表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
織田家の家臣になったと思ったら小田家でした…!  作者: 長谷川ヨシテル(れきしクン)
2/8

第2話 菅谷おじさんの亀の城に泊めてもらうことになりました!

「で、お主は誰だ?」


そう言えばそうだった。

ボロボロ甲冑おじさんの一人が、なぜかかばってくれたんだった。


「えっと、僕は、その…」

「まぁ、良い。ひとまず何か着て参れ」


屋敷に案内されて、歴史の資料集で見たような服を着る。

おびめ方が全然分からないけど、まぁ良いや。そんな着替え中に考える。


「どうしよう。

 アレでこの時代に来たっぽい説明したところで、信じてもらえないだろうし…。

 さっきは助かったけど、下手をすれば殺される可能でしもあるし。

 ううむ…どうしよう…」


映画やドラマで観てきたパターンを思い出そうとするが、なんかイマイチ思い出せない。


「あの設定のやつって、家臣とかになってからが面白いから、その前ってどうでも良いのかな」


とか、脱線している場合じゃない。どうしよう。


「あ、そうだ!」


信長の織田家は、秀吉ひでよしがそうだけど、身分に関係なく家臣になって出世してったじゃないか。

あと、今年の大河ドラマの主人公の明智光秀あけちみつひでだって、

明智家が滅亡した後に紆余曲折うよきょくせつして信長の家臣になったらしいじゃないか。


「これだ!」


でも、そんな上手いこといくか…?

部屋を出て、先ほどかばってくれたおじさんの前に行く。


「で、お主は誰だ?」

「えっと、仕えていた家が滅亡して、それで、織田様のもとで働きたいな、と思って、その…」

「そうであったか」


い、いけた!(笑)戦国あるあるなのかな?

続けて、おじさんが質問してくる。


「で、国は何処どこだ?」

「く、国?え、日本です」

「にほん?大きく出たな。面白いやつだ(笑)」


あ、そうか、国って昔のやつか。

信長は今の愛知県の西側の尾張国おわりのくにの出身で、

家康は愛知県の東側の三河国みかわのくにの出身だもんな。

僕は福井県出身だから…。


越前国えちぜんのくにです!」

「え、えちぜん!?また遠くから流れて来たな!」


どうせ信長が滅ぼして制圧するんだから、そんな驚かなくても良いのに(笑)。

っていうか、イントネーションとか違和感あるけど、意外に言葉通じるのな!


「越前というと、朝倉あさくら家か?」


あ、まだ滅びてないのか。

ということは、今は1573年より前か。


「あ、ですです」


この庇ってくれたおじさんは、真面目な性格なんだろう。

そこから「具体的に越前のどの辺り出身か」とか「何家に仕えていたのか」とか、

「朝倉家の“そうてき”という武将はやはり凄いのか」みたいなことを色々と聞かれた。


越前の土地勘は全然ないようだったので、適当に近所の地名とか、

友達の名前とかを使ってごまかしたらしのげた。“そうてき”は、ゲームに出てこないので知らん。


このおじさんは勉強熱心でもあるのか「越前の話をもっと聞きたい!」らしく、

何日かおじさんのお城に世話になることになった。


間も無く日が暮れる。

あれ、そういえば、何でかばってくれたんだろう、このおじさんは。


初陣ういじんがああなってしまっては、まともな分別ふんべつはつかんだろうから、ひとまず場を収めた」


よく分かんないけど助かった。ありがとう。

歩みを進めていくと、大地の色が変わっていく。なんだこれ。


近づいて行くにつれて分かった。湖だ!琵琶湖びわこだ!

テンションが上がっている僕に、おじさんも嬉しそうだ。


「越前には海があろう」


そんなに驚くもんでもないだろ、とおじさん。

琵琶湖は福井県からも遠くない。車の免許を取った友人に乗せてもらってドライブに何度か行ったりした。

確かにそこまで驚くものではないかもしれないが、これはあの信長の時代の琵琶湖なんだ。

興奮せずにはいられない。


「日が暮れてしまうぞ」


歩き始めたおじさんについて行く。すると、水堀が巡らされたお城に到着した。

城門を2〜3個通ったかな。曲輪ごとに水堀が巡らされている。


「水堀に浮かんでいるような姿ゆえ、かめしろとも呼ばれておる」


このお城の別名らしい。琵琶湖近くに“亀の城”なんて別名のお城があったのかな。

ニワカ勢なので分からない。


トイレなどを案内された後に、このお城の屋敷の一室を貸してもらうことになった。

お城の中心地には、また城門を2〜3個通過しなきゃいけないあたりの曲輪っぽい。

門番?警備員?みたいな人もいる。


まぁ、初対面だし、そりゃ一応警戒するよな。

でも、このおじさんは優しい。


「おー。そうであった。すまぬすまぬ。越前のことばかりで、そなたの名を聞くのを忘れていた」

「あ、えっと、天羽健あまはけんです」


おじさんは、お屋形様こと織田信長に名前や出自を届けてくれるみたいだ。優しい。


「あ、おじさ、いえ、あなた様のお名前は何というのでしょうか?」

常陸ひたち当地とうちに来て、わしを知らぬのか。ますますお主は面白いやつじゃ(笑)」


なんかウケた。知らぬよ。


わし菅谷すげのや左衛門さえもんだ」


ちょっとドヤ感出してる。どうしよ、よし。


「あーーーー、あなたが!」


これが大人の対応ってやつか。菅谷さん?満足気で良かった。


そこから一人の時間。出来事が多すぎた1日を整理している。

「いま何年なのか」とか色々と聞きたいけど、不審がられても困るし、会話の節々をヒントに探るしかないのよね。


ひとまず越前の朝倉家が滅ぼされる1573年より前ってことは分かった。

そんでこのお城が“亀の城”の別名があって、琵琶湖の近くに築かれていること。


あとはかばってくれた優しいおじさんが“菅谷左衛門”って人ってこと。

っていうか、誰やねん!菅谷すげのやって!

信長からは相当信頼されてそうだったけど。そんな家臣いたんかな?


あれ、待てよ、信長が同世代っぽいんだから、1573年よりもずっと前に決まってるじゃん!

となると今何年だ?


ん?信長って何年生まれだ?

1560年の「桶狭間おけはざまの戦い」は信長が20代の時だった気がするから…


もっと勉強しとけば良かったー!


あ!初陣って言ってたじゃん!

初陣って10代でやるって聞いたことあるから、まとめると1550年前後ってことか?


その頃、信長、何やってたんだ?知らねー!


あ、あれあれ、待ってくれ待ってくれ。

そう言えばさっき、菅谷おじさん、“常陸に来て”って言ってなかったか?


「ひ・た・ち ってどこだっけ(笑)」


疲れた。寝よう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