第7話 戦国武将のお仕事…思ってたんと違う!
そういや、この時代に来たばかりの時は、
「目指せ!リアル天下統一!」なんて張り切ってたけど、
ぼく、合戦で活きそうな剣道とか柔道とか、
武道系の習い事なにもして来なかったや。
ただ、文化系とか帰宅部とかじゃなくて、
野球は好きだったから、一応、高校球児だったりした。
そんで、何を血迷ったか、大学でもガチの野球部に入部したんだけど、
レベルが高すぎて心が折れて、今年に入って退部した感じ。
ピッチャーをやってたはやってたけど、
別にガタイも良いわけじゃなくて、球も遅いし、
任せられてたのは、主にバッティングピッチャー(笑)。
まぁ、コントロールとスタミナだけは、かなり良かったと思う。
あと、習い事でやってたのは、
一応、上級者クラスだったスイミングと、
一応、2級だった算盤と、
一応、小学校で銀賞を取ったことがある習字くらいかな。
いや、合戦で使えねーじゃん!!
まぁ、スイミングは、この時代に来て、
川で泳いで逃げる時に、さっそく使えたけど(笑)。
あーーー、どうしよう、
合戦は殺し合いってことは分かってるけど、
この時代に来たからには、武将として戦いたいけど、
これじゃ、何もできないや…。
とか、誰にも言えない悩みを、
毎日、あーでもない、こーでもない、って考えた。
でも、その悩みもいつか、めちゃくちゃ小さいものになった。
なぜなら、この時代、意外に合戦ねーのよ!(笑)
たまに、領地を接している大名との小競り合い、
怪我人が出る程度の大きなケンカみたいなのはあるんだけど、
基本的に『SENGOKU丸』でプレイしていたみたいな、
ザ・合戦みたいなのは全く無いのよ!
そんで、やることと言えば、
「年貢や税金の計算」とか「百姓の相談相手」、
「お寺や神社への挨拶」、あと「宴会と連歌会」などなど。
思い描いてた戦国武将と全然違うやないかい!!(笑)
それぞれ説明すると、まぁ年貢や税金の計算はそのまま。
ある地域から送られてきた年貢はこれだけで、
お寺や神社、商人や町人から送られてきた税金はこれだけで、
この家臣にこれだけ与えて、これを堤防造りとかの公共事業に充てて、
みたいなのを割り振る感じ。
なんだろ、会社的にいうと、
売り上げと武将の給料を計算する感じか。
この給料が低いと、謀反とか引き抜きにも繋がるのかな?
小田家では全くその気配は無いんだけど、
他の大名家ではよくあることみたい。
そんで、この仕事、めちゃくちゃ大事でしょ、
なのに途中から、新参者のぼくが担当リーダーみたいになっちゃったのよ!
この仕事、彦次郎も担当したりしてるんだけど、
ある時、彦次郎がめちゃくちゃ大変そうだったから、
年貢と税金の合計数字を暗算で計算してあげたのよ。
ほら、算盤やってる人って、
算盤打ってる振りだけで、計算できるじゃない。
それをやったら、本当に人って驚いたら腰を抜かすのね、
彦次郎が腰を抜かして驚いて、
「お屋形様にご披露いたしましょう!」
とかいうから、お城に行って、
キレイな庭園が見える部屋で、お屋形様に暗算を披露したのよ。
そしたら、もう大絶賛!
