第3話 信長だと思ってたアイツ誰やねん!
菅谷さんの亀の城に来てからから、数日間。
やることと言えば、菅谷さんやその家臣たち?に越前の話をすること。
なんか、越前の蟹の話がめっちゃウケた。
ツボがよく分からん。
そんな最中、いきなり織田信長からのお呼び出し。
あ、そうだった、菅谷さんが届け出みたいなのを信長に出してくれたからだ。
ありがとう、菅谷おじさん。
今日が西暦何年の何月何日か分かんないけど、
亀の城を出て、琵琶湖を背にして信長のお城を目指す。
ここで、いきなり頭の中を過ぎる。
「あれ、この時代の信長って、まだ琵琶湖と関係なくね???」
あ、そうだった。
歴史ニワカ勢の僕が推測した今の西暦は1550年前後だ。
方程式は―――
「信長は初陣らしい ⇒たぶん10代 ⇒ 西暦1550年前後? ⇒ 領地はまだ尾張!」だ。
ということはですよ。
信長は現代の岐阜県である美濃国も手に入れてないし、琵琶湖がある滋賀県、
だから、えっと近江国ですね、それを通過して、京都にも行ってないわけです、たぶん。
そうすると、僕が琵琶湖だと思っていたこの湖は何湖なの!?
あ、そうだ、菅谷おじさんは「常陸に来て」って言ってたよな、
ああ、もうよく分からん!
とか考えている間に、信長のお城に着いた。
そういや、現世の安土城でアレが起きて、この時代に来たし、無条件で思い込んでたけど…
『この城、安土城なの!?』
そう言えば、全然違う!
石垣も無いし、天守台はもちろん無いし、っていうか平野じゃん!
安土城は天守台まで行くのに、軽い登山だったじゃん!
っていうか、この城、めちゃくちゃ平らなお城じゃん!
え、これもしかして、安土城じゃないんじゃね!?
じゃあ、僕は今、どこにいるの!?
とか考えている間に、信長と会うことになった。
絢爛豪華!とは言えないが、立派な庭園のある御殿の一室の案内していただいた。
しばらくして、周りがソワソワとしだすと、横の襖が開いて同世代のお殿様が登場。
『あ、この前、会った偉そうなやつだ』
やっぱりお殿様だったみたい。この人が「織田様」、信長だ。
でも、思ってたのと違う。
目つきは凛々しいけど、何だかホンワカしてる。不思議な親しみがある。
っていうか、猫を連れている。猫、カワイイ。猫はどの時代でもカワイイのか。
「左衛門尉から聞いておる」
“じょー”って何やねん!とは思ったんですが、
“さえもん”と言っているから、たぶん菅谷おじさんのことだろう。
「諸国の話を話してくれるか?」
あ、そうか。
菅谷おじさんには越前の話を中心にしてたけど、
それだけだと持たないので、修学旅行とか友達との旅行とかで行ったことのある、
京都とか大阪とか広島の話も適当にしてたんだった。
「えっと、あ、はい―――」
そこからまた、適当な地名とか人名を出して、
程良く的確な、知ってる限りの、各地域のお話をしてみた。
菅谷おじさんと同じく、信長も土地勘は無いらしく、興味深く聞いてくれた。
『これが後に天下を取る男か―――』
冗談じゃなく、そう思った。
身分や出身など関係ない。どこの誰か分からない僕の話を聞いてくれる。感動した。
「よし、小田城の城下に屋敷を与えよう」
え、やった!やったよ!信長に気に入られたよ!
城下町に住む場所をもらうことになりそうだ。
っていうか、まだ猫いるやん!ずっとカワイイやん!
そう告げて、脇に控える側近?に指示を出した信長は、襖の奥に姿を消した。
仲介してくれた菅谷おじさんは、自分の居城である亀の城に戻るとかで解散。
側近?に案内されて、お城を出て徒歩5分くらいの小さめの長屋みたいな屋敷に案内された。
屋敷からはあの日見た小さな山と、ずっと奥に大きな山が見える。
あの山は何て山なんだろう。
信長の側近?がまだいたので聞いてみた。
「手前の小山は宝篋山、奥の大山が筑波山と申します」
へーーー。“ほうきょうさん”ねー、聞いたことないなー。
信長の側近?は、宝篋山の名前の由来などを話している。
いい、いい、そういうのは。
んで、奥が筑波山って山なのね。
引き続き、側近?が筑波山の由来などを話している。
ん、筑波!!!!???
筑波って、筑波大学の筑波!?
一応、高校は進学校だったから、同級生が行ったわ!国立の筑波大学でしょ!?
っていうか、僕も進学の時に調べたから知ってるって!
そこで気づいた…。
「え、オレ、今、茨城にいるんじゃね!!!???」
あ、そうか、常陸って、今の茨城県だ!
ってことは…
僕が信長だと思ってたアイツ、誰やねん!!!!!!!!




