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惨状

「な、ぜ貴様は………」


ドサッ


「あー、やっと倒れたか。やっぱり神の配下と言えど、神の力は通用しにくいなぁ」


もうそろそろ戻ってしまいそうだし、最後に…


「スーマに会っておくか」


ビュオッ!!






――――――――――――――――――――――――






「い、行ったのか…???」


「イスィー様の治療を急げ!!医療班を早く呼べェ!!」


「ここは一時撤退だ!!ノイタークには信じられん化け物がいる…!!」


足手纏いになると判断した一般兵達は、燃えカスになりかけたイスィーを助けるために手早く撤退する。


「あの無敵と言われたイスィー様が、ここまで…!!!!」


「我等は虎の尾を踏んだ、のか…???」






――――――――――――――――――――――――






「確かこの辺〜…あったあった」


上空へ飛び上がり、辺りを見回してノイタークの位置を特定する、ジーニスの姿をした全くの別人。


「お邪魔しま〜す」


ドッ!!!!


降り立ち、地面を抉る。


「さてと、スーマのことだし俺が出てくるの予見してただろうから…あ」


見るものによっては卒倒してしまいそうなほど、悍ましい笑みを浮かべるジーニス。


「…見つけた」






――――――――――――――――――――――――






「…ハッ!!」


あれ?ここって…


「ん…?家?俺の部屋???」


夢を見てた気がする。前にも同じシチュエーションがあった気がするけれど、今度は悪い夢を見ていたような…


「すん…焼ける匂いがするな。父さんが仕事してるんだろうか、手伝いに行かないと…」


階段を降りても、一階には誰もいなかった。


「母さんがいない…?うっ…!!」


焼ける匂いに混じった、やけに生臭い酷い臭いがする。


「外からか…?」


なんだろう…嫌な予感がする。とても悪い何かが、俺をほくそ笑んでいるかのような気味の悪い感覚。


「出てみるか…」


誓ったのに。


ガチャッ…


みんなを守るって


「…は?」


誓ったのに。


「なんだよ…これ…」






――――――――――――――――――――――――






ゴォオオオオオ…


「なんで…!」


家が


「なんで…こんな事に…!!」


みんなが


「うぷっ…ぐっ…おぇぇぇ…」


灰と化し、燃えていた。


「はぁ…はぁ…!意味が…わからない…!!!!」


どこを見ても、人と家屋の燃えクズが目に入り、ノイタークが赤く、黒く、染まっていた。


「み、みんなは…???」


いない。燃屑と化した異様な人影を人と見なさなければ、生きている人は俺以外に見当たらない。


「…うぷっ」


わからない。考えても考えても考えても、いくら考えようとも、炎に包まれたノイタークの惨状を理解しきれない。


「痛ッ…」


左胸が強く痛む。


バッ!!


服を上げ、痛みを訴える左胸を見てみる。


「焼き…痕…???」


「ジーニス!!」


聞き覚えのある声に、少しだけ希望を見出す。


「ス、スーマさん!?」


「お前は本当に、ジーニスか!?」


でも、スーマさんは見覚えのある見た目じゃなくて…


「はっ…???」


「お前は本当にジーニスかと聞いている!!」


黒い角と翼を生やした、まるで人間じゃないような見た目をしていた。


「どういう…?」


「いいから答えろ!!」


「ジ、ジーニスですが…」


シュゥ…


「なら、いい…」


翼と角が消えた…?


「あ、あの!里は…?みんなはどうしたんですか!?」


ズキッ!!


「うっ!」


痛い、今度は頭が強く痛む。




「君は誰も殺さなくていい」




「ガルロ…さん…?」


思い…出した…!俺…イマジーネ兵と戦って…!!


「スーマさん!!これはイマジーネが!?」


「…やはり、覚えていないようだな」


「えっ…?」


覚えていない…?俺はあの青髪の刀を持った奴に殺されかけたんじゃ…


「どういう事ですか…?」


「説明はあとだ、とりあえず被害を逃れた裏山に行くぞ」


「は、はい…」


俺が死にかけた後、何があったんだ…?






――――――――――――――――――――――――






「傷がない…?」


左胸に身に覚えのない焼き痕が残されている代わりに、あのイマジーネ兵に斬られた傷が無くなっている。


「…」


スーマさんもチラリと俺を見ただけで、何も言ってはくれない。


「あ、あの…」


「着いたぞ、避難所だ」


「避難所…?」


前にベラキサムとスキルを確かめた場所に、大きいものの簡素な作りの建物が建っていた。


「入れ、ジーアベルに会わせてやる」


「父さんは無事だったんですね!?」


「クリナも…生きている…」


「…!!!!」


よかった!喜んでいいのかわからないけど、ノイタークにあった焼死体に、父さん達は含まれてなかったようだ。


「ここだ」


「父さ…!?」


布で仕切られた部屋に入ると、俺の目に入ってきたのは…


「父…さん…?」


変わり果てた姿だった。


「う…うぅ…」


手足は切断され、包帯でぐるぐる巻きになっていて、隙間から覗かせる肌は黒く変色していた。


「うっ…嘘…だろ…???」


「最善は尽くした。クリナも生きてはいるが…」


スーマさんの言葉が理解できないまま、すっかりと変わってしまった父さんから目が離せないでいた。


「私の対応が遅かった…残された力で転送するには、時間が足らず…」


「転送…?」


「ジーアベル達はジーニスが来るまで残ると…」


「あ…あああああぁ…!!」


俺のせいだ!!俺がガルロさんを助けるために、イマジーネ兵に戦いを挑んだから…!!!!


「父さん!!!!」


「バケ…モノ…!!」


酷い…


「誰がこんなことを…!!」


「………幸い、少人数の里の者は転送する事は出来たが…」


「べ、ベラキサムは!?」


「あいつは父と共に転送した。急いで作った魔法陣だから、行き先までは…」


ベラキサムと親父さんは無事か…よかった。


「探しに行かないと…!」


「…転送先がわからないと言うことは、イマジンのどこに行ったのかがわからないということだ」


「それでも…!!」


「う、うぅぅぅぅ!!!!」


突然、父さんが苦しみだす。目を開けながら、切り落とされ、残った腕の残骸を伸ばす。


「父さん!!」


「ヒッ!!」


パキキッ…


怯え、震えが止まらなくなる。その動きに連動して焼けた肌からは黒い血が垂れ、包帯に滲み出る。


「父さん、俺だよ!!」


「バケモノォ!!来るなぁ!!!!」


そう言葉を発する父さんの、恐怖を映し出した瞳が…


「ジーニスを返せ!!バケモノがァ!!!!」


俺を真っ直ぐ見ていた。


「………えっ?」

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