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朝食と今日の予定

「それじゃあ、俺達まだ朝飯食ってないんで、何か食いに行ってきます」

 次々に笑顔で話しかけて来る冒険者達の相手をしていたらキリがなくて、マジで食いっぱぐれそうな気がして来たので顔を上げて大きな声で笑ってそう言うと、あちこちから謝る声と笑いが起こった。

「それじゃあまた」

 笑ってもう一度そう言うと、どう見ても十代の美少女と美少年二人にしか見えないリナさん親子に手を振り、俺達は従魔達を引き連れて広場の屋台へ向かった。

 ベリーとフランマは、姿を隠して少し離れてついて来ている。

 ちなみに、カリディアはシャムエル様とくっついて二匹揃って俺の右肩に収まっている。どうやらここが定位置になったみたいだ。俺の右頬から耳の辺りはもふもふに埋もれている上、時々動くもふもふのしっぽが俺の耳や首元を叩いている。

良いぞもっとやれ。




 到着したいつもの広場で、俺は燻製肉と野菜をたっぷり挟んだサンドイッチと、タマゴサンドを二切れ買って、マイカップに本日のコーヒーを入れてもらって店の横に置かれてる椅子に座らせてもらう。

「ほら、シャムエル様はいつものタマゴサンドだろ」

 シャムエル様に丸ごと一つタマゴサンドを渡してやり、俺は燻製肉と野菜のサンドイッチを先に食べ始めた。

「ねえ、その肉も一切れください!」

 耳元でシャムエル様がタマゴサンドを齧りながらそんな事を言ってる。

「はいはい、肉だけで良いのか?」

 諦めのため息を吐いて、指で摘んで燻製肉を一枚引っ張り出してやる。

「はいどうぞ」

「ここに乗せてください!」

 齧りかけのタマゴサンドを差し出されて、その上に乗せてやる。

「わあい、タマゴサンドに燻製肉乗せてもらった〜」

 嬉しそうにそう言って、器用に両手で持ったタマゴサンドを齧りながらその上に乗せた燻製肉を時々齧っている。

「肉食リス再びかよ」

 小さく笑って、俺は置いてあったマイカップからコーヒーを飲んだ。

 俺の隣に座っているのは大型犬サイズのセーブルで、良い子座りしたその頭がテーブルの高さにちょうど良いって事に最近気がついた。

 なので、セーブルの頭の上にスライムに乗ってもらい、そこを簡易のカップ置きにしているのだ。

 俺が食べてる間中、横で大人しく座ってくれているセーブルの背中を撫でてやりつつサンドイッチを平らげて残りのコーヒーを飲み干す。

 その後広場を一通り見て周り、サンドイッチや串焼きなんかをいろいろ追加であるだけ買っておいた。




「じゃあ行くか。だけどあの無駄に広い別荘へ行って何をすれば良いんだ?」

 マックスに乗ってゆっくりと城門へ向かいながら、ふとこぼした俺の言葉にオンハルトの爺さんが小さく吹き出し、ハスフェルとギイも顔を見合わせて笑っている。

「ははは、改めてそう言われると考えるな。一通り部屋を見て回ったら、主な部屋の窓を開けて空気を入れ替えて、まずは各自の住む部屋でも決めるか」

「確かにそうだな。それに見たところ何も置いていない部屋もあったから、家具とかも必要なら買い足さないといけないかもしれないな」

 ハスフェルとギイがそんな事を言いながら、何やら考えている。

「確かに、まあ俺達ならそれぞれの部屋と、あとは皆で食事をする時の部屋があれば十分だと思うけどなあ」

 何となくそう言って、自分の台詞に情けなくなる。

「違うよな。何の為にあんな広い家を買ったんだって。じゃあこうしよう。まずは各自が使う部屋とリビングを決めたら、後の部屋を何に使うか考えよう」

「俺は、広い訓練室が欲しいなあ」

 ハスフェルの言葉に全員が揃って頷く。

「確かにあれば嬉しいかも。ホテルハンプールにあったみたいな、広い板張りの部屋があれば良いのかな?」

「そうだな。恐らくだがあの規模の別荘ならそういった部屋もあるはずだ。だが、もしかしたら物置とかになっている可能性もあるな」

「ああ、確かにそれは大いに有り得るな。それなら俺達は部屋を決めたら訓練室に使えそうな部屋がないか探してみるか」

「良いな、他にも何か良さそうな部屋があったら知らせるよ」

「じゃあそっちは任せるから、俺はあのキッチンをもう一度きちんと見てみたい。かなり広かったからさ、あそこでちょっと料理をしてみたいよ」

「おお、それは良いな。じゃあ今夜の夕食かな?」

「どうするかはキッチンを見てから決めるよ。まあ、まずは試しに肉を焼くだけとかにして、手の込んだ料理はまた後日にしても良いかも」

「しばらく滞在する事になったみたいだしな」

 嬉々としてついてくる従魔達を眺めて、俺達は揃って苦笑いしていた。

 あの大きな家を買ったは良いけど既に持て余し気味な俺達と違い、従魔達はあの別荘をめっちゃ楽しんでる。

「まあ、確かに楽しそうだったよな。だけど怪我には気をつけるんだぞ」

「もちろんです。遊びで怪我なんかしませんよ」

 尻尾が扇風機状態のマックスがそう言い、他の従魔達も嬉しそうにしている。

「だけどこれだけ喜んでくれたんなら、単なる思いつきだったけど買った甲斐があるってもんだな。無駄に溜まる一方だった口座の金がようやく役に立ったよ」

「あはは、確かにそうだな。じゃああとはバイゼンヘ行ってそっちでも家探しをするか?」

「ううん、それは行ってみてから考えるよ。師匠のいるアポンも良い街だしな」

 まだまだ見ていない街が沢山ある。

 バイゼンで冬を越した後、春の早駆け祭りが終わったら何処へ行こうかなんて、マックスの背に揺られながら俺はのんびりと考えていたのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] これは各地に別荘という名の従魔アスレチックジムが増えていくフラグ…
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