第40回 ラヴァーロートルの味
第四章もこちらで最終話となります!
次章は閑話を含まずにスタート予定と考えております、ご期待ください。
「不安だ・・・。」
あれから俺たちはギルドへ移動するとしばらく待ってろと厨房へ姿を消したリュウガさんの料理を待っていた。
席にはいつもの四人に加え何故かサキュバス三人組もいる・・・そしてそのうちの一人が俺にべったりなのだ、隣の席に座ったと思えば俺の腕に全身を絡めてくる始末。
「ねっねっハヤトさま、ルーナも一緒に連れてって欲しいの。」
「ダメだ、火山で戦ってるの見たろ。」
「いけずなのら〜〜。」
「お、お姉様、なんであの子あんななっちゃったんだろう。」「さっき起きた時もいの一番に『魔人さまのお名前はなんなのら!』だったもの。」
「うーん・・・サンショウウオ倒した時に取りこぼしちゃってヤバい!とは思ったけど助けられたと思って惚れちゃったのかも?」
「ハヤトモテ期か?あんなちっちゃい子にさ。」
「クモの姉御、私たちはもうとっくに成人してるぞ?」「そーそー、下手したら年上かもよ?」
「ガチぃ?!」
そんなことをやっているとリュウガさんの料理ができたようだ、車輪のついたカート?で皿を運んでくる。
いつの間にか着替えてきたようで何故か彼女まで執事のような燕尾服に身を包んでいた。
「んだ、ハヤトは偉いモテてるな!ホレ、発情する前に食ってけ食ってけ!」とこちらに出してきた皿には肉のスライスが花のような形に並べられ、ハーブの香り高いドレッシングと野菜が散りばめられていた。
正直言って豪快な彼女が作ったとはとても思えない。
「まずはラヴァーロートルの炙りカルパッチョだ!コイツはウチで一番のシェフが作った自慢の一品だから安心して食え!」
「あれ、リュウガさんが作るって言ってなかった?」
「オレが作るメシは昔のパーティ仲間にしか食わしたことねぇよ!それに丸焼きしか出来ねぇからな、いつも不評だったぜ。」
どうやら今日はサーブとして俺たちをもてなしてくれるようだ、料理下手を自認してくれてるならまだマシというものである。
「じゃあ早速いただきまーす・・・うわ、生肉なのにすっごい美味しい!」
「じいちゃんに肉は生で食ったら腹を壊すなんて言われてたけどコレは美味いな!」
確かに美味い、生肉というが表面だけ焼いて香草の薫りもする。それにこのソースがまたいい、瑞々しい野菜とチーズの相性も完璧だ。
さっきまで俺にベタベタしていた隣のルーナも今は料理に舌鼓を打っている。
「次は定番のステーキだ!」
牛や豚系の魔物とはまた違った弾力のあるステーキはナイフを入れたときこそ固くブルブルと震えていたが舌に乗せた瞬間熱く蕩けてしまい、そのふんだんな肉汁が口いっぱいに広がった。熱いといっても口内を火傷する様なものではないが、まるで岩が熔けマグマとなったかのように美味しさが拡がっていく。
「コレは・・・味付けとソース自体はよくあるものなのにお肉自体が味わったことの無い変化を見せてくれますね、素晴らしいです。」
「リリィにそこまで言わせるとは・・・。」
「そしてここで変化球のポタージュだ!」
「ん?これは何も具が入ってないような?」
「ラヴァーロートルの肉は煮込むと完全にスープに溶けちまうんだが味はまた絶品だ!飲んでみな。」
変わった色のスープにパセリが振ってあるだけのそれをスプーンで口に運ぶ。
それが舌に触れた途端また先程とは違った旨みが脳に刻まれていく。味自体はステーキやカルパッチョと同じ肉と感じるのだが一緒に煮込まれた野菜とハーブのおかげで想像していたよりも後味がスッキリとしており、ビーフシチューのような見た目のくせにとてもさっぱりとしていたのだ。
「わあこのポタージュお芋のより美味しい!」「ホントだ!シチューみたいなのに全然くどくない!」
「コイツで最後だ!食ってみな!」と出された皿にはウインナー?が乗っていた。
「コイツは火山でしか採れない山ニンニクとスパイスを効かせて火山ヤギの腸に詰めた特性ウインナーだ!茹ではもちろん焼いても美味いぞ!」
「へえ・・・。・・・!?!?」
程よい弾力のプリっとした食感の皮を歯が突き破るとまさに爆発するかのように様々な味わいが口の中に溢れてきた!
今までの皿に比べ辛いのだがそれがまた美味い!添えられたマヨネーズ系のソースをかけてパンに挟んでみたがこれまた最初の一口目でパンに肉汁が染みていき風味が変わって飽きがこないのだ。
そしていつの間にか上着を脱いでテーブルに着いていたリュウガさんも料理をどんどん食べていた。
「ラヴァーロートルの肉がこんなに美味いとは思いもしなかったな・・・。」
「見た目がアレだもんねぇ・・・でもキモい奴ほど美味いのかな?」
「そうでもありません、竜種であろうと不味いものもいますから。」
「うわ、リリィ食べたことあるのかドラゴン。」
ふぅ、この街も面白いところだったな・・・次はどんなところに行ってみようか。
と、そんなことを考えているとギルドへ一匹の鳥がスイーっと入り込んできてルリコの頭にとまるとつんつんと嘴でノックを始めた。
これは何度か見たが伝書鳩というやつらしい。
青い体を持つこの鳥は魔道具を付けられた魔物の一種らしいが人に飼い慣らされ、ギルド証や住民証に込められた本人固有の魔力を追ってどんな所にでもメールや小さな小包などを運んでくれる便利な生き物である。
「いたたたたた、なんだっての!?」
「手紙が足に付いてるぞ、ホレ。」
「あ、ホントだ。えっとヒナカからか・・・えっ。」
「どうした?」
「うわ、南大陸に戻って来いって母ちゃんから手紙が届いみたいだ。お見合いがあるんだって。」
「おみ」「「「「お見合いですか!?」」」」
俺の言葉はその場にいた女性陣のハモリによってかき消された・・・。
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