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狩りの終了とベリーの提案

「ご主人、また来てるよ〜〜!」

「早くしないと危ないですよ〜〜!」

 アクアを揉んで和んでいると、アルファとサクラの楽しそうな声が聞こえて慌てて振り返る。

 何と、さっきよりもさらに大きな超巨大ギガントスッポンもどきが、これまた大口を開けて真っ直ぐに俺の方へ向かってまさに滑り落ちてくる真っ最中だった。

「どわあ〜〜! 危ねえって!」

 慌ててそう叫び、握っていたアクアを放り出して槍を取り出す。



「ご主人を〜〜」

「お守りしま〜〜す!」



 元気な声が聞こえて、一気に伸びたアルファとサクラが滑り落ちてきた超巨大ギガントスッポンもどきの顔面に張り付く。

 それを真正面から見てしまった俺は、堪えきれずに吹き出したよ。

 だって、アルファとサクラがダブルで張り付いた、めっちゃ凶暴な顔して大口開けて突撃してきた超巨大ギガントスッポンもどきの顔なんだけど、それがもうどこから見ても、ラップを顔にぴっちり張り付けられてブサ顔になってる芸人そのままの顔になってたんだからさ。

 あれを正面から見て笑うなって方が無理な話だって。

 そしてさっきと同じくそのままその場に縫いとめられたみたいに止まった超巨大ギガントスッポンもどきに向かって、大きく深呼吸をして気を取り直した俺は、力一杯振り上げた槍を尻尾の根元辺りに向けて叩きつけた。

 狙い通りに一瞬でジェムと素材に変化する超巨大ギガントスッポンもどき。



「ジェム確保〜〜!」

「素材確保〜〜!」

 一瞬で元に戻ったサクラとアルファが、それぞれ落ちたジェムと素材の鼈甲(べっこう)もどきを拾って大喜びしている。

「成る程な。あんな風に広がって張り付けば噛みつかれる前に確保出来るわけか。すげえなスライム」

 あれは、いつも乱戦になった時に俺の背後で伸びて楯替わりになってくれている、あれの変形バージョンっぽい。

「いつもありがとうな! 頼りにしてるぞ」

 アクアとサクラもそう言って交互に撫でて揉んでやってから、また槍を手にして滑り落ちてくる超巨大ギガントスッポンもどきを待ち構えた。




「そろそろ一面クリアーかな?」

 最後に滑り落ちて来たのは、なんと直径3メートルを余裕で超えるサイズ。

 あれはさすがにマジで怖かったよ。

「お疲れさん。大物も無事にやっつけたみたいだな」

 振り返ったハスフェルの声に、俺は苦笑いしながら足元に転がる超巨大な鼈甲(べっこう)もどきを指差したよ。

「おお、それはかなりの大物だな」

 降りて来たギイの声に、俺もちょっとドヤ顔になってアクアに鼈甲(べっこう)もどきを渡した。

「もう今日はこれで終わりみたいだな。じゃあ一度戻るか」

「おう、また安全地帯か」

 槍を収納して、駆け降りてきたマックスに飛び乗った俺の言葉に、同じくシリウスに飛び乗ったハスフェルが小さなため息を吐いて首を振った。

「いや、一度バイゼンヘ戻ろう。あのモンスターについて、一応彼らにも知らせておいた方がいいとベリーが言って来たんでな」

 ベリーは飛び地の外へ出て周囲を警戒してくれていたはずなんだけど、何かあったんだろうか?

 なんだか心配になってハスフェルを見ると、彼は苦笑いして肩を竦めた。

「なんでも量は少なかったらしいんだが、数カ所で増殖したと思しきあの黒い粉の痕跡を見つけたらしい。って事は、複数の塊が飛び地の外に出て増殖してるって事だ。合流してさらに増えたら厄介な事になる」

 その言葉に俺は、あのシャムエル様とハスフェルの壮絶な戦いを思い出して足が震えた。

 もしもあれがバイゼンの近くに現れたら……。



「あ、現れたら、どうするんですか?」



 なんだか怖さのあまり変な言葉使いになったけど、誰もそんな俺を笑わない。

「バイゼンから離れた場所で発見出来れば、なんとしてでも俺とシャムエルで駆逐する。だが、もしも街の近くに現れたら……」

 口籠るハスフェルを見て、俺は天を仰いだ。

「やめてくれよ。これって絶対最悪の状況が起こるフラグだろ。駄目じゃん。マジでどうするんだって」

 顔を覆って叫ぶ俺の言葉に、ハスフェル達が揃って大きなため息を吐く。

「だから、とにかく近くで強力なモンスターが出現してる事をバイゼンに知らせておくべきだ。彼らは以前、もっと弱いモンスターの出現を甘く見て、その結果あのメタルブルーユリシスの生息地の森を焼き尽くす羽目に陥ったんだよ。だから、今なら間違いなく最高の防御態勢を敷いてくれるさ。万一に備えて火の術を使える術師を集めておく必要がある。とにかく戻ろう」

「了解だ。じゃあとにかくここを離れよう」

 ため息を吐いた俺も、そう言ってマックスの手綱を掴んだ。



 顔を見合わせた俺達は、とにかく飛び地の外へ出る為に、一気に走りだしたのだった。

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