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優秀な従魔達と新しい仲間達

「ええと、どうする? ちょっと全体的に警戒されてる気がするんだけどなあ」

 先程のティグの大暴れのせいか、新しく出現して枝先に登って来たイグアナ達が、こっちをチラチラと気にしているみたいだ。

「確かにそうだな。少し離れて時間をおくか」

「まだ夕食には早い時間だけど、それじゃあちょっと休憩して何か食うか?」

 あまり腹は減ってないけど、軽く食べるくらいならあいつらは平気だろう。



「ご主人、それなら私達にやらせてちょうだい!」

「上手くやるわよ」

「任せてください!」

 突然、三匹のレッドクロージャガーが嬉々として名乗りを上げた。

 フォールと、ハスフェルのところのスピカ、それからギイのところのベガだ。

「ええ、お前ら木登りって……」

「得意です!」

「枝の下は泉だから、捕まえたら泳がないと……」

「水だって平気よ!」

「泳ぎもティグに負けないわ!」

 得意気に胸を張る三匹を見て、俺達は揃って顔を見合わせる。

「おう、じゃあ頼んでもいいか?」

「任せて!!!」

 やる気満々で頷いた三匹はそのまま滑るみたいに音も無く移動して、泉の横の木の幹からイグアナ達が居座ってる枝の根元まであっという間に登って行ってしまった。

「早え。しかも完璧に気配を消してる」

「ああ、さっきのティグに勝るとも劣らんなあ。これはすごい」

 俺の呟きに、隣で同じく息を殺してジャガー達を見つめていたオンハルトの爺さんが、小さくそう呟いて頷く。

 しかも、イグアナ達は俺達の方を気にしている為、自分達の背後に迫ったジャガーの存在に全く気付いていない。

 そのまま、それぞれの目標のイグアナのいる枝をゆっくりゆっくり登って行く。

 マックスを始め、他の従魔達は身じろぎもせずにじっとしたまま三匹の動きを目で追っている。

 ティグをはじめとした猫族軍団は、いつの間にか全員が巨大化して身構えている。

 何か問題があれば即座に助っ人に行くつもりなのだろう。



「おお、いったな」

 ハスフェルの呟きとほぼ同時に、三匹が一気に仕掛ける。

 目の前のイグアナに一気に飛びかかったのだ。そのまま泉へ絡まり合うみたいにして落下する影。

 これまた盛大な水飛沫とジャガー達の唸り声が聞こえる。

 その瞬間に猫族軍団が一斉に泉へ向かって飛びかかっていった。

「そっか、あいつらはさっきと同じでフォール達の目標以外のイグアナが目的だったわけか」

 こちらもあっという間にジェムと素材になって転がるのを見て呆れたようにそう呟く。



 すぐにフォールが水中から顔を出して、ぐったりしたイグアナを捕まえてゆうゆうと泉を泳いで俺の所まで戻ってくる。スピカとベガもそれぞれ巨大なイグアナを咥えて自分の主人のところへ泳いで戻っている。

「おう、ありがとうな。すごかったぞ」

 びしょ濡れのフォールの毛皮は、体にピッタリと張り付いててツヤピカだ。そして、いつもよりもジャガー特有の輪っかみたいな斑点模様がはっきりと見える。

「はいどうぞ。もう完全に確保してるからね」

 さっきのティグのように咥えていたイグアナを地面に転がすと、硬直したみたいにそのまま地面にコロンと転がる。

「よし、じゃあテイムするか!」

 張り切ってマックスから飛び降りると、まずは地面に転がる、フォールが捕まえてくれたイグアナに手を当てた。




「さてと、これで三匹テイム完了だな。あとはどうする?」

 最後のギイのイグアナをテイムしてやり、手袋をはめながら振り返る。

 名前は、俺のイグアナは鞭を意味するウイップ。だって、長い見事な尻尾が、今から練習しようって言ってる鞭にそっくりに見えたんだからさ。

 こういうのは直感が大事だから、その名前に決定したよ。

 そして貴重な雄の従魔をゲットしたよ。

 一瞬、メスのプリクルと番になってくれないかなって密かに期待したけど、ジェムモンスターはそもそも繁殖しない事に気が付いてちょっと笑ったのは内緒だ。

 しかし、そろそろ名前のストックが尽きてきたので、何か考えておかないとな。

 ちなみにハスフェルのイグアナの名前は、マルス。ギイのイグアナの名前は、マーキュリーだ。

 星の名前が尽きたのか、ここから惑星の名前に移行したみたいだ。



 ちなみに、この世界に俺の世界と同じ星があるのかちょっと気になって聞いてみたら、俺が星の名前や惑星の名前だと思っていたのは、全部精霊界に住む有名な種族の長や王様なんかの名前らしい。

 そっか、元々星の名前ってギリシャ神話とかの英雄とかの名前からつけられてるって言うもんな……あれ、ギリシャ神話は星座だっけ?

 あまりその辺りは興味もなかったので、子供の頃に読んだ本の朧げな知識や、ゲームなんかの中途半端な知識が元だから、あまり深く考えてはいけない。

 ってことで、この疑問もサクッとまとめて明後日の方向にぶん投げておく。



 小さくなったプリクルとウィップは、仲良くカッツェの背中に登って気持ちよさそうにしている。

 あいつらがどれくらいの戦闘力を有してるのかは……まあ、そのうちわかるだろう。

 ようやく泉も静かになって、また次のイグアナ達が出てくるのを見て、従魔達はまたやる気になったみたいで一斉に飛びかかって行ったのだった。

 ここでは俺は、足場が悪いから遠慮して、マックスから降りて見学させてもらった。

 飛び散るジェムと素材の革を見て、もう乾いた笑いしか出てこない俺だったよ。

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