表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
822/2066

スライム達への紋章の付与と後片付け

「お疲れ様でした! すっごく楽しかったです!」



 踏み台から降りたところで背後から掛けられた声に振り返ると、そこには食べかけの串焼きを手にした満面の笑みのリナさん一家とランドルさんが、揃って笑顔でこっちを見ていた。

 ランドルさんがいたのに全然気が付かなかったけど、彼もちゃっかりスライムトランポリンに参加してたらしい。

「あのねケンさん。預けてあるスライム達はまだだけど、それ以外の子達には昨夜、二人に見届けてもらって俺の紋章を全員に刻んだんだ。スライムトランポリンが終わったらすぐに紋章を刻んでやろうって思って待ってるんです!」

 嬉しそうに目を輝かせているアーケル君に、俺も笑顔でサムズアップしたよ。

 確かに、アーケル君から預かったスライム達にはまだ紋章が刻まれていない。

 初めて自分の紋章を刻んだ時って、感激したものなあ。まあ、俺の場合は驚きの方が大きかった気もするけどね。

 初めてこの世界に来た時の事を思い出しつつ、一つだけ紋章のついていないスライムトランポリンをそっと叩いた。

「おおい、ご主人が君達に紋章を授けてくれるんだってさ。ここはもういいから、行っておいで」

 隣のメタルスライムトランポリンからミスリルカラーの子が飛び出してきて、こっちの同じ色の子と一瞬で交代する。

「ああそうか。一部の色は交換してたな。じゃあこれで全員かな?」

 一瞬で分解してバレーボールサイズになった紋章の無いメタルスライム達。

「ほら、行っておいで」

 俺が笑ってアーケル君を指差すと、嬉しそうに跳ね飛んだメタルスライム達は一瞬でアーケル君の前まで転がって行き、これまた一瞬で綺麗に整列した。

「お願いしま〜〜す!」

 元気なメタルスライム達の声が重なる。

「じゃあ、順番にな」

 嬉しそうな声でアーケル君がそう言い、足元にいた銀色のアイアンスライムを抱き上げてゆっくりと額に右手を当てた。

 ピカッと光った後、額にはアーケル君が描いたあのリナさんと俺の紋章を合体させたみたいな可愛い紋章が刻まれていたのだった。

「わあい、紋章もらった〜〜!」

 嬉しそうにそう言って足元を飛び回るメタルスライムを見て、俺達は全員揃って大きく拍手をしたよ。

 順番に全員に紋章を授けたアーケル君は、これ以上無い満面の笑みで俺達を振り返り、全員とハイタッチを交わしたのだった。




「お疲れ様! 遊ばせてもらいに来たよ〜〜!」

 その時、賑やかな声が聞こえて俺は慌てて振り返った。

 そこには、冒険者ギルドと商人ギルドのスタッフさん達と両ギルドマスターが、満面の笑みで揃って手を振っていたのだった。

「ああお疲れ様でした。いいですよ。どれでも好きな子にどうぞ。一応、人数制限は守ってくださいね」

 歓声を上げたスタッフさん達が散らばって走って行くのを見て、アーケル君の周りを好きに転がっていたスライム達が慌てたように元の位置へ転がって行き、一瞬でスライムトランポリンになってくれた。

 当然のように、さっきと同じく隣のメタルスライムトランポリンと一匹が瞬時に入れ替わったのを見て、俺は密かに感心していた。

 絶対クリスタルスライムにはなってはいけないと、俺が何度も言い聞かせてあったのをあいつらはちゃんと理解しているんだものなあ。



 交代で大喜びで遊んでいるスタッフさん達を見た俺達も顔を見合わせて頷き合い、近くのスライムトランポリンに突撃して行ったのだった。

 結局、スライムの主人の権限でランドルさんとリナさん一家も乱入して、すっかり童心に帰って皆大喜びで遊んだのだった。



 そんな感じですっかり日が暮れるまで皆で交代しながら遊び回り、ようやく解放された時にはもう俺達は笑い過ぎでへとへとになっていたよ。



「あはは、笑い過ぎで、声までかすれてるぞ……」

「いやあ、本当に楽しかったな。ここまで笑ったのはいつ以来かなあ」

「本当だな。本気で遊ぶって楽しいもんだなあ」

 座り込んだ俺の隣に来て、同じように地面に転がったハスフェルとギイが、まるで子供みたいに笑い合いながら楽しそうにそう言って頷き合っているし、その隣でもオンハルトの爺さんが、さっきからずっと地面に転がったまま笑っている。

「お疲れさん。打ち上げに参加してくれるよね?」

 こちらも笑顔のエルさんに言われて、俺は笑いながら手を挙げた。

「打ち上げって事は、ご馳走はある?」

「もちろん。今からここで、大型の焼き台を並べて皆で焼肉パーティーだよ。材料の差し入れは、何でも大歓迎だからね!」

「あははそりゃあ良い。肉が食いたかったんですよ。じゃあ手持ちの肉を進呈しますので、ちょっと待ってくださいね」

 まずはスライムトランポリン達に全員分解してもらい、それぞれの主人のところへ戻ってもらう。

 俺のところへ跳ね飛んできてくれたサクラから、グラスランドブラウンブルの肉の塊と、それからハイランドチキンのもも肉の大きな塊を取り出してスタッフさんに渡した。

 だって、焼肉をするって聞いた途端に、肩に座っていたシャムエル様が大興奮して踊りだしたんだからさ。これは無視するわけにいかないだろう。

 リナさん一家とランドルさんも、スライムトランポリンの協力者って事で打ち上げに参加するらしいし、いつの間にかクーヘンも来ていたよ。

 聞くと、今日はお店はお兄さん一家に任せて、クーヘンは午後からの応援で受付の裏方でずっと手伝ってくれていたらしい。そりゃあご苦労さま。



 受付のテントを撤収している間に、スライム達には公園内のゴミ拾いをお願いした。

 嬉々として落ちているゴミを一瞬で溶かしてしまい綺麗にするスライム達を見て、ギルドのスタッフさん達は感心していたよ。

 スライム達にしてみれば、労働の後の楽しいご飯タイムなんだけどね。

 あっという間に綺麗にしてくれたスライム達には、また小さくなって鞄の中に入っててもらう。

 さて、あとは楽しいバーベキュータイムだな!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