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夕食は和食!

「さて、何を作ろうかね?」

 綺麗に片付けられたキッチンを見回して考える。



「昨日は揚げ物三昧だったからなあ。魚が食べたいけど、何かあったかな?」

 サクラに食材の在庫を確認してもらうと、鯛みたいな、綺麗な白身の魚の切り身があったのでこれを塩焼きにする事にした。

「ううん、俺はこれがあれば良いけど、肉好きなハスフェル達は絶対物足りないだろうな」

 白身魚に粗塩を振りながら考える。

「あ、そうだ。それじゃあ後は、豚バラの薄切りと根菜類やわかめをたっぷり入れて具沢山の味噌汁を作ってやろう。それならハスフェル達も喜ぶだろうしボリュームも出るだろうからな」

 一番出汁の入った鍋を取り出し、大きめの鍋に必要量を取り分けてコンロに乗せておく。

「ええと入れる具はジャガイモ、ニンジン、大根もどき、キャベツ、ちくわ、コンニャク、玉ねぎ、わかめ、厚揚げ。まあこんなもんかな。あ、白ネギもどきもあるから、これも入れよう」

 具材を順番に取り出しながら、スライム達に指示を出して切ってもらう。

「厚揚げは、お湯をかけて油切りをしますよっと」

 別の片手鍋でお湯を沸かし、厚揚げに流して油を抜いてやる。

「で、刻んだ根菜類を入れたら火にかけてっと」

 まずは根菜類を入れた状態で火にかけ軽く煮込んでいく。



 一人で料理をしてると、独り言が多くなるんだけど、気にしない気にしない。



「沸いたら弱火にして、そこに豚バラ肉を大量投入。ああ、くっつくんじゃねえよ!」

 薄切りにした肉をまとめて入れるとくっつくので結構面倒だ。

 お箸を使って肉を引き剥がしながら、ガンガン入れていく。

「肉を入れ終わったら、ちくわとコンニャクと刻んだ厚揚げも入れて、もう一回沸いたら乾燥わかめをそのまま投入っと」

 乾燥ワカメは入れすぎ厳禁なので、軽く摘んで入れる程度だ。

「軽く煮込んでワカメに火が通ったら、味噌を入れれば出来上がりだよ」

 今日の味噌は、麦味噌と赤味噌っぽいのを混ぜた合わせ味噌だ。

「よし、味噌の量もバッチリだ」

 小皿に味噌汁をちょっとだけすくって味見をしたところで、机の上で目を輝かせているシャムエル様と目が合う。

 当然、手にはお椀がある。

「分かった、分かった。これが本当の味見だから、ちょっとだけな」

 苦笑いしてお椀を受け取り、具材が一通り入るようにちょっとずつ入れてやる。

「はい、具沢山味噌汁だよ。熱いから気をつけてな」

「うわあい、美味しそう。いっただっきま〜〜〜〜〜す」

 お椀から真っ先に肉を引っ張り出したシャムエル様は、嬉々としてそれに齧り付く。

「熱いけど美味しいです!」

「あはは、神様のお墨付きもらった〜」

 笑って拍手すると、何故だかシャムエル様がドヤ顔になる。

「いやいや、そこは作った俺がドヤるシーンじゃね?」

 思わず突っ込んで、顔を見合わせて二人して大笑いになったよ。




「魚は、このグリルで焼いてみるか」

 このキッチン、何と魚焼き専用のグリルが設置されているので、ありがたく使わせていただくよ。

「ええと、ここに魚を並べて火をつければいいんだな」

 備え付けの網は、スライム達が掃除の時に隅から隅まで綺麗にしてくれているので、気にせず魚を並べて火をつける。

「時間の加減が分からないなあ。まあ良い、見ていれば大丈夫だろう」

 ちょっと考えて、冷えた白ビールを一本取り出す。

「火を使うと暑いんだよ。やっぱ、休日の料理はこうじゃなくちゃな」

 そう言って、栓を抜いてグラスに注ぎグイッと半分くらいを一気飲みする。

「ううん、やっぱ冷えたビール最高! 好きなビールを飲みながら、ダラダラ料理をして過ごす。うん。正しい休日の過ごし方って感じがするなあ」

 残りをグラスに注ぎながらそんな事を呟く。

「最近、何だかこんなのばっかりな気がするけど、お休みなんだから良いんだ。どうせまた旅に出たらあちこち連れ回されて、また嫌でも戦う羽目になるんだろうからさ。平和な街にいる間くらい、ダラダラした休日を楽しんでやる!」

