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朝食と心の友?

 水源から流れ出している小川で顔を洗った俺の足元に、サクラがタイミングよく跳ね飛んでくる。

「ご主人綺麗にするね〜!」

 そう言って一瞬で俺を包み込み、元に戻った時にはサラサラのピカピカだ。

「いつもありがとうな。ええと、流れがあるけど大丈夫か?」

 小川を覗き込みながらそう尋ねると、伸び上がったサクラが嬉しそうに跳ね始めた。

「もちろん大丈夫だよ」

「流れて行ったりしない?」

「しない、しない!」

「よし、じゃあ行ってこい!」

 笑って抱き上げて小川に放り込んでやる。

「ご主人、アクアも〜!」

 そう叫んで跳ね飛んできたアクアも小川に放り込んでやると、次々にスライム達が跳ね飛んで来る。

 別にそのまま小川にダイブすればいいと思うんだけど、これも大事なスキンシップだもんな。笑って受け止めて次々にそのまま小川に放り込んでやる。

「わあい、流れる〜〜!」

 見ていると、わざと流されては川上に向かってスイスイと泳いで上って来ている。幾つもの肉球模様が、水中を行ったり来たりしていて楽しそうだ。

「気をつけろよ」

 笑って振り返ると、お空部隊が嬉々として飛んでくるところだった。

「ほら、お前らも行ってこい」

 こちらも一匹ずつ腕に留まらせてやってから、そのまま小川に向かって軽く投げてやる。一気に羽ばたいて小川まで飛んだ鳥達も、楽しそうに翼を広げて水浴びをはじめた。プティラとファルコも飛んできてそれに加わる。

 すると、狼コンビとマックスまでが走って来たのだ。

「ご主人、川で遊んでも良いですか?」

 マックスの声はもう楽しくて堪らない声をしている。

「おう良いぞ。行ってこい! でも流れがあるから気をつけるんだぞ」

 笑ってそう言い、大きな頭を抱きしめて鼻先にキスをしてやる。それから狼コンビも同じように抱きしめてから小川の方へ押しやってやる。

 弾かれたみたいに一気に走り出した三匹は、大喜びで小川に飛び込んで行った。

 豪快な水飛沫を上げながら大はしゃぎする三匹を見て和んでいると、シリウスとデネブまでが走って来て三匹に加わる。

「そっか、マックスは水遊びが大好きだったな。それで犬科の従魔達も水遊び好きだったわけか。デネブは元々水の多い地下洞窟出身だもんな。あれ、だけど今までってあいつらが水遊びした事って無かったよな?」

 不思議に思って見ていると、視線に気が付いたのかマックスが振り返った。尻尾は相変わらず扇風機状態だ。

「だって、今までは部屋の水場か水源の小さな水盤だったでしょう? 私のサイズでは到底遊べませんでしたから遠慮していたんです」

「ここなら思いっきり遊べますからね!」

「同じくです。此処なら遠慮なく遊べます!」

 マックスの横から、シリウスとデネブまでが一緒になって嬉しそうにそんな事を言うので思わず笑ってしまったよ。

「おう、好きなだけ遊んでくれていいぞ。だけど気をつけて遊ぶんだぞ」

 揃ってご機嫌な返事が聞こえて、俺は笑いながらテントに戻った。

 成る程、今までテントの周りの水場といえば、水が湧いているとはいえ水量はここ程じゃなかったから、水盤から溢れた水はチョロチョロと線になって地面を流れて吸い込まれていくのが普通だった。だけどここは水量がかなりあるので、流れた水がそれなりの幅の小川になって流れていってるんだよな。確かに、体の大きなマックスやシリウス、デネブでもそれなりに水遊びが出来る水量がある。

「じゃあ次からはキャンプする時は水量の豊富そうな場所を探してやらないとな」

 一人で納得して、水遊びを中断して俺について戻って来てくれたサクラから、サンドイッチ各種とコーヒー、それからジュースを取り出して並べる。

「お待たせしました。どうぞ好きにとってくれよな」

 ハスフェル達にそう言ってから、ベリーとフランマに果物を箱ごと出してやり、セーブルも側へ行くのを見て、俺の腕にくっついていたモモンガのアヴィも箱の横にしがみ付かせてやる。

それから、水浴びに行かずに大人しくしていた猫族軍団にはハイランドチキンのむね肉と、ヤミーには鶏ハムを出してやる。

全員猫サイズになって、綺麗に整列して食べているのをしばらく眺めてから机を振り返った。

「じゃあ俺の分も取ってっと」

 少し考えて、いつものタマゴサンドとオムレツサンドを一つずつ取り、鶏ハムと野菜のサンドとソースカツサンドをそれぞれ一切れずつ取る。

 マイカップにコーヒーと、グラスに混ぜジュースを入れてから、簡易祭壇に並べる。

「おはようございます。あまり代わり映えのしないメニューだけどサンドイッチをどうぞ」

 いつもの収めの手が、俺の頭を撫でてから順番にサンドイッチを撫でていくのを見送り、消えるのを確認してから席に戻る。

「お待たせ、それじゃあいただきます」

 待ってくれていた三人にお礼を言って、手を合わせてからコーヒーを一口飲む。

「あ、じ、み! あ、じ、み! あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っじみ! ジャジャン!」

 今日のステップは、ブレイクダンス風? とでも言うのか、なかなかに激しい。

 最後は背中を下にして、お皿を掲げて仰向け状態で見事にクルクルと回転してたよ。

「おお、すごいすごい!」

 割と本気でそう言って拍手してやると、起き上がったシャムエル様はドヤ顔になった。

「やっぱり、ダンスは日々の訓練が大事だよね。もっと上手くならないと!」

 上手くなってどうするんだよって喉元まで出たツッコミをきちんと飲み込んでから、俺は笑ってもふもふの尻尾を突っついた。



「それで、どれを食べる?」

 お皿に並んだサンドイッチを見せてやると、シャムエル様は真剣に悩み出した。

「ええ、タマゴサンドが二種類もある〜! そんなのどっちかなんて選べないよお」

 頭を抱えてこの世の終わりみたいな声で叫ぶ。

「じゃあ、両方食う?」

「すっごく魅力的な提案だけど、でも全部貰ったらケンが食べるタマゴサンドが無くなっちゃうよ」

「どうぞ。別に俺はなんでも良いよ」

 笑ってそう言って、タマゴサンドを両方お皿に乗せてやる。

「うわあい、ありがとうケン。やっぱり君は私の心の友だね!」

 目を輝かせたシャムエル様がそう言って蕎麦ちょことショットグラスを差し出すのを見て、苦笑いした俺は蕎麦ちょこにはコーヒーを、ショットグラスにはいつもの混ぜジュースをスプーンで入れてやった。

「では、いっただっきま〜す!」

 嬉しそうにそう叫んだシャムエル様は、まずはオムレツサンドに頭から突っ込んでいった。



 創造神様から、またしても心の友発言頂きましたけど、俺なんかが創造神様の心の友で良いのかねえ?

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― 新着の感想 ―
もう「あじみ」が「本気食い」になってない?(;^ω^)
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