第52回 ルリコの想い
よく昔の方が良かったなんて言う人がいますが江戸時代でも中世オリンピアの頃でもそう遺してる方はいるそうです。
次回にて第五章完結となります!
ようやく煙が晴れた15階層には爛々と輝く赤い魔石が安置されていた。
世界樹の時との違いといえばサイズは半分以下だし天井ではなくフロアのど真ん中の台座に嵌め込まれている所だろうか。時折心臓の鼓動のように明滅しているが・・・まさかまた何か出てくるわけじゃないだろうな。
「んで、このダンジョンコアを破壊すれば・・・なんだ、【虚脱】状態にできるんだったか?」
「そうです、ですが順序というものもありますので。」
と、つかつかとコアの台座に近寄るコヨミ。
何をするのかとみているとおもむろに台座の金具?を弄り始め・・・【収縮魔法】と唱える。いつぞやジオが使っていた大型魔石を小型化する魔法だったか、みるみるうちにダンジョンコアは縮んでいき魔物から採れる魔石と変わらないサイズに変わったが彼女はさらに小さく縮めていく。
「さ、あとは貴方が取り外すだけよ。」
「俺が?そのまま持ち帰ってくれて構わないぞ?」
「なにおっしゃってるの、ダンジョンコアの所有は冒険者のステイタスにもなりますのよ?力の誇示というわけではありませんけど討伐者はハヤトさんですもの、欲がないわねぇ。」
「俺は今のところ何が欲しいってものは無いからな。」
「ハヤトは美味いものが好きだぞ?金はそれくらいにしか使ってないもんな。」
「そうですの・・・やはり面白いですわね貴方。」
台座からコアを取りあげるとやはり魔石と変わらない、差があるとすれば透明度と台座に付いていた金具の鎖まで小さくなっているので知らない者にはペンダントにも見えるかもしれないな。
そいつを台座から取り上げると今まで感じていた迷宮の魔物の気配が突然雲散霧消したかのように思えた。
タブレットを取り出しビーコンの確認を行うとやはり反応は無くなってしまっていた。
「無事このダンジョンは虚脱状態になったようですわね、こんなに浅い所になぜドラゴンゾンビなんて大物がいたか不明ですがこれでお客様を入れても問題ないはずですわ。」
「個人的には歴史の背景などと参照してみたいところだがな。今まであのボスがここから出ていかない保証でもあったんだろうか・・・。」
「ダンジョンは基本的に何らかの高濃度の魔力の吹き溜まりがダンジョンコアとなって発生すると言われていますわ。今回のように浅いダンジョンでも最終階層のボスモンスターのみが恐ろしく強いケースはままありまして、恐らくは先人が倒しきれなかったドラゴンゾンビを封印魔法を込めた高濃度の魔石で縛っていた可能性もありますね。」
「・・・それがダンジョンの発生原因になったと?」
「ええ、大型の魔物の魔石が魔力の吹き溜まりで幾星霜の時を経てダンジョンコアに変貌するというのが基本的なダンジョンの成り立ちと言われております。とにかく此度の依頼はこれにて完遂ですわ、お疲れ様です。」
「話終わったか?オレお腹ペコペコだぞー!」
「わかったわかった、帰ってメシにしよう。」
そうして俺は後に【ドラゴンスレイヤーの魔人さま】なんて二つ名で噂されるようになることなぞ露知らずにバチュラのギルドへと帰還するのであった。
「・・・決めましたわ。私の悲願をなしてくれるのはやはり彼しかいません。」
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ゼロムキャリアーで休んでいたリリィとミサキの二人と合流した俺たちは大体の過程を報告、そのままバチュラに戻っていく。
「ご主人様、お役に立てず申し訳ございません。」
「次は気合い入れるから任せて!」
「あんま気にするなよ、ボス以外は大したことなかったからさ。」
依頼の達成と魔王さまからのクエスト成功報酬、ドラゴンゾンビの素材を買い取ってもらい俺の懐はなかなかに暖まっていた。
元の世界での貨幣価値は崩壊してしまっていたためよくわからなかったが普通に一軒家くらいは買えるはずだ。
そんなことを考えながらギルドレストランで夕食を取っていた俺たちパーティの元へコヨミが歩み寄ってくる。
「皆様本日は誠にありがとうございました。これで開発も進みこのバチュラの街もより発展していくことでしょう。」
「・・・魔王さま、それなんだけど・・・あんまり変えすぎないで欲しいというか・・・。」
戻ってきてから腹が減ったと喚いていた割に食の細かったルリコが席を立つと彼女の前に行くと言いずらそうに言葉をつむぎ始めた。
「どういうことです?」
「オレ冒険者になってこの町を出たんだけどさ、たった三年戻らなかっただけで辺鄙な漁村がこんな風に変わってたんだ。」
そう呟いたルリコは窓の先の未だ煌々と魔力による光の灯る街並みを一瞥した。
既に夜も更けて他の街なら真っ暗という時間だろうに酒場やレストランなど開いている店が多いのもバチュラの特徴だ、リゾート地というもの所以かもしれない。
「たしかに貧乏な町か村かもわからなかったバチュラは儲かってみんな幸せになったかもしれねーけどオレとしては故郷が変わっちまって無くなったみたいに思ったんだ・・・だからこれ以上は・・・。」
「成程、昔の面影ということですわね。ルリコさんの仰ることも一理あります、ではこうしましょう!皆様を明日ツアーコンダクターとしてご案内したい場所があるのですがよろしくて?」
「別にいいが何かあるのか。」
「ええ、明日のお楽しみということで朝食が済みましたらまたこのギルドにお集まり下さい。」
と微笑んだ魔王はそのまま踵を返しギルドを去っていってしまった。
狐につままれたような顔のルリコだったがとりあえず食欲は戻ったようで、その日も俺たちは彼女の実家に泊まらせてもらったのだった。
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