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戦闘準備と最強の布陣

「いやあ、やっぱりステーキは最高だね」

 ご機嫌でそう言いながらあっという間にステーキ定食を平げて、尻尾のお手入れをするシャムエル様。俺は笑ってそのもふもふの尻尾を横から突っついてから、両手ですくってマックスの頭の上に乗せてやった。

「もう机は片付けるから、尻尾のお手入れするならここにいてください」

「はいはい」

 顔も上げずに返事をしたシャムエル様は、いつものマックスの頭の上の定位置に収まってまた尻尾のお手入れを続けた。

「さてと、それじゃあここは撤収かな」

 あっという間にスライム達が出していた道具を片付けてくれたので、最後の椅子を畳んでサクラに飲み込んでもらった。

「じゃあそろそろ良い時間だし、片付いたのならオーロラタートルの池へ戻るとするか」

 ハスフェルがそう言ってシリウスに飛び乗ったのを見て、俺もマックスの背に飛び乗った。

 従魔達もいつもの定位置に収まり、お空部隊が巨大化して一斉に羽ばたいて上昇する。

「上空からあいつらが警戒に当たってくれる。大鷲達も呼んでいるから、一応飛び地内部を巡回してもらっているぞ。俺達は今日はジェムと素材集めだ」

 どうやら、周囲の警戒はベリー達とお空部隊、それから大鷲達に任せる事にしたみたいだ。って事はちょっとは安全だと判断したって事かな。

 内心で密かに安堵しつつ、俺は近づいてくるあの陰気な苔だらけの池を見た。



「それで、あそこにはどんなジェムモンスターが出るんだ?」

 あの中に入って戦えと言われたらちょっと嫌だな、と思いつつそう尋ねる。

「オーロラタートル。綺麗な虹色の甲羅を持つジェムモンスターで、当然ながら甲羅が素材だ。これもバイゼンの細工師達が大喜びで買ってくれるぞ。ああ、アンモナイトとセットで出せば、また職人達が狂喜乱舞してくれるぞ」

「あはは、そりゃあ楽しみだな。じゃあ頑張って集めるとするか。で、どうやって戦うんだ? あの池には出来れば入りたくないよ。絶対足を滑らせて転んで終わるぞ」

 俺の言葉に三人が同時に吹き出す。

「それは俺もごめんだな。大丈夫だよ。オーロラタートルが出てくるのは、池じゃなくてあっちだ」

 笑ってそう言いながら、ハスフェルとギイが揃ってあの大岩を指差す。

 正確には、大岩の池側にある、彼らがさっき見ていた窪みになった部分を。

「あそこから出て、池へ向かう。だからその間に倒せば問題無い」

 断言されて、岩から池までの距離を見る。

 多少の高低差はあるけど、直線距離でも軽く100メートルくらいはありそうだ。これなら、従魔達も余裕で戦う場所はありそうだ。

「成る程。池まで辿り着けばジェムモンスターの勝ち。それまでに倒せば俺達の勝ちって事だな」

 笑って頷かれて、俺はマックス達を振り返った。

「ええと、じゃあお前らはどこに……」

「そんなの一番前に決まってるじゃあありませんか!」

 マックスとシリウスと狼達から、同時に叫ぶような声が聞こえる。

「ええ、何言ってるのよ。そんなの私達が一番前に決まってるわよ〜〜!」

 ニニとティグ達猫族軍団の声も聞こえて俺は遠い目になるのだった。

「ま、まあ喧嘩せずに仲良くやれよ。ああ、そうだ。あの大岩の右側と左側でマックス達とニニ達に分かれて戦ったら良いんじゃないか?」

 一番妥当そうな、左右両方から出現する穴を狙える位置を提案する。

「ううん、取り合いになるような気もするけど、まあいいわ。ジェムモンスターがどちらに来るかで優先権を決めましょう」

「ああ良いですね。左右に別れて待機して、自分達の方へ来たらやっつければ良いわけですね」

 マックスの言葉に、ニニとティグが満足そうに笑う。

「そうそう。わかってるじゃない。じゃあそれでいきましょう。皆いいわね〜〜!」

「いいわよ〜〜!」

 猫族軍団の嬉々とした返事と共に、従魔達が一斉に移動して位置についた。



 大岩の手前側にはマックスとシリウスそれからデネブとエラフィ、草食チームも全員が巨大化して待機する。どうやらあいつらも今回は参加するみたいだ。

 上空には、巨大化したプティラだけが先ほどから旋回している。

 どうやら俺達の護衛とジェムモンスター狩りを兼ねて戻って来たみたいだ。

 まあ、上空からの援護は万一何かあった時に有り難いので、例え一匹だけでもちょっと安心出来るよ。

 セーブルは、猫族軍団側に行きかけて少し考えてマックス達の列の端に並んだ。

 そうだな。セーブルはあっち行ったら、猫族軍団はどう考えても過剰戦力だから、こっちで正解だ。



 まあ、どっちも有り得ないくらいに皆強いんだけどね。



 その結果、結局俺は一番池に近い草地の端っこに追いやられ、マックスを始めとする従魔連合軍が大岩のすぐ側に左右に分かれて展開。その後ろをハスフェル達が取り巻き、その背後に俺が控えてる形で収まったよ。

 別に良いけど、これってどう見ても俺の所には一匹も辿り着けない布陣だよな。 

 ここにはジェムモンスターは辿り着けませんでした! に、金貨千枚くらいは余裕で賭けるぞ。

 俺が密かにそう思って苦笑いしていると、不意に前方が騒がしくなる。

「お、始まったかな?」

 スライム達は俺の側にいてくれているので、俺は腰の剣を抜いて身構えつつ、少し離れた場所に展開しているハスフェル達三人の背中を息を潜めて見つめていたのだった。

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[一言] 絶対、ハデな討伐なやつ 絶対、ひまになるやつ
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