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昼食は焼きおにぎり!

「ここなら見晴らしもいいから、何か来てもすぐに分かるな。じゃあ作り置きを出すから、食べてくれよな」

 オーロラミニラットの出現場所から少し離れて、食事休憩のために見晴らしの良い丘の上に移動して来たところだ。

「じゃあ私達が周辺を警戒してるから、ご主人達はしっかり食べてね」

 巨大化した従魔達が俺達の周囲を取り囲んで座る。

「お前らの食事は大丈夫なのか?」

 草食チームはここの雑草が美味しいらしくてさっきモリモリ食っていたけど、肉食チームは食べていないはずだ。

「まだ大丈夫ですからご心配なく。だけどちょっとお弁当が少なくなって来たから、一度ゆっくり狩りに行きたいわね」

 ニニの言葉にマックス達も揃って頷く。

「まだ大丈夫?」

「もちろん、そんなにすぐには無くならないからご心配なく」

「そっか、じゃあここの飛び地の探検が終わったら行けばいいな」

「あまり寒くなるとこのあたりは雪が降るみたいだから、それも楽しみだわ」

 ニニのそばにいた雪豹のヤミーの言葉に、ニニとカッツェが露骨に嫌そうになる。

「ええ、雪が降ったら私は行かないわ」

「私も行きたくはないですねえ」

「ええ、雪が降ったら楽しいのに!」

「そうですよ! 雪が降ると楽しいですよ!」

 ヤミーの言葉に全力で同意してるのは、猫族軍団の中ではティグだけで、狼達やグリーンフォックスのフラッフィーも一緒になって何度も頷いている。

「あはは、そうだよな。ニニは冬は絶対散歩に行かなかったもんなあ」

「寒いのは嫌」

 そっけなくそう言うと、隣のカッツェとお互いを舐め合って喉を鳴らし始めた。

「仲良くな」

 笑ってそう言い、サクラが色々取り出してくれた机の上を見る。

 今はテントは張っておらず、机と椅子を出しただけだ。



「ううんちょっとひんやりしてきたから、焼きおにぎりにするか」

 そう呟いて取り出したフライパンをコンロに乗せて火をつけてから自分のおにぎりを適当に選ぶ。その時キラッキラの目で俺を見つめているシャムエル様と目が合ってしまい、俺は即座に選んだ分を全種類もう一個ずつ追加したよ。うん、余ったら置いておけばいいんだからさ。

「おにぎりにするなら味噌汁も温めよう。誰か味噌汁欲しい人いるか?」

 片手鍋を手に尋ねると、サンドイッチを選んでいた三人が揃って手を挙げる。彼らはパンに味噌汁でも全然OKだもんな。

「じゃあ全員分だな」

 って事で、いつもの量を片手鍋に取って火にかける。

 今日の味噌汁はワカメと豆腐の定番だ。



「それで、それは何を作るんだ?」

 サンドイッチを見ていたオンハルトの爺さんがこっちへ来て興味津々で覗き込んできたので、俺は選んだおにぎりを熱したフライパンに乗せながら顔を上げた。

「焼きおにぎりを作るんだよ。表面がカリカリになるまでじっくり焼いて、最後にちょっと醤油を垂らすんだ。その醤油が焦げてめっちゃ美味いんだよ」

「ほう、そりゃあいい。じゃあ俺の分も一緒に焼いてくれるか」

 そう言って慌てておにぎりを選び始める。

「おいおい、なんだか美味しそうな事言ってるじゃないか。せっかくだから俺の分も焼いてくれよ」

「はい、俺も食べたい!」

 ハスフェルとギイが、慌てて揃って手を上げるのを見て、俺は諦めのため息を吐いてもうワンセットコンロとフライパンを出してもらった。

「じゃあ、焼いてやるから好きなのを選んでくれよ」

 選んでいたサンドイッチの皿を置いて、オンハルトの爺さんと一緒に嬉々としておにぎりを選び始める。

 その量を見て呆れたように笑った俺は、更にもうワンセットサクラに取り出してもらってコンロの火を入れたのだった。




「うああ、この醤油が焦げる香りが堪らない!」

 予定外に大量の焼きおにぎりを作る羽目になったが、基本焼きおにぎりは放置してて大丈夫なのでそれほど大変ではない。まあ酷く焦げないように気をつけるくらいで、あとは弱火でじっくり焼くだけだもんな。

