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のんびりお休みの日

「おかえり。無事に回復したみたいだな」

 部屋に戻ると俺の顔を見たハスフェルにそう言われて、また皆で大笑いになる。

「いやあ、鏡に写った自分の顔を見てさっきの言葉の意味が分かったよ。だけど貴重な万能薬をこんなので使うのは申し訳なさ過ぎるからな。ベリーに癒しの術をかけてもらったよ」

「何だ、使わないなら後で俺がかけてやろうと思ったのに」

 ハスフェルにそう言われてまた笑う。

「お待たせ。それじゃあ、ええと……いつものサンドイッチでいいな」

 跳ね飛んできたサクラをナイスタイミングで受け止めて、モミモミしながら自分の椅子に座る。

「はいはい、タマゴサンドもあるから待ってくれって」

 いつものお皿を持って飛び跳ねるシャムエル様に笑ってそう言い、サンドイッチを並べていく。

「今朝は別のジュースにしよう」

 マイグラスに、屋台で買った綺麗な紫色のブルーベリーのジュースを入れてから、シャムエル様を振り返る。

「これでいいか? 他がいいならご希望のを入れるけど」

 自分の席にブルーベリーのジュースを置いて見せてやる。

「綺麗な色だね。これでお願いします!」

 いつものジュース用の盃を取り出すので俺のグラスからベリーのジュースを入れてやり、俺の分を追加で入れる。

 タマゴサンドは二個取って、鶏ハムサンドと薄切りハムをぎっしり挟んだハムサンドを取る。

「絶対足りないよな」

 半分は取られると予想して、分厚いオムレツサンドと野菜サンドも取っておく。

 いつもの簡易祭壇に一通り並べて、ちょっと考えてマイカップにコーヒーも入れて一緒に供えておく。

「タマゴサンドと鶏ハムサンド、それから薄切りハムサンドとオムレツサンドです。ブルーベリーのジュースとコーヒーも一緒にどうぞ」

 いつもの収めの手が嬉しそうに俺の頭を撫でてから、サンドイッチと飲み物を順番に撫でて消えていった。

「よし、じゃあ食べよう」

 席に戻って改めて手を合わせてから、まずはジュースを飲む。

「ううん、飲んだ翌日にこの爽やかなジュースは良いかも」

 まあ甘いんだけど、これが砂糖の甘さじゃなくて果物そのものの優しい甘さ。だけどその中にしっかりと酸味も効いてて、目が覚める感じだ。

「良いねえ、これはもうちょい買っておいてもいいかも」

 満足そうにそう呟き、追加の購入を決定した。

 それから、机の上でお皿を振り回しながら飛び跳ねるシャムエル様を振り返る。

「あ、じ、み! あ、じ、み! あ〜〜〜〜〜〜っじみ! ジャジャン!」

 これまた初めて見る素早い足運びでシャムエル様が踊っていると、カリディアがすっ飛んで来て隣で一緒に踊り始める。

 カリディアは、見事にシャムエル様の踊りをコピーしてその場で即座に踊っている。多分技術的にはこっちの方がすごいんじゃあないだろうか?

 踊りに関しては全くの素人なので分からないけど、とにかくどっちも凄く上手いんだろうなって事だけは分かるよ。

 最後は、揃って決めのポーズで止まる。

「おお、凄い凄い」

 拍手すると、ハスフェル達まで揃って一緒に拍手してくれた。

「イェイ、良いね。二人で競って踊れるって最高!」

 互いに嬉しそうに手を叩き合ってから一礼して、カリディアはベリー達のところへ下がっていった。

 従魔達は、好きに床に転がって寛いでいる。

 ベリーにいつもの果物の箱を取り出して渡しておいたので、欲しい子はそこから貰えばいいだろう。肉食チームはまだ大丈夫なのかと聞くと、昨日、庭の奥でアクアが出したお弁当でお腹いっぱいになるまでしっかりとお食事をしたらしい。

 アクアには、従魔達が欲しいって言ったら、持っているお弁当という名の野生動物を出してやるように頼んである。

 うん、そっちはお願いだから俺の見えないところでやってください。スプラッタは怖いっす。




「で、どれがいるんだ?」

 気を取り直して、お皿に並べたサンドイッチ各種を見せながら聞いてやる。

「タマゴサンド一個と、あとは全部半分ずつください! あ、コーヒーはここにお願い」

 いつもの盃を出されたので、コーヒーはそこに入れてやり、サンドイッチは半分に切ってお皿に並べてやる。

「うん、予想通りになったな」

 見事に半分になったサンドイッチの皿を見て苦笑いしながらそう呟いて、まずは俺も好きなタマゴサンドを手に取るのだった。






「今日はもう、別荘でダラダラ過ごす事にしよう。それで明日は朝市と屋台でもう少し買い物をして、バッカスさんの店で俺の予備の剣を見てもらって、マントを受け取ったらここでの用事は全部終了だよな」

 すっかり遅くなった朝昼兼用の食事を終え、そんな話をした後はもう何となく皆ダラダラと過ごした。

 まあ、たまにはこんな休日があっても良いよな。

 俺はソファーに転がって惰眠を貪り、ハスフェルとギイはトランプカードを取り出して遊び始めた。そしてオンハルトの爺さんも、別のソファーに転がって本を取り出して読み始めてた。

 しばらくして目を覚ました俺は、キッチンへ行ってもう少し激うまジュースを作っておく事にした。

 だって、こんな豪華なキッチンもっと使いたいじゃんか。



 幾つもあるコンロにジェムを入れてから、用意した銅製の鍋にカットしたリンゴやブドウを入れては、せっせと焦がさないように茹でていく。

「師匠は手回しのミキサーを使ってたけど、大量に作るなら断然こっちだな」

 苦笑いしながら、茹でたリンゴをジェムで動く全自動ミキサーですり潰してはスライム達に渡していった。

 ブドウも茹でたら一度ザルで軽く濾してから、布巾を敷いたザルで再度濾してやれば完成だ。

 この一番時間がかかる部分をスライム達が短縮してくれるんだからな。ありがたやありがたや。



 空いていたピッチャーや瓶に入るだけ作った後は、夕食を作る事にした。

 綺麗になったキッチンを見回して考える。

「さて、何を作ろうかね?」

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[一言] モフモフダンスバトルとか映像で観たいです!
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