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今後の予定

「提案です! 祭りまでの残りの日程、ここでキャンプしながら皆でメタルマスターの称号目指してメタルスライムをテイムしようぜ!」

 右手を上げてそう叫んだ俺の声に、一瞬全員が黙ったあと揃って思いっきり吹き出した。

「その提案乗った!」

 キラッキラに目を輝かせたアーケル君が、これも右手を力一杯挙げながらそう叫んで、ウサギみたいにぴょんぴょん飛び跳ねている。

「私も乗った!」

 しばし遅れて我に返ったリナさんも、力一杯右手を挙げてそう叫んだ。

「俺も乗った!」

 ランドルさんも、慌てたようにそう叫んで何故か右手を挙げる。

 顔を見合わせた俺達は、揃って右手を上げたまま満面の笑みで頷き合った。



「はい! 確保はやるから、俺達の分もお願いします!」

 右手を挙げたハスフェルの声に、ギイとオンハルトの爺さんの右手も上がる。

 そしてそれを見て、慌てて右手を挙げるアルデアさん。

「じゃあ、また親父の分は、俺が集めてやるよ」

「あはは、頼りにしてるよ」

 胸を張って得意気なアーケル君に、アルデアさんが右手を挙げたまま、すがって笑っている。




「それじゃあ、第二弾、行きますか?」

 って事で、今後の予定が決まったところで足元の小石を拾った俺の言葉に、全員が真剣な顔で頷いて周囲に散らばる。

 ちなみに従魔達は何をしているかというと、お空部隊は巨大化して上空を警戒中。

 肉食チームは、全員の従魔達が協力し合ってこの周囲を取り囲んで、完璧な包囲網を築いてくれている。おかげで俺達は安心してテイムに集中出来るよ。

 そして草食チームは、全員巨大化してスライム狩りをする気満々だ。




 深呼吸して石を振り上げた俺は、ふと思いついて慌てて手を止めた。

「ああ、そうだ。ちょっと待った!」

「何だ? どうかしたか?」

 身構えていたハスフェル達が不思議そうに顔を上げる。リナさん達も、急に手を止めた俺を不思議そうに見ている。

「ええと、魔獣使いじゃあない人達に連絡です! 自分の従魔の名前は自分で考えてくださ〜い。俺はそんなに考えられないからな!」

 それを聞いたハスフェル達が堪えきれずに吹き出す。

「た、確かにそうだな。ふむ、これは困ったぞ」

 大真面目にオンハルトの爺さんがそう言い腕を組んで考える。

 ハスフェルとギイも顔を見合わせて苦笑いしてるし、アルデアさんも困ったようにアーケル君と顔を見合わせている。

「これはちょっと、考える時間がいるなあ」

「だな。テイムしたら名前をつけてやらないと可哀想だし、じゃあちょっと早いけど昼休憩にして、その間に考えれば良いんじゃね? ええと、ここで食べても大丈夫かな?」

 一応スライムとは言え、ジェムモンスターの巣の前で食事をすると言うのはどうなんだろう。そう思って周囲を見回しながらハスフェルを振り返ると、笑ったハスフェル達は少し下がった場所を指で示した。

「真横にいなければ大丈夫だよ。一応確認したが、ここ以外に近くには地脈の吹き出し口は無さそうだ。これくらい離れていれば、スライム達は怖がって近寄ってこないさ」

「了解。じゃあちょっと早いけど食事にしましょう」

 リナさん達とランドルさんを振り返ってそう言うと、皆揃って笑顔になる。

「そうですね。じゃあまずは食事にしましょう。ああ、それなら今回は俺も提供しますよ」

 ランドルさんが背負っていた収納袋を下ろしながらそう言ってくれたので、喜んでお願いしたよ。



「おおい、少し下がるから守りをよろしくな」

 サクラが入ってくれた鞄から机と椅子を順番に取り出しながら、周囲を守ってくれている従魔達に声をかける。

「了解よ。ちゃんと守ってるから安心してね」

 ニニの得意そうな声に笑って手を振り、椅子を開いた。

「ううん、さっきから思ってたんだけど、ニニの横に、ずっとカッツェがくっついてるんだよなあ。冗談抜きで、ニニに子供が生まれたらどうしよう。もう、絶対可愛すぎて、俺は理性を保てる自信が無いぞ」

 小さくそう呟きその光景を想像した時点で、すでに顔面が崩壊しかけた。

 実は、リアル子猫ってほとんど見た事がない俺だ。映像や写真ではもちろん知ってるけど、実際に世話をした事も無いし、誰かが飼ってる子猫を見た事も無い。

 だけど、SNSとかでは子猫の動画って人気があるみたいでよく出てるから、たまに見て和んだりしてたよ。

 前の世界でのニニは、駐車場を彷徨っていたのを女子社員が見つけて保護してしばらく事務所で面倒を見ていたんだけど、その時既に子猫って大きさじゃあなかった。もうちょい育ったくらい。まあ大人の猫にしては小さかったんだけどな。



 不意に思い出した懐かしい記憶に飲み込まれそうになって、慌てて顔を振って深呼吸をする。

 駄目だって。今はここにはハスフェル達だけじゃなくて、ランドルさんやリナさんもいるんだからな。

 気分を変えるようにもう一回大きく深呼吸をした俺は、できるだけ平静を装っていつものサンドイッチと飲み物各種を取り出して並べた。

 ランドルさんが大量の串焼きやソーセージを取り出してくれたので、コッペパンやロールパンみたいなのも適当に出して並べておく。

 マヨネーズとチーズと一緒に、ちぎったレタスとトマトも並べておけば、好きにサンドして食べられるだろう。

「こんなもんかな。それじゃあ後は好きに食え」

 胸を張った俺の言葉に皆が笑って拍手する。

 それぞれお皿を持って好きなのを自分のお皿に取るのを見て、俺もお皿を持って、まずはタマゴサンドをしっかり確保したのだった。

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