襲撃…妹ターン「最も危険な場所への接近」
※妹です。
(お兄ちゃんホント…蟲が苦手だなー)
クチクチと氣絶したぷるんの口を弄び、TMKК形態になる。
(…)
…、
……、
………。
「おきろ!」
っは!
「おぃおきろ!」
マサアがお兄ちゃんの肩をゆすって、起こそうとしている。
「おきろ!!」
あ、起きた。
「おい!おきろ!敵襲だ!お前達姉弟はそこの地下通路から外へ出て、ここから離れろ!いいな?」
「あゝ…」
寝ぼけてるけど…大丈夫かなー?
「よし!行け!」
フラフラとした足取りで、言われた通りに避難する兄の後についていき、魔力蜜を渡しつつ後ろで奮闘しているような音を聞きながら外へと向かう。
(…脱出するときには苦労しないような作りで…、襲撃には迷わせる感じになってるんだなー)
あっ。
「外だ!」
「…相変わらずな奴」
(魔力蜜を飲んでだいぶ調子戻ったかな?)
そう思いつつキョロキョロと周囲を確認すると…。
「あっ、お兄ちゃん!」
洞穴出て右手後ろの方角にある【ギルガーデン】の駐屯地には、ゴブリンの様なモンスターが群がっている。
「もしかして、彼処からきたのか?」
「そうだよお兄ちゃん」
「俺は足手纏いか…」
最初はそんなものじゃない?
「その森美徒で出来ること把握しないと…そうなるんじゃない?」
「男としては…、なんとか踏ん張ることしたいんだよ」
お兄ちゃんのよく分からない意地ってやつだね。
「んーそうだねー………………………!」!」
ガサガサと二つの氣配…!
「………!」
「お兄ちゃん…後ろへ」
「…お、おぅ」
(そういえば…最前線は、お兄ちゃんがよくやりたがってたなー…)
恐らく妹の後ろで戦うゲームはプライドとかプレイスタイルが合わないなどで、最前線と前衛火力を選んでいたのだろう。
(久しぶりの後衛だからかな?お兄ちゃんの立ち位置…ちょっと危なっかしいなー)
ガサ…、ガサガサ…、ガサ……………………………、ガサッ!!!!
飛び出してきた初撃を素早く腕でガードして押し返し…、次撃に備えるように体制を整え…もう一つの氣配を探る。
「コイツ…!」
骸骨の顔に獣の角が生えて、所々にしかない筋肉のモンスターって…。
「ゴブリンデーモン!?」
そうそんな感じ…って!
「GUAAAAAAAAAAAAA!!!!!」
兄の後ろに氣配が廻り込んでる?!
「お兄ちゃん…!後ろ!」
「…っ!」
後ろを見るともう一体のゴブリンデーモンが現れて、棍棒を振り下ろす素振りをして、兄に不意打ちの一撃を腹に加え…わたしとの距離を離すように兄をそのまま殴り吹き飛ばす。
「っぐ…!」
ものすごく苦しそうな顔をする兄を見て、今の森美徒で耐えきれない激痛に襲われていることが分かった。
「…お兄ちゃん!っく!こいつ!」
ゴブリンデーモンがトリッキーに動き…、獲物に近づけないような…実に的確な猛攻で間合いを作り…わたしを攻め倦ねさせる。
(っ…!!なんで………!!)
兄を守れない状況を巧みに作られていくのに…苛立ちと焦りが走る。
(この!このおおおおおおおおんんんんん!!!!!!!!)
不意打ちに成功したゴブリンデーモンが兄を担ぎ、笑いながら逃走していく…。
「お兄ちゃん!お兄ちゃぁああああん!!っ!!こいつ!こいつ!!」
ウザったい!!!!!
…この!
…この!
…このおおおおっ!!
此方の攻撃が当たらず、向こうは有利な状況を作り…目的を手中に収めて、時間稼ぎをし…更に此方の心を乱してくる…。
…、
……。
「ふーーーーーーーー……………………」
落ち着こう。
冷静に…、冷静に…なれ。
思い出せ…、こんな時は…ゲームではどうしてた?
…。
「コントローラーは逃げない…焦らずじっくり立ち向かえ!」
…。
その言葉を思い出す…。
…、
落ち着いて…まず、兄の氣配を感じ取るように感覚を広げる。
…………………、
……………、
………、
…いた!
そして、周囲にゴブリンデーモンの隠れている氣配も感じる。
…、
それも…、
4体以上!
「…条件が揃った…」
使用可能状態を示すような点滅を感じる…。
それは、出来なかった瞬間入力必要コマンドを…、何度も何度も打ち込むことにより…できるよになるような…。
思春期に忘れたはずの独特の喜びのようなものが溢れる…。
「……我……鬼神の如くにて………戦場を支配するものなり……」
身体に血流と電流が漲ってきて…その場を圧倒するような氣魄を出し、圧倒的な腕力でゴブリンデーモンの技を捻じ伏せ、急いで追尾氣配を辿る。
「…今、助けに行くよ!お兄ちゃん!」
カサカサカサっと疾る。
「…んん?」
途中兄の匂いが濃くなった場所がある。
記憶で一度だけ嗅いだことのある匂い…。
…。
(お姉ちゃん…ボク、お姉ちゃんが好きだ…、この禁じられた氣持ちは、これっきりで終わらせてもらうね…)
…。
この体が1歳の時の記憶で……………。
…、
それが此処で匂うと…無性に腹がたつ…。
(…)
疾る速度がさらに増しゴブリンデーモンの巣穴へと急ぐ…。
…、
「GUGIIII!」
「GUAAAAAA!」
「邪魔………………………むぅ…」
戦場の鬼神が切れている…、仕方ない。
「…落ちついて…急所を狙う」
先ほどの戦闘で仕留め方のコツをなんとなくつかんでいるはず…。
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