第5話 今が西暦何年か、分かった気がするよ!
困った。常陸の小田さんのことを全然知らない。
僕がハマっていた『SENGOKU丸』には登場しない。
強いのか…?
いや、待てよ。
それなりに強かったら、戦国時代を生き抜いて、
江戸時代も生き残ってるんじゃないか?
ってことは弱いのか…?
あ、あれ、そう言えばだけど、
僕がこの時代に来た時、小田家の人たち、逃げてる途中じゃなかった?
前後関係が全く分からんけど、
逃げてるってことは、負けたわけだから、弱いんじゃね!?
そうだ、その後に、小田さんのお城に行った時にも、
小田さんは、僕のことを「北条の手の者か!」とか言ってた気がする。
そんで、菅谷おじさんが助けてくれたんだった。
小田さんは「初陣」だったとも言ってたな。
ってことはだよ。
小田さんは「初陣で北条家に負けて逃げてきた」とこだったわけか。
北条ってあれか、北条政子とは違う戦国時代の北条家だよな。
「北条早雲」に始まる小田原城のあれだ。
それくらいは知ってる。詳しくは知らんけども。
うん、我ながらだけど、地アタマは良いな。整理できてきた気がする。
ここは常陸で、お屋形様は小田さんで、西暦はたぶん1550年前後で、
その初陣で北条家に負けてーーー
え、ウソでしょ、待ってよ。
1550年前後の予想って、初陣をヒントに、
信長が初陣を迎えた年代で逆算してなかった?
ってことは、小田さんが信長がないっていう段階でーーー
いや、もうわけわかんねーよ!考えたくない!
大学で必修の英語の単位を落として、
1年次を留年することが決定した時くらい何も考えたくない!
よーーーーし!!!
もう、聞こう!!!!
「何を?」って「いまが何年か」をよ!
小田さんの側近に聞いた。
やっぱ、分かんないことは素直に聞くことも大事だ。
すぐに教えてくれた。
「今年は“天文丙午十五年”でございます」
いつやねん!!分かんねー!!!(笑)
西暦じゃないのは分かってるけど、
天文丙午っていつなんだよ。
ん?待てよ…。
あ、俺知ってる!
あれ、興奮して「俺」って言っちゃった。
でも、分かった気がする!
だって、僕は信長が好きなんだもん!
信長の生まれは1534年なんだけど、
元号は「天文」の5年前後?だった気がする!
そんで、謎の「丙午」だけど、
たしか、何年かをいう時に、干支を使って表現するパターンもあった気がする!
ほら!「戊辰戦争」とかが多分そうだ!
あと「甲子園球場」の“甲子”もそうだった気がする。
なんか、昔に、雑学系のクイズ番組で、
くりぃむの上田さんがドヤ顔で言ってた気がする。
ってことはだよ!
おいおい、分かってきたんじゃないか、これ!
今はきっと、信長が生まれてから10年前後だ!
ということは「西暦1544年前後」だ!
おい、なんだ、この爽快感!
数学の何かしらの問題を解けた時みたいだ!
そのついでと言ってはなんだけども、
北条家に負けた?話についても、側近に聞いてみた。
そしたら、やっぱり負けてた。
たぶん埼玉県の、川越城ってところが現場らしい。
「小江戸」って呼ばれてる街だな。ヒルナンデスでやってた。
そんで「山内」と「くぼう?」と「おうぎがやつ?」と一緒に、
北条家と戦う予定らしいんだったんだけど、
味方が大軍だったから油断して、プチ宴会してたら、襲撃されたらしい。
いや、何してんねん!!
これ、現代だと「川越城の戦い」って言うのかな?
そういや、信長が登場する以前の「関東の戦国史」って全然知らんわ!
って言うか、信長が登場した後も知らんわ!
もう、一日一日が濃すぎて、
話が全然進んでない気がする。
まぁ、何でもそうだよな。
知らない場所に行く時って、
行きはなかなか着かない感じがするけど、
帰りは早い気がするもんな。
たぶんそれだ、そのうち、慣れてくるだろう。
現代とは違う、刺激的な毎日だ。