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ガトーショコラを作る

「さてと、じゃあまずはシャムエル様リクエストのガトーショコラってのを作ってみるか」

 机の上に並んだ材料を見て、カロリー計算って言葉を脳内でふん縛って明後日の方向へぶん投げておく。

 俺は一切れしか食べないから問題無い!



「ええと、じゃあまずは計量だな」

 師匠のレシピを読みながら材料を順番に計っていく。

「ちょっと思ったけど、この大きさのオーブンなら一度に二個くらい焼いても余裕じゃね?」

 違うレシピを一緒には作れないだろうけど、同じケーキを二個なら俺でも作れそうだ。よし、色々作って、クーヘンのところとバッカスさんのところに差し入れしてやろう。

 良い事を思いついた俺は、ニンマリ笑って二個分で材料を計り直した。



「ええと、金型は丸の底が抜けるやつだからこれだな。よしよし、もう一個買ってあるから大丈夫だな」

 金型を確認してから、まずはいつものように金型の内側にバターを塗って小麦粉をふるっておく。

 これはイプシロンがやってくれた。ご苦労さん。

 ゼータは早速いつもの砂時計を確保して、今回もタイマー担当に名乗りを上げている。

「おう、タイマーはもうちょい後だから待っててくれよな」

 イプシロンとやる気満々なゼータを笑って撫でてやってから、オーブンを温める為に火をつけて温度を設定しておく。



「ええと、まずはチョコレートを溶かすのか。何々、塊の場合は溶かしやすいように刻む。なるほど。じゃあこれ、こんな風に細かく刻んでくれるか。ちょっとくらいは固まりがあっても大丈夫だからな」

 見本に少しだけチョコレートを包丁で削って見せると、張り切ったクロッシェがチョコの塊をパクッと全部飲み込んだ。

「おいおい、無理するなよ」

 ちょっと張り切りすぎなんじゃないかと心配していると、何やらモゴモゴと動いていたのが急に動かなくなった。どうやらチョコの扱いは、まだクロッシェ一人では難しかったらしい。

「えっと、えっと……」

 困ったようにウロウロと辺りを見てから、アクアのところへこそこそって感じに移動していく。

「じゃあ一緒にやろうね〜!」

 当然のようにアクアとサクラがそう言って、クロッシェの左右からくっつく。

 そのまましばらく三匹仲良くくっついたままポヨンポヨンと動いていたかと思ったら、用意してあったボウルに綺麗に刻んだチョコを吐き出してくれた。

「よしよし、出来無い事は、気にせず皆で仲良く協力してやるんだぞ」

 ちょっとしょんぼりしているクロッシェをそう言って撫でてやってから、アクアとサクラも撫でてやる。

「クロッシェを手伝ってくれてありがとうな」

「先輩だから当然で〜す」

「仲良しだもんね〜」

 アクアとサクラがそう言って、ちょっと伸び上がった。

 俺には分かる、あれはドヤ顔じゃなくて得意気に胸を張ったみたいな感じだ。



「ええと、まずは湯煎でチョコを溶かすんだな」

 大きめの片手鍋に水を入れて火にかけ、沸いてきたところで刻んだチョコの入ったボウルにバターを入れて湯煎にかける。

「早く溶けろ〜」

 そう言いながらボウルの中のチョコとバターをせっせと木べらでかき混ぜる。お湯を沸かしてる火は中火くらいだ。

「ええと、誰か今のうちに玉子を卵白と卵黄を別々のボウルに分けて入れてくれるか」

「はあい、やりま〜す」

 デルタとエータが用意していた玉子をあっという間に割って、卵黄と卵白に綺麗に分けてくれる。

「ここに砂糖が計ってあるから、卵白は角が立つまでしっかりと泡立ててくれるか。卵黄にはこっちの砂糖を入れて白っぽくなるまで泡立てるんだって。俺が様子を見るから泡立ててくれるか」

 師匠のレシピを確認しながらスライム達に指示を出す。

「よし、チョコは滑らかになったな。では火から下ろしておいておくっと」

 湯煎にかけていたボウルを取り出しておき、コンロの火を止める。

 卵黄の様子を見てやり、いい感じになったところで溶かしたチョコを加える。綺麗に混ざったら、ここに小麦粉を振るい入れてさらに混ぜる。

「滑らかになるまで混ぜるっと」

 ボウルを抱えて勢いよく混ぜていると、机の上で俺を見つめるシャムエル様と目が合った。

 そりゃあもう、キラッキラの目で俺を見ている。何それ、俺があなたの神ですか?



 脱線する思考を慌てて引き戻し、しっかり立ててもらったメレンゲをチョコと卵黄と小麦粉の入ったボウルにすくって入れていく。

「ここは泡を消さないように切るように混ぜるのか。ふむふむ」

 数回に分けてメレンゲを入れ、木べらでサクサクと混ぜて滑らかになったところで用意してあった金型に流し入れる。量は適当目分量の半分こだ。別に売り物にするわけじゃないんだから良いだろう。

「で、これを焼くんだな。ええと大体砂時計四回から五回か。よし、ゼータお待たせ。とりあえず様子を見るから砂時計四回分でまずは教えてくれるか」

「了解です!」

 にょろんと出てきた触手で敬礼のポーズをとって砂時計をひっくり返した。

 それを見て、俺は二個の金型を並べたトレーをオーブンの中に入れた。

 振り返って見た机の上には、もう汚れていた道具類は一つもなく、全部ピカピカ綺麗になっている。スライム達、グッジョブだ。

「ありがとうな。じゃあ次に行くか」

 ガトーショコラを焼いている間に、次の仕込みをする事にする。勢いって大事だもんな。



「ええと、ココアマーブルケーキは、ガトーショコラと味がダブるよな。じゃあこれは今度にして、今日はおからケーキを作るか」

「ええ、マーブルケーキは作らないの?」

 突然聞こえたシャムエル様のすごく残念そうなその言葉に、顔を上げた俺は思わず吹き出す。

「チョコとココア味だけど良いのか?」

「全然違うから問題無いです!」

 創造神様に断言されてしまったので、結局マーブルケーキも作る事になったよ。

「まあ、まだ時間はあるから良いけどさ。ええと、マーブルケーキは、バニラとココアを半分ずつ軽く混ぜて模様を作るのか。それなら前回やったパウンドケーキと基本の作り方は一緒だから、スライム達でも作り方は分かるな。混ぜるところだけ俺がやれば良いな。よし」

 用意する材料は、バターと砂糖と小麦粉と玉子、それからココアだ。



 並んだ材料を見て、またしてもカロリー計算って言葉が頭をよぎったので、もう一回明後日の方向へ力いっぱいぶん投げておいた。

 大丈夫だ。

 俺は一切れしか食わないから良いんだよ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 物語の序盤は面白かった。 ハーレムや奴隷ものよりまし。 日本人として奴隷を題材にするのは許せない。 ハーレムものは飽き飽きする。 [気になる点] 当初の目的はいつするの。 いつまで神様がく…
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