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第一章 希望に破れし者達の夢をのせて

神世紀1862年9月16日 神界 主神ヴェリト城にて


荘厳な白い石材に金の縁取りのされた大広間には若い夫婦その配下達十数名が老齢の女性が話し出す言葉を疲れきった表情で聞いていた。


「ヴェリトや、もうそろそろ私の守護結界が安定する。なんとかここだけでも守れたのは幸いじゃ。」


その言葉を聞き、若い夫婦が疲れた体を労りながら、静かに語りかけた。


『おばあちゃん、安定したということは、そろそろ最後の希望である転移召喚が可能になるんだね!?』


「そうじゃ、やっと制限の無い者達を召喚できるのじゃ。しかし、その後は流石に休ませてもらおうかね。して、イリアよ、神玉石は用意出来たかの?」


『お婆様、私も召喚に備えての準備は出来ております。神玉石は3個程を既にここにご用意出来ております。』


老齢の女性は優しく頷き、


「よろしいよろしい。では、数刻過ぎた頃、皆の準備が整い次第行おうと思いますので、皆さんお願いしますね。」


ヴェリトは微かに聞こえるかどうかという声でイリアに話し始めた。


「後は左肩に勇者の証を持った者が来ることを祈るとしよう。神玉石のお陰で人数と恩恵は問題ない筈だが、今までしたことの無い事だしなぁ。何が起こるのか分からないが勇者と仲間をまずは説得して、どうにか頑張ってもらわないと・・・」


皆、それぞれに慌ただしく大広間で準備をはじめだした・・・


その数時間前。2019年9月16日 北海道 地方都市にて


とある内科の診察室にて、大田賢治は全盛期から20年ほど経った現在、立派なお腹をさすりながら内科医の先生のありがたいお話を聞いていた。


「んー、賢治君。そろそろ痩せないといかんよ」


いつもの先生が怒るでもなく悟らせるでもなく淡々と語りかけてくる。


頭をかきながら、俺は今にも消え入りそうな声で返事をする。


「じゃ、次は少しでも良いから痩せて来てね?」


そう言いながら椅子を回転させ机に向かいサラサラと意味不明な文字と数字の暗号を書いている。それをチラ見しながら待合室へと戻る。


「大田さーん」


あぁ、今日は雨が強いなぁ~なんて外を見ていると、受付のおばちゃんに呼ばれたので、ボロくなったショルダーバッグをもって、支払って外へ出た。


今日も今日とて、いつもと変わらない平日。雨が降ってるのが残念と皆言うが俺は意外にも雨は好きだ。何だか、洗い流されているようで気持ちが良い。


「ドゥルル、ブ、ブォーン」


そろそろこの車も古くなってきたなぁ。でも今はもう少し壊れないで動いてくれよと願っている。


プルルルル、、慌ててハザードを付け横へ。


「もしも~し、どうした木山?」


『おんちゃ~ん、今良いかい?』


誰かと思えば、昔からの旧友、いや、、悪友だな。同じ名前で何故か気が合って、気付けばお互い自他ともに認めるおっさん・・・あぁ、時間とは恐いもんだ。


『じゃそういうことで!夜よろしく~』


「OKOK、了解~」


電話を切り、車を走らせはじめながら、思い出す。


「あぁ~10年振りかぁ~」


そう、今日は久しぶりに皆で酒でも飲もうと、俺じゃない「ケンジ」である木山がそんな話を盛り上げた。じゃあ!という訳で、悪友仲間の修と孝雄にも声をかけようと、都合の合う今日の夜と相成った訳だが、皆大きい子供もいるが、うちのように小さい子がいたりするので、少し遅めからの開催。ほら、お風呂って言えば父の仕事だろう?なんて言ったら、修と木山は「そんなの当然だろ!」と笑顔で頷いたが、孝雄は「え?仕事から帰れば子供寝てるよ・・」とボソボソ言った。

修はパチプロ、木山は清掃業者、俺は自営業、孝雄は教習所教官・・あぁ、教習所ってそこそこ遅いもんなぁ終了時刻。

そして仕事が終わり家に戻ると、嫁は久し振りに楽しんできなよ!でも、子供のお風呂はお願いね!(笑)なんて感じで、急いで2歳の子供と風呂へ入る。


『そんな昔のリングして、どこ行く気なの?(笑)まぁ、あんまり遅くならないでね』


「あぁ、吐かない程度に楽しんでくるよ(笑)」


それじゃ、と玄関から出かけようとする時、2歳の子と上の小学生のお兄ちゃんが送りに来た。


「パパ、お土産欲しいなぁ~!お願いね?」


流石に帰る頃には寝ていると思うが何か買って帰るか。そんな息子にお願いをひとつ。


「妹の面倒見てあげるんだぞ~お願いね?」


「うん、分かったよパパ!任せておいて!」


元気なのは良いことだ、流石に急がないとな。


「それじゃ、行ってくるから、よろしくね!」


とてとてと、2歳の子がバイバイのタッチをするのに、グィっと手を伸ばして、


『バイバイ』


と笑顔でいるので、優しくタッチすると満足なのか、お兄ちゃんと共に居間へ戻っていった。


「じゃ、行ってくるね。」


「はーい」


カラン。いつもより明るい音が玄関ドアから聞こえた気がしたが、気のせいだろうか。

目の前に待っているタクシーのドアが開き、そっと目的地の居酒屋へお願いし、走り出してから、窓を少し開けて当然のようにタバコへ火をつけ・・・そして、怒られた・・・世知辛い世の中だな、おぃ(笑)


消え入りそうな鼻歌を口ずさみながら、皆元気にしてるかなぁなんて思いながら、寂れた繁華街の景色を眺めていた・・・


馬場 孝雄

年齢 39歳

Lv ー

HP 19

MP 0

職業 教習所教官

スキル 指導、隠蔽


木山 謙次

年齢 39歳

Lv ー

HP 23

MP 0

職業 清掃作業員

スキル 荷運び、解体


浅村 修

年齢 39歳

Lv ー

HP 20

MP 0

職業 ギャンブラー

スキル 料理、確率計算


大田 賢治

年齢 39歳

Lv ー

HP 18

MP 0

職業 会社役員

スキル 話術、機械いじり

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