誰々を呼んでまいれ、とか、
その部屋にギュウギュウに人を集めて、暗算をご披露よ(笑)。
恥ずかしさもあったけど、
自分では「何でも無い」と思ってた能力が評価されると嬉しいよね。
というような流れがあって、
いつの間にやら、会計係のリーダー的な存在になってしまいました。
ちなみに、算盤って、
この時代の日本?常陸?にはまだ無いみたい。
あれって、いつから日本にあるんだろ。
そんで、あとは百姓との相談相手ね。
武将って、弁護士?裁判所?みたいな役割があって、
例えば「隣の村のやつが、うちの村の米を盗んだ」、
というような相談があった場合、窓口はその地域を治める武将なのよね。
それをその武将自体が相談に乗って、双方に事情聴取などして、
一旦、小田家に持ってきて裁いたりしてるわけ。
その武将が裁く場合もあったりするけども。
小田家で裁く場合はもちろん最後のジャッジはお屋形様。
だいぶ天然で人の話を聞かないお方なんだけど、
ジャッジは公平で、領地で不満の声を聞いたことはまだ無いかな。
あとは「田んぼの水はどちらの家に所有権があるか」とか、
「ここはうちの領地だ」みたいな相談も多いかな。
そんでぼくは、この相談にも乗っている。
ただ「先祖の代は…」とかって、よく話に出てきて、
分からない情報も多いから、これも彦次郎とかに手伝ってもらいながらやってる。
コツは、真摯に百姓の方々の話を聞くこと(笑)。
大学の先輩が地元の市役所で働いてるけど、こんな感じなのかな。
あとは「お寺や神社への挨拶」。
これは思った以上に大切!
この時代、お坊さんと神主さんの影響力ってすごいのよ。
ある種の戦国武将みたいな感じで、
その地域で絶大な権力と経済力を持ってるわけ。
こことコネを作って、ちゃんとした関係を築いておかないと、
いざという時に、敵に寝返ってしまう寺社も他の国ではあるみたい。
現代でもそうだけど、一癖も二癖もある方々が多くて、
本心が見えないような会話をするから、正直疲れる。
そして、あとは「宴会と連歌会」。
これは何だろう、小田家恒例のイベントです。
宴会はお城だったり、お世話になってるお寺や神社でやったりする。
これもまぁ、コネづくりだったりもするんだけど、
単純にお屋形様が宴会好きだから、よく開催する。
お酒は覚えたてだから、こちらも正直しんどい。
そして、それと併せて行われるのが連歌会。
連歌っていうのは、前の人が詠んだ歌に続いて、
次の人が詠んで、っていう万葉集みたいな、
「5・7・5・7・7」を延々と続ける感じ。
もう、これに関しては、何が楽しいのか全然分からん!
ただ、もちろん、参加させられるから、
とりあえず、カラオケでよく歌ってた、
ミスチルとかヒゲダンとか米津とかの歌詞をぶっ込んで、
無理やり歌にしてる(笑)
意外に乗り切れている。
何ならたまに、ぼくの歌が刺さる人がいる。
いや、というか、
現代アーティストの歌詞が刺さってる人がいる。
そして、小田家では毎年恒例で、
大晦日に大忘年会みたいなのを開催していて、
オールナイトで連歌会をするっていう、
フェス的なクレイジーなイベントをやってる。
ぼくも初めて参加したけど、
朝方にはみんなグデングデンのベロンベロン。
後半、あんま覚えてないけど、
めちゃくちゃ下ネタの連歌会になってた気がする(笑)。
あ、そうそう、
このオールナイトイベントとかを通じて分かったことがある。
お屋形様は、おそらく、
ほとんどの家臣の顔と名前をしっかり把握してるっぽい。
そういえば、初めてお屋形様に会った時、
敗戦直後でたくさんの家臣たちに労いの言葉をかけてたけど、
ぼくを見た時に、すぐに「だれー!」って言ってた。
あんな緊急事態で、すぐに、
ぼくが家臣ではないということを把握したのは、
今考えてみると、結構スゴい気がする。
だって、家臣って結構いるのよ。
お屋形様の家臣の菅谷おじさんの家臣、そのまた家臣だっているし、
そんで、その人たちの家族もいるわけだから。
ぼくの初対面時もそうだけど、
拝見している限り、名前も顔も完璧に覚えているっぽい。
そりゃ、家臣たちは嬉しいよね。
ぼくも「おぉ、源鉄」って言われると嬉しいもん。
まぁ、本名は「源」です、けどね(笑)
というようことで、ぼくが関わった、
戦国武将のお仕事をまとめると、こんな感じ!
うん、やっぱ思ってたんと違う!!!!