閑話4 ミサキの日常
有閑階級とは社会階級の一つであり、財産を持っているため生産的労働に従事することなく、閑暇を娯楽や社交などに費やしているような階級のことを言う。(Wikipediaより抜粋)
ここはかつては・・・・・・関東地方だっけ?確かそう呼ばれてた平野のど真ん中にあるトウキョウ・ドーム。
大昔に戦争で失われたホントのドームは野球場だったらしいけど今ではその野球とかいう文化もこの国には残っていない。残ってるものは生き意地汚くこの地に残る人間の性位のもの。
ドームとは兵器で汚染された土壌から街を守る防御フィールド・・・有り体に言っちゃえばバリアのようなものでハヤトいわく「今の今まで機能してるのが奇跡みたいなもの」らしい。
この場所で生まれた私は世間的にも珍しいちゃんと両親のいた家庭だった。
口減らし・・・その家でたとえ子供が産まれても生活費がままならないため奴隷のように売られていくなんて悪習が再び根付いてしまっていたこの世界でもわたしは幸せに育てられたと思う。
17歳のあの日、わたしは学校帰りに悪ガキの親友とゲーセンに寄ってから帰ったのが運命の分かれ道だったと思う。
家に着いたわたしの目に入ったのは無惨に破壊された我が家と血まみれのお母さん、、、そして異形の化け物男に頭を片手で持ち上げられ力なく垂れ下がったお父さんの姿だった。
ショックから悲鳴も上げられずにへたりこんでいると化け物は拳銃のようなものを取り出して父に向けて・・・気づいた時には駆け出していた私はお父さんを突き飛ばしており、凶弾は庇ったわたしの身体へズブズブと入り込んでしまう。
気づいた時にはわたしはアームズに変貌し化け物の仲間になっていた。
その後はハヤトと対決して意識が覚醒するまでの記憶はない。
両親はあとから正気を取り戻したときには既に天国に旅立ってしまったようだった。家の瓦礫すら無くなっていた元我が家でしばらく泣いた。
あの時ゲーセンなんかに寄らなければ!
あの時悪友と遊ばなければ!
あの時ちょっぴり「そういや今日は虎に○○かま先生の新刊が入ってたよね?」なんて思いついてショップに直行したりしなければ!!
いや、この時代に平和に成長しすぎたわたしが稀有な例だったのだろう。
学校なんて多少の教育マシンが残っていたから行けただけ。それよりもわたしは今こうして獅子王ハヤトに出逢えたのが史上稀に見る幸運だったと信じてならない。
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「ミサキぃ!!だから洗濯物は溜めずに出せと言ってるだろうが!」
「うぇ~ゴメンなさいお母さん。」
「誰がお前の母親だ。」
わたしは今おやっさんの経営する喫茶店【アミーゴ】でハヤトと共に働いている。
とは言ってもお客さんなんて来ない日の方が多い。ハヤトはいつものアームズコアの研究、わたしはと言えばウェイトレス姿で店番しながらお宝のスマートパッドでラノベを読みながら過ごすのがここ最近のお気に入りの過ごし方だ。
そうしているとバタバタと階段を駆け下りてきたハヤトが白衣も脱がずにヘルメットを持って店内を横切っていく。
「ちょっと出てくるぞ!」
「はーい、わたしの力はいらない?」
「ピンチならすぐ連絡する!!」
あらら、ホントに白衣のまま行っちゃった。
元々は指揮官型幹部だったせいかハヤトはアームズの反応を感じ取ることが出来た。それをタブレットPCに入力して大体の場所を割り出すシステムも開発してしまったらしい。
遡れば今跨って行ったゼロムストライカーやゼロムキャリアーも彼が普通のバイクや装甲車から改造して作ったというのだから驚きだ。「わたしもバイクが欲しい!」と言った時など面倒そうな返事をしながらも翌日にはビッグスクーターのようなバイクがわたし用に仕上げられていたので驚いたものだ。
「今日は普段にまして平和だわね~。」
おやっさんは今頃先史文明の遺産があるらしい旧時代のビルへ発掘調査に行っている。
あの人はあの人で昔の機械やら本に食器などを見つけて再利用するのが得意でわたしが貰ったこのカップなども採掘品だ。元々のオリジナルはバラバラに砕けてしまってるだろうにそれをバイオプリンターを駆使して元通り新品同様にしてしまうのだから驚きである。
なんでもこの街を治めていた時代に飲んだ紅茶に感銘を受けて現代に復活させた張本人でもあるらしい。その時に飲んだ紅茶はどこから手に入れたかは不明だけど今ではおやっさんの紅茶はブランド化するほどの商品だ。
・・・まあ、今のご時世に紅茶が飲みたいなんて人はよっぽどのお金持ちか、
「こんちわー!」「あっ、店員のねえちゃんまたサボってるぞー!」「おじゃまします・・・。」
こうしてたまにやってくるこのお店を直接知ってる近所の人達や子供くらいだろう。
「はいはーい、いらっしゃいませ~ようこそ有閑喫茶【アミーゴ】へ~。」
ハヤトもそのうち帰ってきて紅茶を求めるだろう、そう考えながらわたしは小さなお客様のテーブルにメニューを持ってゆっくり歩み寄っていくのであった。
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