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もふもふとむくむくと異世界漂流生活  作者: しまねこ


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屋台での朝食

「おお、ここも賑やかみたいだな」

 ハスフェルとギイの案内で到着した大きな広場はぎっしりと屋台と露天がひしめいていた。

「さすがは工房都市。やっぱりドワーフが多いんだな」

 広場を見回してみると、他の街よりもドワーフの姿が目につく。

「そりゃあそうだろうさ。ここでは元々人間の住民よりもドワーフの住民の方がはるかに多いって聞くぞ。今は特に流れの冒険者が多く集まってくる時期だからまだ人間の姿も目につくが、時期によってはドワーフだらけだったりするぞ」

「確かに、この街は見晴らしが良いからなあ」

 ハスフェルの言葉に、笑ったギイもそんな事を言いながら頷いてる。

「軽く2リュート越えのお前らなら、普段でも十分見晴らしいいだろうが」

 思わず突っ込むと二人揃って大笑いしてた。



「おお、タマゴサンド発見。これでいいか?」

 最近のお気に入りの定位置であるマックスの頭に座ったシャムエル様にお伺いを立てタマゴサンドを二つと分厚い鶏肉の焼いたのを豪快に挟んだバーガーがあったので、それも一緒に買っておく。

「コーヒー屋は……ああ、いたいた。これに入れてもらえますか」

 いつものマイカップを取り出してたっぷりと入れてもらう。

「はいどうぞ。兄さん見かけない顔だな。それにその後ろにいるのはあんたの従魔かい?」

 白髪がダンディな初老のマスターに、コーヒーの入ったカップを渡されながら聞かれる。

「ああ、昨日着いたところだよ。ひと冬ここで過ごす予定だからよろしくな。ちなみに後ろにいるのは全部俺の従魔達だよ」

 甘えてくるマックスの鼻先を撫でてやりながらそう答えると、マスターは驚いたみたいにちょっと下がってマックスを見上げた。

「おお、そりゃあすごいな。それなら冬の間に装備一新するのかな。それにしてもあんたは相当優秀な魔獣使いなんだな。俺の昔の仲間にテイマーがいたが、そんな大きな魔獣やジェムモンスターのテイムは絶対に無理だって言ってたぞ。一匹だけグレイウルフをテイム出来て、相当旅が楽になったのを覚えてるよ」

「へえ、そうなんだ。確かに従魔達がいると郊外で野宿しても見張りの心配はしなくていいし、狩りも格段に楽になるからな」

 話しながらコーヒーを一口飲んだ時、足元に中型犬サイズになってるオーロラグレイウルフのテンペストとファインの二匹が進み出て来た。どうやら俺達の会話が聞こえたみたいだ。

「オーロラグレイウルフならここにいますよ」

 鞄から出てきてくれたアクアに買ったパンとマイカップを持っててもらい、マスターにテンペストとファインを見せてやる。

「いやいや、オーロラ種なんてそんなすごいのじゃ無いって。俺の仲間がテイムしていたのは、普通のグレイウルフだよ」

 オーロラ種の特徴である毛先が微妙な虹色に輝く二匹を見て驚いたように目を見開いたマスターは、慌ててそう言いながらも視線は二匹に釘付けだ。

 あれ、もしかして犬好きか?

「ちょっと撫でてみますか?」

「いいんですか!」

 ものすごい勢いで屋台の中から飛び出して来る。

「無茶な触り方はしないでくださいね」

 仲間がテイマーだったって言うくらいだから、動物の扱いは慣れているだろうけど一応言っておく。

「もちろんです。おお、これは素晴らしい……」

 マスターはゆっくりとしゃがんで二匹と視線を合わせると、そっと手を伸ばして静かに二匹の前に手を差し出した。

 当然のように、差し出された手の匂いを嗅ぎに行く二匹。マスターは黙ったままじっとしている。

 しばらく匂いを嗅いでいた二匹は嬉しそうにその手に頭をこすりつけ始めた。

 もうマスターの匂いを認識したみたいだ。

「はじめまして、よろしくな」

 笑ったマスターは、そのままゆっくりと二頭の頭や首の横あたりを順番に撫でている。

「綺麗な毛並みだな。大事にしてもらってるんだな」

 最後に頭をわしゃわしゃと大きな手で何度も撫でてからゆっくりと立ち上がった。

「大事な従魔を触らせてくれてありがとうな。久し振りに懐かしい仲間に会えた気がしたよ」

 少し寂しそうに笑ったマスターは、一礼してそのままカウンターの中へ戻って行った。

「また来ます。それじゃあ」

 手を振ってその場を離れ、広場の端の空いたところで買ったものを食べる。

「ううん。このコーヒー美味しい。今の在庫が無くなったらここに入れてもらいに来よう」

 キリッと目の覚めるようなやや濃いめのコーヒーは俺の好みにぴったりだ。

 タマゴサンドを丸ごとひとつシャムエル様に渡してやり、コーヒーは大きめのお椀になんとか入れてやる。バーガーは真ん中部分を時々齧らせてやりながら手早く食事を終えた。

 ハスフェル達も好きに屋台で買って食べてる。

 朝からその肉の塊の串焼きを何本も食えるお前らの胃袋が俺は怖いよ。



 従魔達を連れた俺達は、広場の人達の密かな注目の的になっているが、あまりあからさまに悲鳴を上げたり走って逃げていく人はいない。

 ありがたい事なので気にせずそのまま広場を後にした。



「じゃあまずは冒険者ギルドだな。素材とジェムを見せて買い取り相談第一弾ってとこかな。さてどうなるのか楽しみだぞ」

 小さく呟いて、スライム達の入っている鞄をそっと叩いた。

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[気になる点] 二匹なのか二頭なのか なしって 走って?
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