんだ?魔帝国って確かコヨミが魔王をしてる国だよな?」
「ええ、実は掃除の間に青い鳥で連絡が来まして。至急本社に戻るようお父様からの言伝でしたわ。」
「なんかあったのかー?」
「それが・・・現在は王としての国を治めるお仕事は叔父様である宰相に委任しているのですが魔族の中には魔帝国に反発感情が強い者たちも多いのです。例えるならばオーガ族や海魔族などの武闘派が該当します。」
オーガ族というと世界樹でリリィが倒したボスがそうだったか、言葉はちゃんと通じていたが話し合いで戦いが避けられるタイプには感じられなかったな。
「そういった派閥が『魔王を排出するのは我が種族こそ相応しい!』と反旗を上げているそうで、現在もあわやクーデターも有りうる勢いらしくそれで私も招集されたのです。」
「あまりお国ごとには関わりたくないが・・・まあパーティメンバーの頼みなら仕方ないか。」
「そうだねぇ、武力行使しないと抑えられない感じなのかなぁ?」
「現在は会議室で睨み合うような段階でまだ落ち着いてはいる様なのですがいつ決裂してしまうかわからない状況のため私が一旦戻り状況を収めたいのです。」
「要はボディガードだな。」
「はい、皆様に戦ってもらいたい訳ではありません。あくまで交渉の場に着くために戻るのです。」
「・・・そう言えばコヨミは何族なんだ?」
「私は純血の悪魔族ですよ?他の種族と比べると身体的特徴は少ないですが内包する魔力は魔族一です。」
今度は魔帝国クライシス行きになるらしい、急ぎという事らしいしゼロムキャリアーですぐさま行くことにしよう。
「あっ、移動はゲートを使いますので魔導車を使う必要は無いですよ?」
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