 何だかよく分からない使命感に燃えてそう決める。



 その後は、椅子を引っ張り出して魚焼きグリルの様子を見ながら残りのビールをちびりちびりと飲んで過ごした。




「さて、そろそろ夕食にするか」

 用意した魚が完璧に焼けたので、全部まとめて収納してからリビングへ戻った。

「……全員、寝てるし」

 ハスフェルは、床に転がるシリウスに寄り掛かるようにして寝ている。反対側には、レッドクロージャガーのスピカが巨大化して眠るハスフェルの足元を支えていた。

 ギイは、俺がさっき寝ていたソファーに寝転がって熟睡中だが、こちらは小さいままのレッドクロージャガーのベガを抱き枕にしていて何とも気持ち良さそうだ。

 そしてオンハルトの爺さんは、さっき読んでいた本を開いたまま顔に乗せてこちらもソファーで熟睡中だ。



「おおい、そろそろ飯にしようかと思うんだけど、起きろよ〜」

 手を打って大きな声で言ってやると、気の抜けた返事をしながらも三人がほぼ同時に起き上がった。

「ああ、確かに腹は減ってるなあ」

「確かに。じゃあお願いするか」

「ふむ。何もしなくても腹は減るもんだなあ」

 最後のオンハルトの爺さんの言葉に、全員揃って吹き出したね。

「確かに、何もしなくても腹は減るよな。だけど俺は、今日は激うまジュースを大量に作って夕食の準備をしたぞ」

 ドヤ顔でそう言ってやると、三人から拍手をもらった。えっへん。



「今日は焼き魚にしてみた。味噌汁は具沢山の豚汁。たっぷりあるから好きなだけどうぞ。小鉢は色々出しておくから、これもお好きにどうぞ。俺はご飯にするけど、どうする?」

 聞いてみると、いつもの如くハスフェルとギイはパンが良いらしいので、色々取りだして簡易オーブンと一緒に並べておく。

 小鉢は師匠の店やホテルハンプールからテイクアウトしたもの、俺が作った酢の物なんかも適当に並べておく。

 ハスフェル達は、焼いたパンに焼き魚を挟んでフィッシュサンドにしたみたいだ。

「へえ、あんな食べ方もあるんだ。いいかも。でも俺はご飯を食べるよ」

 焼き魚と豚汁が目の前にあったら、俺にはご飯って選択肢しか無いよ。

 小鉢も適当に取り、まずはいつもの簡易祭壇にお供えする。

「焼き魚と具沢山味噌汁、それからサイドメニューは色々盛り合わせです。少しですがどうぞ」

 いつものように手を合わせてそう呟くと、収めの手が俺をそっと撫でてから消えていった。

「後でデザートがあるからな」

 笑ってそう呟くと、また現れた収めの手が嬉しそうに拍手をしてから消えて行ったよ。

「あはは、ちゃんと覚えてて良かった。それじゃあまずは焼き魚をいただくとしよう」

 昨夜は途中からただの飲み会になってそのまま撃沈したので、結局デザートまで辿り着かなかったんだよな。

 なので昨日作ったデザートは今日食べる事にしたよ。

「何だ、まだ何かあるのか?」

 二個目のフィッシュサンドを平らげながらハスフェルが今の俺の言葉を拾い聞きしたみたいで嬉しそうに尋ねる。

「おう、昨日また色々作ったんだよ。だけど昨夜はそのまま宴会に突入しちゃったからさ」

「了解だ。じゃあデザートも期待してるよ」

 サムズアップでそう言われて、俺もドヤ顔で親指を立ててやった。


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