第6話 おっさん達、大地に立つ!しかも夜中。
俺は孝雄からスマホをぶんどる様に受け取ると、旦那さんに手渡した。
「ありがとう、代わりに他のコレ、えぇとスマホだっけ?それで連絡できるようにしておこう。ちょっと皆こちらに出してもらえるかな?」
皆恐ろしい程の速さで旦那さん、もとい、主神ヴェリト様の眼前へ持ち出した。
「うぉ!じゃあ早速。はい、コレで問題ないかな、後は地図をこちらの物にして、元々の世界を覗き込むことが出来るようにしておいたよ。申し訳ないがこちらから向こうへなにかは出来ないのであしからず。後、皆の装備なんだけど勇者の物は魔王を以前に打ち倒した隆司君が装備していたものとほぼ同じなんだけども、他の皆はそこまで強くないので、その都度新しく手に入れたり、作ったりして世界の崩壊を救ってほしい。それじゃそろそろこの世界へ降りたってもらおうかと思うんだけども良いだろうか?」
俺は何かあれば連絡するので大丈夫と告げ、孝雄はコクリと頷き、木山はしょんぼりしたまま、修はやってられねぇなぁといった顔で大広間の斜め上を見ていた。
「正直な所、私達の力で君達をここに留めておけるのも後僅かなんだ、本当にすまない。何かあれば連絡してくれれば良い。イリア、君からは何かないかい?」
「はい、どうかご無事で!他の方よりも強くはありますが過信せず、どうか私達の願いを叶え・・・」
まばゆい光と音に包まれ、どうやら今度は更に暗い所へ飛ばされたらしい。
「なんだ、いきなり開始なのかよ(笑)」
「ま、俺らにはちょうど良いんじゃないか?」
「確かになぁ(笑)」
「俺はちょっと困るけど・・・」
木山も修も気負ってもいないようで良かったが、うちの勇者様はご不満がおありなようなので、先頭を行ってもらおう。
「孝雄、前頼むね~装備良いんだし」
「はいよ、じゃ行きますよ」
なんとも気合いの入らない感じで始まったんだが、昔からのダチほど心強い者はないね。良く見えないが、とりあえず夜の森の中らしい。
「大田、俺スマホないからさ、地図アプリで調べてくれないか?」
「へいへい、勇者孝雄、ちょっと待ってろ」
なになに?ここが今森で近くに街は・・おっ!あったぞ。
「ここから2キロ先だな。森で見えないだけでたぶん近いぞ。さ、方角はこっちだ、行こう」
うっそうとしげる森の中を当ては有るのに彷徨った・・・孝雄、致命的に方向音痴なのか・・・
俺達の1日はまだ終わらない。