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従魔の名前

「こらこら、俺を押しつぶす気か?」

 そう言って笑いながら、全身でじゃれ付いてくる巨大な魔獣の従魔達三匹を交互に抱きしめたりもふもふしたりしてやる。

「ううん、カッツェの毛は普通の短毛種の猫っぽいんだけど、毛がみっちりと詰まっていてこれはこれでなかなかに良きもふもふ具合だ」

 ニニよりも大きなカッツェを撫でまくり、のしかかってきたので首元に抱きついてやる。

「おお、さすがは雄。首も太い。それにしなやかだけどかなり筋肉質だな。身体はニニよりも全体に太くてかなり大きい上に、硬いんだな」

 ようやく新しい従魔達とじっくりと触れ合えたので、俺はまずはオーロラブラウンリンクスの亜種のカッツェを心ゆくまでもふもふしてみる。

 首から背中にかけては、ニニよりもかなり短い毛がみっちりと生えていて、短毛種の猫の毛って感じだ。腹側はニニよりは短いものの、こちらはかなり長めのふわふわの毛だった。

「ううん、これもまた良きだなあ」

 今度は腹に潜り込んでもふもふしていると、ニニが嫉妬したのか俺の背中に頭突きしてきた。

「もちろんニニが最高だよ」

 振り返っていつものニニの首を抱きしめて、こちらはもうこれ以上無いふわふわな毛を堪能する。

「ご主人、私も〜〜!」

 今度はマックスを撫でていると、今度俺の背中に頭突きしてきたのは、グリーンフォックスのフラッフィーだ。

「尻尾攻撃〜〜!」

 笑ってそう言いながら、俺の顔面をあのもふもふ尻尾で掠めるようにくすぐってくる。

「なんだよそのテクニシャンぶりは!」

 タッチの差で俺の顔の前から逃げた尻尾をそう叫んで両手で捕まえてやる。

「きゃあ、捕まった〜〜〜!」

 完全にわざと捕まったのだとわかる棒読みのセリフを叫んで、フラッフィーが叫んでベッドに転がる。

 今の大きさは大型犬より少し大きいくらいなので、まあ尻尾はそれなりサイズだ。

「なあ、マックス達と同じくらいの大きさになってくれよ」

「ええ、どうしようかなあ」

 俺に捕まっているフラッフィーは、嬉しそうにしつつもそう言って身を捩って逃げようとしている。

「ご主人の言うことが聞けない悪い子はこうだ〜〜!」

 これだけ聞くと思いっきり悪役のセリフを嬉々として叫び、フラッフィーの脇腹のあたりを思いっきりくすぐってやる。

「きゃあ、ごめんなさい、もう許して〜〜!」

 これまた悪役にいじめられる被害者そのまんまのセリフを叫んだが、残念ながらそんなに嬉しそうでは誰も助けに来てくれそうにないだろう。

 一気に大きくなったもふもふの尻尾に、俺は歓声を上げて抱きついたのだった。

「はあ、幸せ……俺、このまま昇天しても、我が生涯に一片の悔いなし! だよ」

 もふもふに埋もれたまま、某アニメのキャラのセリフを頂いてそう呟く。





「本当にあなたは相変わらずですねえ。それにしても、これまた見事な子達ばかりテイムしたんですね。さすがの私も感心しますよ」

 もふもふの尻尾に本気で意識を持っていかれそうになった時、呆れたように笑ったベリーの声が聞こえて振り返る。

「ああそっか。一緒に行ってなかった留守番組のベリー達には、まだ新しい子達を紹介してなかったな」

 そう言って起き上がった俺は、手招きをしてベリーとフランマ、それからカリディアを呼んでベッドの近くに来てもらう。メタルスライム達は少し離れた足元に転がってレインボースライム達と、もごもごと仲良くおしくらまんじゅうをしている。多分知識を教えてもらってる最中なのだろう。



「この子が、オーロラブラウンリンクスの亜種のカッツェで、こっちがオーロラグリーンフォックスの亜種のフラッフィーだよ」

 まずは大型の二匹を紹介してやる。ベリーとフランマ、それからカリディアが、カッツェとフラッフィーに嬉しそうに自己紹介をしていた。

 仲良く自己紹介し合うその様子を見て小さく笑った俺は、足元にいた黄緑色のスライムを抱き上げて手に乗せる。

「それから新しいスライム達だよ。黄緑色のこいつは、ライムだよ。それで……ええとメタルスライム達、お勉強中に悪いんだけど、ちょっとこっちへ来てくれるか、仲間を紹介するから」

 レインボースライム達とくっつきあってモゴモゴしていたメタルスライム達が、俺の呼びかけに応じて飛び跳ねて足元に勢揃いする。今の大きさは皆バレーボールサイズだ。

「それでこいつらが、メタルスライム達だよ。ちなみに、十種類全部テイムしたおかげで、メタルマスターって称号をシャムエル様からいただきました。ほら」

 メタルマスターの文字が刻まれたギルドカードを見せると、ベリーは驚いて拍手してくれた。



「名前は、こいつがアイアンスライムのジルバーン。こっちがアイアンの亜種のアンバー。それでこいつがブロンズスライムのカナリーで、こっちが亜種のシアン」

 一匹ずつ抱き上げてベリー達に見せてやる。ベリーは興味津々でメタルスライム達を観察していた。

「それからシルバースライムのアルジャンと、亜種のアッシュ……。プラチナスライムのゼニスと、ミスリルスライムのグリューン。こっちがアダマンタイトスライムのバーミリオンで、最後がオリハルコンスライムのゲルプだよ。まあメタルスライムは珍しいらしいけど、固定の出現場所が確定してるから無理に隠さず全員で連れて歩く事にした。一応ギルドには報告済み。まあ、変に手出ししてくる奴がいれば対応はその時に考えるよ。俺自身は仲間以外の無関係な第三者には絶対に従魔は譲らないって決めているからな」

 そう言いながら順番に抱き上げて紹介していたメタルスライム達を撫でてやり床に戻してやる。

「そして、これは秘密にするけど、十匹揃うと合体しま〜す」

 俺の声を合図に、跳ね飛んだメタルスライム達が一瞬で合体してクリスタルスライムになる。

「おお、これは素晴らしい。知識としては知っていますが、実際にみるのは初めてですね」

 目を輝かせたベリーが手を差し出したので、パタパタと羽ばたいたメタルスライム達が手のひらに着地する。

「ちなみに翼は隠すことが出来るぞ」

 これまた俺の言葉を合図に、一瞬で羽が無くなる。

「おお、これは素晴らしいですね。へえ、合成して出来た羽は収納出来るんですね。あの、金色合成したスライムの羽も収納出来るんですか?」

 さすがは知識の精霊。自分の知らない事象に興味津々だ。

「もちろん出来るよ〜〜!」

 アクアの声と同時に、レインボースライム達にライムまで加わって一瞬で金色合成する。

「羽を収納しま〜す!」

 差し出した俺の手の上に、いつものスライム達と同じ形になった丸い金色スライムが転がる。

「ありがとうございます。一つ知識が増えましたね」

 嬉しそうなベリーの言葉に、一瞬でばらけたスライム達が得意げに床を跳ね回っていた。

 そのまま、またもごもごとおしくらまんじゅうを始めたスライム達を、俺達は笑顔でのんびりと眺めていたのだった。

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