第25回 ダンジョンを攻略しよう!
その日世界樹は覚悟を決めたかのように揺れたという。
安全運転モード(要はスピードを落とし、振動などを極力カットした状態)でゆっくり走るゼロムキャリアーの中で俺は半ばウトウトとしながら考えていた、それはもちろんリリィの奴隷呪法を打ち消す方法だ。
普通魔法のキャンセルというものは意識的に行うものであり、他人が発動した魔法をこちらからキャンセルするにはより高いレベルの魔導の知識が必要となる。
だが最近気づいた。
俺はゲームのようにレベルが上がって魔法を覚えているわけじゃなく、俺は他人が発動したのを目撃するとその魔法をその日のうちに覚えていることに。
故に目の前でロレンツさんの魔法を見たのだから奴隷呪法も使えるはずだ、問題は解き方がわからない。
受け取った奴隷についてのマニュアルには奴隷から解放する手順はあるが望んで開放される奉仕奴隷はまずいないというのは職と扱い、給金の安定のためなのだろうか?ならば限定解放という手段なら使えるんじゃないかと考えていると・・・。
「ご主人様どうなさいましたか?宜しければ酔い止めに回復魔法を行いますが。」
「いや平気だ。・・・もしリリィの奴隷呪法を限定解除出来るんじゃないかと思っていただけで。」
そう言った時、彼女の目が僅かに泳いだのを見逃さなかった。
「それは不可能です、その魔法は国から認められた奴隷商のみが一子相伝で継いでいく限定的な魔法となります。」
「ではリリィも望みはしないと?」
「・・・ええ、わたくしは物心ついた時分から今までロレンツ商会にてメイドとして主人に遣える為学んでまいりました。他の生き方は考えたことも御座いません。」
「成程・・・では使えると言ったら?」
試しに外を飛ぶ鳥に対して【奴隷呪法】を発動した。
今回の場合は指輪が増えることは無かったが鈍い輝きを放ち、無事に魔法は成功、手のひらに収まるような大きさのその鳥は急旋回すると俺の元に飛んできて差し出した指に留まってみせた。何かの映画で見たインコという種類に似ている気がする鳥の腹の辺りに奴隷紋が浮かんでいる。
「ま、まさか・・・。」
「ああ、一目見て覚えた。」
「・・・ミサキ様からご主人様がたは遠い異世界からこの世界にやって来た稀人と伺いました。噂話としてしか知りませんでしたがあの御伽噺の神出鬼没と謳われた魔人のような力を知れば納得です。」
俺が変身して戦っている姿をどこかで見ていたのだろうか、隠れて戦っていたつもりは毛頭ないので誰に見られていても不思議は無いが。
ここでリリィはこちらに向き直る。
「ご主人様、その類まれなるお力があればその・・・限定的な解呪も可能でしょうか?」
「勿論だ。」
先程の鳥は既に魔法を解除したためかさっさと飛び立って行ってしまった。
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隠れ里マグラスに着いたのはそろそろ陽も傾いてきたかという時間帯だった。
ジオと別れた俺たちはギルドレストランのいつもの部屋に行くとようやく一息つけたであった。
「やはりあのスピードじゃこんな時間になってしまうか。」
「おかげで乗りやすかったぞ?ハヤトが運転し
てたからオレとミサキはスヤスヤ寝れた!」
「途中でリリィさんとゆっくりできた?」
「俺は運転してただろうが。」
「ささ、お茶の用意が整いました。やはりエルフの里ともなると良い茶葉がありますね。」
紅茶を受け取るとゆっくり喉に流し込む。
「ジオちゃんはちょっと可哀想だったかな・・・。」
「『ワシはもうちょっとゆっくりしたいのじゃーー』って叫んでたからな。」
「お仕事を溜められていたようですね、少し擁護は厳しいかと。」
「さて・・・、パーティも四人になったんだ、試しにアレに挑戦してみないか?」
窓から見えるのは壁、ではなくアトラスの世界樹だ。
以前は救援のためにいきなり上層に向かったが一度はダンジョンというものに挑戦するために登ってみたいと思っていたんだ。
「成程、ご主人様はダンジョンについての知識は如何程ありますか?」
「さっきまで乗ってた装甲車で65階層に突っ込んでボスを氷漬けにして調査団を救出したくらいだ。」
「・・・思っていた以上でした・・・。」
「ハヤトならやりそう。」
「まあ凍らせたのあたしだけどね、今度たどり着いた時は解凍して戦おうか?」
「・・・なんだか世界樹が可哀想に感じてきたぞ。」
取り敢えずは準備してからだ、食事や必要なものを買い集めてからアタックすることにしよう。
里での買い物は俺とルリコ、ミサキとリリィの二組に別れて行うことに。俺は次元収納、リリィは収納魔法が使えるのでそんな班分けになった。
「さて、俺たちはなにを買うんだったかな?」
「美味い食い物!」
「ちがーう!料理はあの二人に任せるから俺たちはダンジョンで使う備品や薬だろうが。」
「ちぇー、お菓子は買っていい?」
「少しな、それよりもお前の方がいるものとか詳しいだろ先輩冒険者さまよ。」
「まあな!」と駆け出したルリコが止まった店は魔道具を扱う店舗だった。
「基本は灯りだな!オレも入ったことは無いけど世界樹のダンジョンのようなタワー型だと日中は明るいことが多いぞ。」
「ふむふむ。」
「逆に洞窟型だと時計も必要だな、昼夜の感覚なんて無くなっちゃうからスタミナの配分に失敗するやつも多いんだ。底に着く頃にはバテバテさ。」
「あとは何がいる?」
「そうだな〜、あ、コレなんか便利だぞ?」
ルリコが手に取ったのは腕輪のような形でちょこんと魔石がくっついた魔道具?だった。
「コレは?」
「バリアリングっていうんだ、コレを使ってる間は魔物たちは発せられる小さな音を嫌がって寄ってこなくなるんだ。」
「へえ、害獣避けというわけか。」
「あとはコレ!絶対必要なのがこの帰還の腕輪だよ。」
先程のものと色違いに見えるそれは魔石を外して叩きつけることで転送魔法を起動して瞬時にダンジョンの入口に飛ばしてくれるんだという。
「出る時限定か・・・。」
「それだけじゃ無いぞ?一緒に付いてる杭をダンジョンのどこかに指しておけばその場所に戻ってこれる便利アイテムだ!」
そんなこんなで着々とダンジョン攻略の準備は整っていった。
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