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第58回 立ち上がる巨躯

それはまさにロボット以外の何者でもなかったという。

前回のあらすじ

ジオの妹はやはりジオの妹だった。


「ご、ごめんなさい、ボクも【退魔呪法(ターンアンデッド)】や【聖属性付与(リィンカーネーション)】とかは得意なんですけど直接の悪霊祓いとかは専門じゃなくって~。」

「まあ、除霊に専門的な知識が必要ってことはもわたし達だって知らなかったからね・・・。」


とりあえず放っておくとせっかくの我が家が廃墟になりかねないのでストップを掛けたが・・・書斎がやはり怪しいんだろうか、あの杖でトンってやってから脇目も振らずにあの部屋に向かったのは俺たちにもわからない探査能力なのだろうか?


「それで皆さんは彼を目撃したのですか?」

「ああ、リビングの窓にべったり張り付いてたんだ。」

「なるほど~なにか彼が未練を残すモノが書斎にあるようです~。リビングに一瞬現れたのも見覚えのない闖入者に反応してあらわれたのでは~?」

「まあ普通自宅に知らない者がいれば見に行くだろうな。でだ、除霊する方法はどうするんだ?」

「簡単ですよ~ようは執着する物品を然るべき場所、つまりは彼のお墓に備えれば良いのです。」

「じゃあアンタがさっきやろうとしたのは?」

「・・・ちょっとテンション上がりすぎちゃいました~。」


その後ミサキとリリィを残しめ書斎に移動しドアを開けると何故かこの部屋だけ埃が待っており、しばらく掃除が行われた形跡は見当たらない。

他は綺麗にされていたのにここだけということは当たりなのだろう。


「でもこれだけ物がいっぱいあるとどれがソレなのかわかんないなぁ。」

「もいちどお待ちください~?せいのっと。」


再びツクヨが杖を突くとキョロキョロと見回した後「コレですね!」と何やらメガネケースのようなものをパッと手に取った。

躊躇いなくパコっと開かれたケースの中には眼鏡が一つ、やはりこの子の幽霊探知には俺やコヨミでは到達できない何かを見る能力があるのだろうか・・・。


「この眼鏡なのか?見る限り魔道具でもない普通のものだな。」

「それが貴重品でもない単なる物であっても人によってどれだけ心を砕いていたかわからないものです~何に執着していたかなんて本人以外には理解し難いものなんですよ~。」

「いいことを言うわね、流石はハイエルフだけありますわ。」

「オレにとってはナイフが大事みたいなことだな!」


成程、他人がどんなに悪い評価をしようと己がその物品を如何に大事にしてたかでその物の価値は変わるものだ。

例えば人から見て気持ち悪いと言われるような趣味であろうと他人に文句を言われる筋合いはない。そういう奴こそ自分のものを貶されたら逆ギレするのだからな。


「さて~まずはギルドに帰り錬金術師さんのお墓が何処にあるのか確認しませんと~。」


『グオオオオ・・・!』


「ハヤト、何か言ったか?」「なんにも?」

「ハヤトさん、少しマズいかもしれませんわよ・・・。」


『ぐおおおおおおおお!!!』


「おわっ!?」


地の底から響くような咆哮と共に庭が爆発するような音が響く!

慌てて全員が屋敷から出るとそこには、真っ黒な巨人の姿があったのだった。

どうやら庭石に擬態していたようで立ち上がったそれはゆうに五メートルを超える巨大な姿がそこにある。


「な、何アレ・・・?」

「かっこいいな!」

「コレは・・・無数の魔石と魔鉱石の融合した軍事用ゴーレム、オニキスジャイアントですわ!!古の時代に戦争にも使われていたと記録されています!」

「錬金術師とやらはそんな研究もしてたんだな、ソレがこのタイミングで動きだしたってことは・・・。」

「ハヤトくん~先程まで書斎にあった霊がその巨人の中に入り込んでいます~恐らくはメガネケースを持ち出したせいかもしれません~。」

「そうなるよな、ならコアになってる魔石を砕けば止まるか?!」

「ええ、それが手っ取り早いですわ!」


「変身。」


【チェンジ】

レイドカードをホルダーから抜くと素早く腰に出現させたゼロムドライバーにスキャニングする。

途端に竜巻のような緑色のエフェクトに包まれ、目の前の空中に現れた魔法陣を通過するとその姿は魔人のものとなり、その顔にユニコーンを模した仮面を装着する。


『カァメンレイダァアアアアッゼロムゥッ!!ウゥインドォスタァァイルッ!!!』


【ガンソード】


そして二枚目にスキャンしたカードによってゼロムマグナムを右手、左手にゼロムスラッシャーを同時に呼び出すと牽制とばかりに頭部を狙い銃撃する!

が、軽くよろめいた程度で直接的なダメージは見て取れない。

すぐに反撃とばかりに剛腕が振るわれるがすぐさま飛び退き事なきを得る。


「アレが緑の魔人さま・・・ハヤトくん、ここで戦っては周囲の民家にまで被害が出ます!せめて何とか中央広場まで連れていけませんでしょうか!?」

「なかなか難しい注文だな、だがそこまで無理なオーダーじゃない。」


俺は更に跳躍すると庭に出しておいたゼロムキャリアーに着地、そのまま脳波コントロールによって装甲車を起動すると凄まじいエンジン音と共に車体は急加速しオニキスジャイアントへぶつかっていく!

巨人はゼロムキャリアーを受け止める、がその勢いは止まらずに背後の塀を突破して大通りに出てしまう。


「よう、魔人と巨人でドライブデートだ、異論ないよな!」

『うぉぉぉぉぉぉん!!』


今日は安息日ではないのが幸いしたか人通りも疎らな通りを広場向けて巨人を移送する装甲車。途中何度もその大きな拳で叩かれるがその程度では破壊不可能だ。


「暴れないで大人しく付き合え!」

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