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ジェムと素材の整理

「ご馳走さん。また何かあったらいつでも言ってくれ。ギルドに伝言を残してくれれば、いつでも駆けつけるよ」

「おう、ありがとうな。また何かあったらよろしく」

 全員分をまとめて精算して店を出て、笑って手を振るアッカーさんに手を振り返してほとんど酔った様子もなく平然と帰って行く後ろ姿を見送る。

 こっちは、途中からセーブして飲んだとはいえ、かなり酒が回っている。

「はあ、ちょっと飲み過ぎだ。サクラ、美味しい水出してくれるか」

「これだね、はいどうぞ」

 鞄に入ったサクラから美味しい水を出してもらい、二日酔いになる前に思いっきり飲んでおく。

 お陰でしばらくしたら、完全ってわけじゃあないがかなり酔いが覚めたっぽい。美味しい水の威力すげえ。



「さてと、それじゃあ宿泊所に戻ったら、山ほど溜め込んでるジェムと素材の整理をしないとな」

「確かに、とりあえず自分の武器や防具用と手元に置いておきたい物を分けて、残りは順番に売っていけばいい。まあどれも貴重な素材やジェムだから別に無理して全部売る必要は無いよ。絶対に売って欲しいのはメタルブルーユリシスの翅くらいだな」

 ハスフェルの言葉に、大騒ぎの昆虫採集だったのを思い出して遠い目になる。

「ああ、記録用の道具作りに欠かせない素材だって言ってたな。それじゃあ、あれはありったけ全部売るよ」

「悪いな」

「いやいや、とんでもない量のジェムや素材があるんだからちょっとは減らさないと。持ってる素材が世間様のお役に立てるのなら無闇に溜め込む意味は無いって」

「無くなったらまた飛び地に取りに行こうね。がっつり出してあげるからさ」

 マックスの頭に座ったシャムエル様にそんな事を言われて、乾いた笑いをこぼす俺だったよ。



 そのまま酔い覚ましを兼ねてのんびりと歩いて宿泊所に戻った俺達は、当然のように全員俺の部屋に集まったよ。

 俺の従魔達は、庭に出て行った子達と部屋で転がってる子達に分かれてそれぞれ好きに寛いでる。

「さてと、それじゃあまずは自分用に取っておきたい素材とジェムを分けるか」

 アクアとサクラが俺の前に並んで指示を待ち構えている。

「地下迷宮で集めた恐竜のジェムや素材はどうだ?」

「そうだなあ。あの最後の最後に出た巨大な赤い宝石ジェム以外は売っても構わんと思うぞ。だが、あれを全部売ったらそれだけでバイゼンのギルドは破産しそうだなあ」

 笑ったオンハルトの爺さんの言葉に、ハスフェル達も苦笑いしている。

「じゃあ、あれは売っても良いと。ええと、次は飛び地のジェムと素材だな。ヘラクレスオオカブトの角は、一番大きなのを自分の剣を作る用に取っておいて、一番初めに見つけた角とジェムは記念に持っておこう」

