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特撮転生 仮面レイダーZEROM 最終回から始まるアナザーストーリー  作者: JING
第四章 ドワーフと活火山と炭鉱都市
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第32回 仮面の魔人さま

魔人さまのお伽噺は全世界的な認知度のようです。

この世界の盗賊の命はとても軽いのはよく分かった。

黒傘団とかいうのは一応討伐依頼の出ている賞金首だそうなのでお頭と呼ばれていた男は確保し街で引き渡すことにしよう、ルリコの糸で雁字搦めにして馬車の下に括りつけておく。


「ししおーさんつよーい!あっという間だったねぇ。」

「そうだぞ〜ハヤトは強いだろ~。」


しかし速い乗り物は乗りなれているがこうやって歩く馬が引く馬車というものも悪くないな・・・映画で見て少し憧れていたが体験してみるのはこうも違うものか。

俺たちパーティ専用の馬車を馬付きで買ってみるのもいいかもしれない。


「しかし獅子王どのの用意してくださった食事には驚かされました、まさか収納魔法とはいえ作りたてのシチューがそのままの状態で出てくるとは。」

「俺のは特別性でな。」

『ご主人様のお食事は一番良い状態でお仕舞いしておりますので。』『多分そういう事じゃないと思うんだけどなぁ。』


タブレットを通してリリィとミサキもこちらの会話に参加できるのは便利な事だ。

そのまま和気あいあいと道を進んでいくこと数時間、それ以降は特に何も無いまま進んでいく。

護衛任務とは本来移動中は常に気を張っていなければならない・・・訳でもないのか?何か寄ってくればレーダーが教えてくれるのだ、なにも心配はない。


「ねーねーシシオーさーん。」「ん?」「魔人さんになってー!」

「これ、彼らは遊び相手に乗ってくれてるわけじゃないんだぞ!」「だってつまんないんだもーん!」


まあ長い旅路だ、子供には既に飽き飽きなのだろう。


「仕方ないな、少しだぞ?・・・変身。」


ベルトを展開するとレイドカードをスキャン、俺はZEROMの姿へと変身した。


【チェンジ】

『ウィンドォスタァァアイル!!』


そのまま飛び降りるとポーズをとってみせる。

それにしてもこの馬は盗賊が出ようと俺が目の前で変身しようと一切驚かないな・・・肝が据わってるのか鈍感なのか。


「すごーぃ!魔人さまだ!!」「サービスいいなぁハヤト。」

「娘が申し訳ありません、獅子王どの。」


俺はしばらくそのまま馬車に併走してやることにした。


「そういや俺が変身するたびに周りから魔人だ魔人さまだとよく言われるんだがなんのことかわかるか?」

「ああ、獅子王どのは稀人なんでしたな、私程度の知識でよろしければ。」


以前から少し引っかかっていたワードだったのにそういえばゆっくり聞いてみたことは無かったな。


魔人とは・・・この世界におけるお伽噺のようなものらしい。

むかしむかし、この世界は今よりも凶悪な魔物に溢れていた。人々は魔物に対抗するため奮戦したが流石に戦える限界に達した頃、突然現れた一人の男が変身し【仮面を被った騎士のような姿】となって凄まじい力で魔物の群れを薙ぎ払った。人々はその恐ろしいまでの力を振るう彼を【魔人さま】として称えた。

その後も【魔人】は様々な場所様々な大陸で恐ろしい魔物を倒してまわり、遂には魔物の王という()()()()()()()()を倒すとその姿を消した。

それが今日(こんにち)まで伝わる【仮面の魔人さま】というお伽噺だ。


『今の話・・・ハヤトの事みたいな感じじゃない?』

「・・・だな、特に強い魔物のボスがライオンだってのが気に食わない。」

「どうかなさいましたか!?」

「いや、個人的にライオンの魔物に因縁があるだけだ・・・教えてくれてありがとなタトルさん。」

「いえ。」

『そうだ、もし他にもお伽噺みたいなのがあれば教えて欲しいな!』

「あ、だったらあたしが教えてあげるね!」


その後しばらくして変身をといて馬車に戻った俺はミサキと交代してもらいキャリアーに移って軽く仮眠をとることにしたのだった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



魔人か・・・もしかしたらここタキオンは俺のいた世界の未来の姿かとも考えたが何をどう間違えたらこんなに美しい世界に変わるのか全く説明がつかない。その説は無いだろうな。

稀人だって多種多様な者が現れるのだ、その中にたまたま俺のように変身して戦えるものがいたって少しもおかしい事じゃない・・・それにしてはいくらか共通点が多いが。


そんな事をぼんやりと考えているとリリィが飲み物を入れてくれたらしい。


「お加減は大丈夫ですかご主人様。」

「ああ、別に疲れたとかじゃない。逆に何もないから少し眠くなっただけだ。」

「なら良かったです。本当は寝ていらっしゃる時に狼の魔物が数頭寄ってきていたのですがルリコ様とミサキ様が苦もなく追い払って下さいましたので。」

「なら大丈夫か、一度敵わないと知れば野生の魔物は寄ってこないだろう。」


懸念があるとすれば今も馬車の下に貼り付けてある盗賊のお頭だろう。黒傘団とやらが先の襲撃してきた連中で全員ならいいが、アジトなどに他の構成員が残っていれば取り返しに来るはずだ。

盗賊でも夜中には来ないなんてそれは切羽詰っていなければの話だろうからな。

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