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境界線への撤収と夕食準備

「さてと、それじゃあ一面クリアーしたみたいだからそろそろ次へ行くか」

 笑ったハスフェルの声に、座ってすっかり寛ぎモードだった俺は慌てて立ち上がって顔を上げた。

「おう、次はどこへ行くんだ?」

「さて、どっちへ行く?」

「そうだなあ。俺としては欲しかったイグアナが二匹も手に入ったから、もう今日はこれでいいかとも思ってるんだけどなあ」

 ハスフェルの問いに、ギイが笑いながらそう言って肩を竦める。

「確かにそろそろ夕食の時間だなあ。じゃあ、安全地帯へ戻りがてら周囲の確認をして、何かよさそうなのがあれば少し戦うくらいでいいんじゃないか?」

 戻って来たマックスの背に飛び乗りながらそう言うと、二人も笑って頷いてそれぞれの従魔に飛び乗った。

 オンハルトの爺さんは、早々にエラフィに乗って出発する気満々だ。



「それなら回り道して戻るとするか。あのあたりの出現率も確認しておきたいからな」

 ハスフェルを先頭に俺とオンハルトの爺さんがその後ろに並びギイが背後につく。

 草食チームは小さくなっていつもの定位置に、それ以外の子達は巨大化して俺たちの周辺を取り囲むようにして警護してくれている。

 お空部隊の面々も、全員巨大化して上空を旋回しながら俺達にピタリとついて来ている。

「それで、次は何が出るんだ?」

「オーロラミニラット。これは素材が当たりなんだよ。だからありったけ狩るぞ」

 俺の質問に、前を行くハスフェルが振り返らずに答える。

「ああ、あれが出るのはここだけだからな。出現率がどうなってるかはぜひ確認しておきたいなあ」

 ハスフェルの答えを聞いて、ギイも何やら嬉しそうにそんな事を言ってる。

「へえ、一体何が出るんだよ」

 ちょっと興味が出たので、良さそうなら俺も参加したい。

 すると、隣を走るエラフィに乗ったオンハルトの爺さんがにんまりと笑った。

「オーロラミニラットの素材は、毎回では無いが握り拳ほどの銀塊が出るんだ。そして素材出現の数回に一度の確率でこれも小さいが直径数センチ程度の金塊が出るんだよ。ジェムモンスターで素材に金が出るのはこいつだけだからな。ありったけ集めさせてもらおう」

「おお、銀や金が出るっていかにもお宝って感じがする」

 俺の言葉に、三人も嬉しそうに笑って何度も頷いていたよ。




 しばらく走り続けて到着したそこは、所々に岩場がある草原で何も無い場所だった。どうやらこの岩場がジェムモンスターの出現場所のようだけど、肝心のジェムモンスターの姿はどこにも見当たらない。

「ふむ、タイミングが悪かったみたいだな」

「どうやら今日の出現はもう終わったみたいだ。だが地脈の吹き出し口は健在だから、出現は安定してそうだな」

「なら今日のところは戻って、明日はここへ真っ直ぐに来よう。せっかくだからお宝を集めたいだろう?」

 にんまりと笑ったハスフェル達の言葉に、俺は笑顔でサムズアップしたよ。

 って事で明日の予定が決まったので、このまま一旦安全地帯の境界線まで戻る事にした。

「それじゃあまた頼むよ」

 笑ってマックスの首元を軽く叩き背筋を伸ばす。

 そのままさっきの陣形に戻って、俺達はひとまず飛び地を後にしたのだった。






「お疲れさん。さてと、それじゃあ夕食は何を作るかねえ」

 水場の近くにテントを張って俺のテントに集まる。

「師匠が作って渡してくれた味付きの肉がまだ大量にあるんだよな。じゃあ今夜はこれを焼いてがっつり丼か、パンに好きなだけ挟んで食べてもらおう」

 取り出したのは、グラスランドブラウンボアの味噌漬けだ。ちょっと甘めの味付けで、焼いたこれをそのままご飯の上に乗せたらめっちゃ美味しい味噌焼き丼が出来るぞ。

「ああ、いいなあ。じゃあ俺はパンで頼むよ」

「俺もパンが良いな」

「俺は是非丼で頼む」

 予想通りの答えに笑って頷き、大きめのフライパンを二個取り出す。

 一通りの食器とおひつに入れたご飯。それからパンを色々と取り出して机に並べておく。

「味噌汁と、後は何か箸休めが欲しいなあ。ええと、ワカメときゅうりの酢の物があったな。じゃああれと、他に小鉢になりそうなおかずを適当に出しておいてくれるか」

 机に乗ったサクラにお願いして、俺は大量の味噌漬け肉を二つのフライパンで焼き始める。

「焦がさないようにしっかり混ぜながら焼いていくぞ〜〜」

 リズム良くフライパンを時折交互に煽りながら、肉を軽くかき混ぜてはひっくり返す。

「ううん、香ばしいいい香りがしてきたぞ」

 辺り中に、味噌焼きの香ばしい香りが立ち込めてくる。

「うああ、香りだけで肉が無いって嫌がらせかよ!」

 笑ったハスフェルとギイが、焼いた大量のパンをお皿に山盛りにして席につきながら揃って叫ぶ。

「豚肉系はしっかり焼かないとダメなんだよ。だから気持ちは分かるけどもうちょい待て」

 ちょっと弱火にしていたのをまた一気に強火にしてフライパンを煽る。

「よし、いい感じに焼けたぞ。俺のご飯〜〜!」

 ハスフェル達の分は、大皿にどっさりまとめて山盛りに盛り付けてやり、自分の分のご飯をよそおうとしたら、すでに山盛りのご飯が入ったお椀が目の前に差し出された。

「ほら、これくらいあれば良かろう?」

 笑ったオンハルトの爺さんにお礼を言い、お椀を受け取る。

 それから二人分のお椀に山盛りに焼けた肉を盛り付けていく。



「ううん、さすがにちょっと多かったか。じゃあこっちのお皿に置いておくから、足りなかったらここから自力で確保してくれよな」

 ってことで残った肉は大皿に追加で盛り付け、俺も小鉢を選んで取ってくる。

「ご主人、祭壇の準備完了です!」

 アクアの声に振り返ると、隣にいつもの簡易祭壇が綺麗に準備されている。

「おう、ありがとうな。じゃあこれを並べてっと」

 俺の分の山盛りの味噌焼き丼と、ワカメときゅうりの酢の物、それから厚揚げとじゃがいもの味噌汁を並べる。短冊に切った大根と人参の塩揉みも一緒に並べる。味が濃いメニューの時は、箸休め必須だよな。

「お待たせしました。師匠特製グラスランドブラウンボアの味噌漬け肉の丼だよ。少しだけど小鉢と味噌汁も一緒にどうぞ」

 そう言って手を合わせて目を閉じる。

 いつもの収めの手が俺を何度も撫でてから料理を順番に撫でるのを見送り、収めの手が消えてからお皿を持って席についた。

「待っててくれたのか、ありがとうな」

 お礼を言ってから改めて手を合わせてお箸を手にする俺だったよ。

 はあ、しっかり働いた後のご飯は格別だね。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  ☆★☆祝!900話☆★☆ これからもお体に無理のないペースで『もふむく』を続けて下さい♪ [一言] シャムエル様の あみぐるみ作ってみようかな… 大事な尻尾(笑)の色って、いつの間…
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