 しばらく待って、じっくり焼いた表面がこんがりカリカリに焼き上がったところで、仕上げの醤油を回しかけていく。

 一気にフライパンから香ばしい香りが上がり、三人の悲鳴が重なる。

「ふふふ、これをもうちょい焦げるまで焼けば出来上がりだ」

 ここでちょっと火を強くして、一気に焦がせば完成だ。



「お待たせ〜〜!」



 いい感じに焦げたところで、待ち構えていた三人のお皿に焼きおにぎりを乗せてやる。

 最後に、残りの大量の焼きおにぎりを大きなお皿にまとめて乗せたら、サクラに収納してもらっていた温めた味噌汁を取り出してお椀によそる。あとはだし巻き卵と串焼き肉を小皿に取れば完成だ。

「うん……夜は野菜たっぷりのメニューにしよう」

 野菜皆無のメニューを見て小さく笑った俺は、スライム達が用意してくれた簡易祭壇に出来上がった焼きおにぎりを並べた。

「焼きおにぎり色々とお味噌汁、それからだし巻き卵と串焼き肉だよ。少しだけどどうぞ」

 いつものようにそう言って手を合わせて目を閉じる。

 まあ、あの山盛りの焼きおにぎりは決して少しって量ではないが、シルヴァ達四人にとっては少しだろうから一応そう言っておく。

 収めの手が俺の頭を何度も撫でてから、並んだ料理を順番に撫でていき、最後に焼きおにぎりの乗ったお皿ごと持ち上げるようにしてから消えていった。

「気に入ってくれたみたいだな。これからの寒い時期は好きだからよく作ってたんだ。また作ったらお供えするからな」

 祭壇に向かってそう言うと、お皿を持って自分の席へ戻っていった。



「食、べ、たい! 食、べ、たい! 食べたいよったら食べたいよ〜〜!」

 お皿とお椀を両手に持ったシャムエル様が、久々の食べたい歌に合わせてダンスを踊ってる。

 横ではカリディアがやっぱり同じようにグラスを手にシャムエル様のダンスを完全にコピーして踊っている。

「あはは、相変わらず見事なダンスだよ」

 最後は上下に分かれてキメのポーズで止まる。

「それで全種類欲しいんだよな?」

 一応確認すると、目を輝かせながら首がもげそうな勢いで頷かれた。

「わかったわかった、入れてやるからちょっと落ち着けって」

 お皿を差し出しつつ下半身だけでステップを踏み始めたのを見て急いで色々入れてやる。

 一応、塩むすび、昆布、甘辛く炊いた生姜、シャケもどき、カリカリ鰹節の五種類だ。

 一つがコンビニおにぎりの倍サイズなので、選べなくてこれだけ焼いたが俺は全部食べ切る自信はない。

「ええと、五種類あるんだけど、全部食えるか?」

「もちろん!」

 即座に断言されて、もう乾いた笑いしか出てこない。

 って事で、それぞれ一個ずつ入れてやり、だし巻き卵を丸ごと一切れと、串焼き肉も大きいのを一つ外して乗せてやる。

 自分の皿には少し考えてシャケもどきとカリカリ鰹節、それから生姜の三種類を選んで乗せる。

 改めて手を合わせてから食べ始める。

「ううん、この醤油の焦げた香りが堪らん。そうか、寒い時期に狩りに出たら暖かいのが食べたいもんな。よし、今度焼きおにぎりもまた沢山焼いておこう」

 醤油もいいけど、味噌ダレの焼きおにぎりとかも良いもんな。

 そんなことを考えつつ、だし巻き卵を口に入れるのだった。

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