 アクアがゴロゴロ出してくれたヘラクレスオオカブトの角を見ながら欲しい分を取り分けておく。

 素材は改めてオンハルトの爺さんが確認して選んで祝福を与えてくれるらしい。

 隣で一緒に見てくれる爺さんに、取り出した角を渡して見てもらいながら売っても良い分をアクアに改めて渡していく。

 一応全部は売らずに五匹分くらいは残す事にした。

 だって今回はハスフェル達も手持ちの素材やジェムを売るって言うから、俺が全部売る必要はないって言われたんだよ。



「カブトムシの前羽根で盾、角の頭部分でメット、角で槍が作れるんだって言ってたよな」

 次に取り出したのは、カブトムシの頭部と甲羅みたいな硬い前羽根だ。

「作るならこれにしろ、前羽根もこっちだな」

 選んでくれた分を受け取り、アクアに渡す。

「じゃあこれも、五匹分くらいを残してあとは売るか。ううん、ゴロゴロあるからあんまり有り難みはないけど、これって実はどれもめっちゃ貴重なジェムと素材なんだよな」

 改めてそう考えて、ちょっと笑いながらそう呟くとハスフェルたちに呆れた顔で見られた。

「あと、自分用の装備にするならこれだったな。オオムカデの胴体の殻」

 取り出したそれを見て、またオンハルトの爺さんが一番良いのを選んでくれた。

 これも予備でもう一回作れる分だけ残して、あとは売る事にした。まあこれはめっちゃ貴重な素材らしいから、多分一個でも出したら狂喜乱舞されるって言われたよ。



「ええと、このクワガタの角は変わった形の剣になるって言ってたよな。どう思う? 作ったら俺でも使えるかな?」

 巨大なクワガタの角を取り出して爺さんに見せる。

「どうだろうなあ。まあ、あれは少々特殊な武器だから扱うには相当な腕が必要になる。コレクションでもするのでなければ別に無理してすぐに作る必要はあるまい。これも良いのをいくつか取っておいて、あとは売れば良かろう。残すならこの辺りだな」

 これも選んでくれた分を保存用だと言ってアクアに預け、それ以外は売る予定分だと言って預けておく。

「あとの昆虫系の素材とジェムは、クーヘンの店用に少し残す程度で、残りは全部売っても問題あるまい。まあこれも予算的に全部の買い取りは無理だろうがな」

 って事で爺さんのアドバイスに従い、それ以外の昆虫のジェムや素材、それからオーストラリア(?)地方のジェムモンスターのジェムや素材も一通り売る事にする。

 自分用のジェムと素材以外はアクアとサクラに数を確認しながらの作業だけだったので、それほどの時間もかからずに終わったよ。



「こんなものか。カルーシュ山脈の奥地はテイムがメインだったから、考えたらほとんどジェムは集めていないんだよなあ。よし、それじゃあ明日はこれをまずはギルドへ持って行って買い取りを頼む。それでその後に商人ギルドへ行って剣匠フュンフさんを紹介してもらう。その時に、他の防具を作ってくれそうな職人さんもお願いして一緒に紹介して貰えばいいな」

「良いんじゃないか。じゃあその予定で行こう」

「だな、それじゃあお疲れさん。ここで解散かな」

 出しっぱなしにしていた自分の分の素材をアクアに渡して、大きく伸びをする。

「そうだな。じゃあ今日はこれで解散にするか。それじゃあまた明日な」

「お疲れさん」

「お疲れさん」

 ハスフェルの声に続き、ギイとオンハルトの爺さんも立ち上がって部屋に戻って行った。

「ううん、一気に静かになったな。さてと、俺も寝るか」

 既にベッドに転がっているマックスとニニを見て、手早く防具を外していく。

「改めて見ると、ずいぶんいろいろあったんですね」

 ベリーの笑う声が聞こえて、靴下を脱いでいた俺は顔をあげる。

「だな。いよいよ装備一新だよ。楽しみだな」

 サクラに綺麗にしてもらって改めて大きく伸びをする。

「それでは、私の分は後でアクアちゃんに渡しておきますね」

 サラッと言われて聞き流しそうになって思わず動きが止まる。

「え、今何て言った?」

 聞き捨てならない言葉が聞こえて、ゆっくりとベリーを振り返る。



「実を言うと私とフランマが集めた地下迷宮でのジェムと素材も、全部はまだ渡していなかったんですよね。それに飛び地とカルーシュ山脈の奥地で確保したジェムと素材はまだ全部持ったままなんですよ。アクアちゃんの在庫が減ったら少し渡しておきますね」

 ようやく少しは減ると思って喜んでたのに、まだまだあるってドユコト?

 にっこり笑って当たり前の事みたいに言うベリーを見て本気で気が遠くなったけど、俺は悪くないと思う。

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― 新着の感想 ―
素材売っても、無限「おかわり」がくるケンくん(;^ω^)
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