第4話 世界は崩壊寸前という事
「ごほん、そ、それじゃ3人に、この世界を救ってもらえるように力を授けたいと思います!」
木山と修の前に旦那さん、俺の前に奥さん。
突然まばゆい光が起こったと思ったら、ズキンと頭に激痛が走ってきて、立っていられなくなり、大理石のような地面に膝をついた。横を見ると二人とも頭を抱えて、苦しい表情で、野郎ハメやがったな!という目で旦那さんを睨んでいた。俺は痛みをこらえ旦那さんに、
「んん、こ、これは一体?・・・」
申し訳なさそうに夫婦は3人を見つめ、旦那さんが口を開いた。
「皆さん、本当に申し訳無い。さっき聞いた通りの状況であって悠長に少しずつという時間は残されていないんだ。なので、出来る限りの目一杯の力を分け与えさせてもらったんだ。神玉石が取り込まれている3人には、力を分け与えても耐えきれる筈だと確信があったんでね。現に、もうそろそろ馴染んでくると思うから、どうか睨まないでおくれよ。」
横の2人は、落ち着いてきたのか睨まずに、スッと立ち上がり木山は拳を握り、その拳が光輝いていた。修に至っては人差し指を一本伸ばし、右の指先には炎、左の指先には雷を具現化していた。俺はまだ痛い、というか更に酷くなっているが、俺だけハメラレテナイ?ダイジョウブ?(笑)あぁ、マジで痛てぇな・・・不味いな、意識が飛びそう・・・もう飛ぶのは勘弁してくれ・・・
異変を感じた夫婦は俺の方へ近寄り「彼は物質をも扱えるようだ、コレなら私達を本当に救ってもらえるかもしれない」なんて口走りながら夫婦で手をかざし更に光を俺に向けたようだった・・・
「あ、ヤバい・・・」
上の子供と下の子供が笑っている顔が見えた・・・あぁ、お土産買って帰らないと・・・
俺はパタリと倒れた。
「おぃ、おんちゃん大丈夫か?始まる前に終わるなんてRPGないだろ?お~い。」
木山の声がうっすら聞こえる、修は夫婦を睨んで、
「ここに俺らを呼ばなきゃダチがこんなことにならずにすんだんじゃねぇのか?おい答えろよ、お前ら!」
と、男前な事を言っている。あぁ、起きずら過ぎるだろうよ修さんよ(笑)
「んー、心配かけた、ごめん。修、もう大丈夫だ、ありがとうね」
「おんちゃんがそう言うなら良いんだけどよ。。」
不信感の塊のような目で夫婦を見ていた。そこへイケメン旦那さんは俺を見てホッとした顔で修に、
「修さん、実は賢治さんは、お二人よりも力の親和性が高く、私達が力を注ぐことで別の力を体得することが出来そうだったんです。ですから、このようなことになってしまいました。ホントにごめんね」
修はすぐさま俺に実際どうなんだ?と問いかけるので、俺の出来そうなことをやってみた。
ボォッと淡い光に左手が包まれ、光が形を作り、それは光が収まるとノートPCとなって現れた。
「修、良いぞコレ。多少のことなら自前でどうにかなりそうだ。」
修は夫婦に、
「まぁそういうことなら、許してやるか。」
と理解を示してくれた。
木山の方は、大丈夫なら自分の力を確かめようと両手を握りしめ眩しすぎる光を放つ程に力を込めていた。
「このPCは、旦那さんが何かに使ってください。慣れると便利なもんですから(笑)」
俺は、無意味に出現させたノートPCを旦那さんに手渡した。