第38回 荒れ狂う溶岩湖の主
往くぞ!!火山へ!!
「だ、ダメなぁなんだってば!」「そ、そうだよ!」「お姉様たちでも流石にあれ以上進んだらやべぇのら!」
「だーかーらー、それがなんでなのよ?」
「う・・・ルーナわかんねぇのら。」「里の掟なんだもん・・・。」「お姉様ごめんなさい!」
そう言うが早いか三人は元いた廃坑の奥に小さな羽根をはばたかせピューっと飛んでいってしまった。
余程慣れてなきゃあんな狭い中飛ぼうなんて気にはならないだろうな。
「何か隠してる・・・というか護ってるように見えるな、里がどうとか言ってたが。」
「魔族の見た目と歳がどれくらい離れてるか分からないけど・・・あんな小さい子達に押し付けるような掟なんかロクなもんじゃないわよ!」
「それにしてもご主人様へのあの態度は許せません、尻たたき位の罰は必要でしょう。」
「リリィ!?・・・とりあえず追うか。」
「さっきののらのら娘に追跡用の糸はくっ付けといたから見失うことは無いよ、オレもたまにはやるだろ!」
「いい仕事だルリコ、俺達も向かうぞ!」
「「「おー!」」」
その後はルリコを先頭に彼女らを追って再び廃坑の奥へ。
やはりどんどん温度は上がっていくな・・・そもそも人がいなければ搾精が成立しない種族がなんでこんな所にいるんだ?しかもその理由を尊敬したとまで言ったミサキにまで隠して。
「ミサキ、何があるかわからないから冷気のバリアを全員に掛けてくれ。」
「了かーい!」
【バリアフィールド】『フリィィズ!!』
これは絶対零度の見えない隔壁を対象の周囲に常駐させる移動式のバリアだ。内側には涼しくなる程度だが外側へは熱に対して強力な防御壁となり、突然そこらの壁からマグマが吹き出してこようと火傷ひとつ負うことはない。
「ひぇー、防御魔法だってこんなに便利なものないと思うぞ・・・。」
「流石ご主人様達の世界の力ですね!」
そしてそこまでしたのは俺の嫌な予感からだ、第六感とまで言うには卓越したものじゃないが・・・俺の予感はだいたい当たる。
昔っからそうだ、いい予感なんて感じたこともないのに悪い予感の的中率だけは誰にも負けないと自負している・・・。
「「「いーやぁぁぁぁぁああああ!!!」」」
ほら当たった。
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俺たちが探掘してたあたりから数百メートルは進んだ先に突然大きな空間が開けていた、そこには溶岩がボコボコと音を立てるマグマ溜まりが点在している。
先程悲鳴を上げた三人娘は壁付近にいるな、体を寄せあって震えているが何があったと・・・いや、原因はアレだな。
『GURAAAAAAAAAAAAAAAA!!!』
「「「きゃああああああああ!!!」」」
大きなマグマ溜りの一つが振動したかと思えばそこから現れたのは巨大なオオサンショウウオのような姿をした魔物だった。真っ黒な溶岩の鎧を全身に纏い、所々走るひび割れからは溶岩のような赤い光が漏れている。
そしてサキュバス三人組はこちらに気づいたのか全力で羽ばたいてミサキに抱きついていた。
「アイツは?」
「さ、さっきの真っ黒男!?」「来ちゃダメって言ったのら、お姉様!」「うわああああああん!!」
「ちょ、動けないってば。」
咆哮する四つん這いの化け物に震える三人娘はお姉様にピッタリくっついて離してくれそうにもない。
ここは俺がやるしかないな、ミサキと一緒ならバリアフィールドの恩恵で熱さから守られるはずだ。
「ハヤト、アレは確かラヴァーロートルだ!全身が溶岩に覆われてる魔物でその熱で鉱石や鉄を溶かして食っちまう上に凶暴だ!」
「よしミサキ・・・は無理そうだな、ルリコは援護を、リリィはミサキ達に付いててくれ。」
「畏まりました。」
「はぁ?なんでアンタが戦おうとしてるのよ!」「アホなのらー」「アンタみたいなクソザコのボンボンが勝てる相手じゃないっての!」
「論より証拠、いい言葉だな・・・よく見ておけ。」
【チェンジ】【ウォーター】「変身。」
二枚のレイドカードを出現させたゼロムドライバーにスキャニング、すると途端に俺の周囲を大量の水が吹き荒れて覆い尽くす。
黒い幾何学模様の走るインナー、白銀のアーマーが装着された後に水流はエフェクトとなって俺の鎧の各部に吸い寄せられ、最後に白いクジラを模した仮面が俺の顔へと被さった。
『カメンレィイダァァアゼロォォムッ、ウォォオタァァアアスタァイルッッ!!!』
「「「水の魔人さま!!??」」」
そしてこのスタイルではゼロムスラッシャーはまるで日本刀のようにスラリと細く、柔らかであるが強固な剣へとその姿を変える。
試しに腕から水を圧縮して針の穴のような細さで撃ち出す、所謂ウォーターカッターをラヴァーロートル向け発射してみると・・・危険を察知したのか巨体とは思えぬスピードで横に飛んだ。
『GYOOOOOOOOOOOOON!!!』
だが反応が遅い。
逃げ遅れた尻尾の先が切り飛ばされ勢いよく壁に叩きつけられるとマグマのように溶けて地面に染み込んでしまった。
全身溶岩というのはそういうことか。
「大トカゲというよりはスライムが蜥蜴型になっているようなものだな、なら話は早い。」
溶岩トカゲは大きくタメを作るとその直線上に熱線を吐いてくるが遅すぎる。その頃には踏み込み、急接近した俺がゼロムスラッシャーを振り抜き首を落としていた。
「「「や、やったぁ!」」」
「いや、まだだ。」
落下した首はそのままグチャアと潰れ、先の尻尾のように溶けてしまう。そして本体は俺を突き飛ばす!
受け身を取って数メートル離れた俺の目に映ったのは再び溶岩に飛び込んだラヴァーロートルの首が再生して切り口からニュルンっと生えてくる光景だった。振り回している尻尾も同じく元に戻っている。
「なるほどコイツは厄介だな。」
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