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今度こそスーパースペシャルプレート別荘バージョン!

「ふう、美味しかったです!」

 俺の皿から一通り取り分けたシャムエル様の分の料理は、もうカケラも残っていない。

「食うの早いな、おい」

 まだ焼き魚が一切れ残っている俺の皿を見て、呆れたように笑ってそう言ってやる。

「どれも美味しいもん。それに、デザートの事を考えたら、早く食べなきゃって思っちゃってさ」

「ええ、ちゃんと味わって食ってくれよな」

 もふもふ尻尾を突っつきながらそう言うと、シャムエル様は慌てたみたいに尻尾を取り返してからドヤ顔になる。

「もちろん、そんな勿体無い事はしません! しっかり味わって食べております!」

「ええ、そこでシャムエル様がドヤるのか?」

「全部食べるのも偉いんです!」

「まあ、確かに。残されるよりはずっと良いよな」

 なんだか説得されてちょっと悔しかったけど、まあ神様の言う事だから良いかと思って、ここは引いておく。

「って事で、デザートお待ちしてます!」

 そう言って座ったシャムエル様は、一瞬でお皿とお椀を収納して、せっせと尻尾のお手入れを始めた。

「相変わらずフリーダムだなあ」

 苦笑いした俺は、とにかく自分の食事を先に終える事にした。




「はあ、ごちそうさま。ううん和食はやっぱり良いなあ」

 大満足で食事を終えた俺は、かなり減った具沢山味噌汁の入った鍋を収納して、一旦机の上を片付けた。

「サクラ、昨日作ったデザートを一通り出してくれるか。それからプリンと泡立てた生クリーム、アイスクリームと飾り切りの在庫もお願い」

「はい、じゃあ順番に出すね」

 机の上に飛び乗ったサクラが、焼き菓子から順番に取り出して、最後に生クリームとアイスを出してくれた。

「ううん。出す順番にまで気を遣ってくれるなんて、サクラは良い子だなあ」

 手を伸ばしてサクラをモミモミしてやる。

「ええと、全部盛り合わせるとすげえゴージャスになるけど、どうする? 食べられるか?」

 しかし、並んだケーキを見ていたハスフェル達はにんまりと笑った。

「いや、どれも食べてみたいから、今回は是非ともそのゴージャスバージョンでお願いするよ」

「俺もそれでお願いします!」

「俺もそれでお願いします!」

「私はゴージャスバージョン大盛りでお願いしま〜す!」

「あはは、了解。じゃあ準備するから待っててくれよな」

 最後の揺らぎないシャムエル様の大盛り発言に堪える間も無く吹き出した俺は、平なお皿を五枚並べた。

 今回は俺も一緒にいただいてみるつもりだ。



「ええと、まずはケーキ各種をカットしておかないとな」

 数を数えながら、通常サイズが四つと大きめカットが一つ。

「ううん、シャムエル様の分はこれで良いだろうけど、俺の分が通常サイズってのはちょっと多かったかも」

 一つ一つの大きさを考えたら、ちょっと無謀だったかも……。

「まあ、もしも多すぎて残したら、自分で収納しておけば良いよな」

 小さくそう呟いて、気にせず盛り付けを始める。



 全員の期待に満ち満ちた目がちょっとプレッシャーです。



「では、まずはプリンを真ん中に出してっと」

 今回は綺麗に出来上がってる方のプリンを使うよ。

 お皿を持ってプリンカップの上に蓋をするみたいにして置き、そのまま勢いをつけてひっくり返す。

「よし、出たな」

 ゆっくりとカップを取ると、プリンがお皿の真ん中にどどんと取り出された。

「この上に、生クリームを盛り付けます」

 そう言ってプリンの上にスプーンですくった生クリームを山盛りにする。

 自分用のお皿の分は、やや控え目。

「それで左右におからケーキで断崖を作りま〜す」

 プリンの左右に、カットしたおからケーキをくっつける。

「そしてその横にあるのが、ガトーショコラの庭です。粉砂糖付き〜!」

 そう言って、茶漉しに入れた粉砂糖をガトーショコラの周りに振りかけてやる。

 何故か拍手が起こった。子供か。

「そしてその横には、アイスの坂が出現するぞ」

 そう言って、スプーンで細長くすくったアイスをガトーショコラに立てかけるみたいにして乗せてやる。

「そしてここに別荘が建ちま〜す」

 だんだん面白くなってきて、歌うみたいにしながらマーブルケーキをプリンの上の生クリームに埋もれるみたいにして乗せる。

「はあ、成る程。この別荘がモデルか」

 オンハルトの爺さんの言葉に何故かシャムエル様がドヤ顔で頷いてる。あれ、そこは俺がドヤる場面だよな?

「そして坂道沿いと別荘の庭にはお花が飾られておりま〜す」

 そう言いながらあちこちに飾り切りした果物と生クリームを飾っていく。

「そして最後に、うさぎのリンゴのお客さんが来れば完成だ」

 アイスの坂の横に、うさぎのリンゴを置いてやる。



「どうだ。スーパースペシャルプレート別荘バージョンだよ!」

 今回は、シャムエル様のお皿を両手で持って、皆に見えるように差し出す。

「おお、これは素晴らしい」

 ハスフェルの言葉に、二人も笑顔で揃って拍手をしてくれた。

 シャムエル様はもうさっきから大興奮状態で、スーパーボールみたいに飛び跳ねまくっている。

「じゃあ、これはまずは約束通りにシルヴァ達にお供えだな」

 一度、ケーキはお供えしているんだけど、気にしていないみたいなので良い事にする。



 手早くマイカップにコーヒーを入れて一緒に並べる。

「お待たせしました。念願のスーパースペシャルプレート別荘バージョンです。コーヒーと一緒にどうぞ」

 すると、待ちかねていたかのように収めの手が両手で現れてケーキを一通りこれ以上無いくらいに丁寧に撫でてから、お皿ごと持ち上げて消えていった。

「本当に、お待たせしました。だな」

 小さく笑ってそう呟き、お皿とマイカップを持って席へ戻った。



 シャムエル様の目の前には俺よりかなり大盛りのプレートが置いてある。

「わあい、ではいっただっきま〜〜〜〜〜〜〜〜す!」

 元気にそう叫ぶと、やっぱり顔面からデザートの山に勢い良く突っ込んでいった。

「相変わらず豪快だねえ」

 笑ってのんびりアイスの部分を食べながら大興奮状態の尻尾にこっそり手を伸ばし、俺のメインディッシュである通常よりも三倍くらいに膨れたシャムエル様の尻尾を満喫したのだった。

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