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サンドイッチの大量仕込み完了!

「じゃあサクラ、今から言う材料を出してくれるか」

 跳ね飛んできたサクラをカウンターの上に乗せてやり、まずはサンドイッチの材料をまとめて出してもらった。



「じゃあまずは、このパンを全部八枚切りにしてくれるか」

「は〜い。やりま〜す」

 ずらっと並んだ一本が三斤分の食パンを、全部で十五本分丸ごと切ってもらう。これは元気に返事をしたアルファとベータが担当してくれた。

「じゃあガンマとデルタ、このゆで卵の殻を剥いて、全部みじん切りにしてくれるか。あ、切ったゆで卵はまとめてここに入れてくれ」

 大きなボウルを渡して、ゆで卵を二十個渡す。

「了解、すぐにやります!」

 二匹並んでボウルとゆで卵を受け取り、触手で敬礼してくれた。並ぶと可愛さ倍増だな。

「イプシロンとゼータ。今アルファとベータが切った食パン全部、二枚セットでバターとマヨとマスタードを塗ってくれるか」

 これはサンドイッチの最初にやる準備で、以前は俺がやってたんだけど、今はスライム達がやってくれている。

 食パン二枚セットにして、内側の両面に柔らかくしたバターとマヨネーズとマスタードを順番に塗る作業だ。

 結構手間がかかる作業なんだけど、スライム達にかかるとあっという間だ。



「ご主人出来たよ」

 ガンマとデルタが、本当にあっという間にゆで卵をみじん切りにしてくれた。

「おお早いな。ありがとうよ」

 ボウルを受け取ってしっかり目に塩胡椒をしてから、たっぷりのマヨネーズで和えておく。

「エータ、このチーズを薄切りにしてくれるか」

「はあい、やります!」

 触手が伸びてきて、チーズの塊をぺろっと飲み込みすぐに綺麗に全部スライスして吐き出す。

 しかし何度見ても見事だよな。チーズの塊って、普通のナイフとかで切ったら刃にくっ付いて綺麗に切れないはずなのに。まるで市販のスライスチーズのような見事な薄切り!

 いやあ、拍手拍手だね。




「じゃあ作っていくか」

 準備が出来たので、まずは定番のタマゴサンドだ。別バージョンでチーズ入りも作るよ。

 と言っても俺がするのは、最初の一つ目を作るだけ。それも、二枚のパンの間に適量のゆで卵のマヨネーズ和えをすくって乗せるだけ。そうすれば、それを参考にあとは全部スライム達が流れ作業でやってくれる。

 要するに、スライム達は料理で言えば、切ったり混ぜたり、粉を振ったり形を整えたりするのは得意なんだけど、例えば塩胡椒などの味付けをどれくらいすれば良いか。なんてのは自分達では判断出来ないらしい。なので味付けは俺が全部担当している。

 火を使うのは苦手なのではなく物理的に不可能。

 要するにほぼ水分で出来ているその体は、火に当たると最悪の場合蒸発してしまうんだって。

 って事で危険な為スライムに火を扱わせるのは禁止している。なので茹でたり揚げたりするのも全部俺がやってる。

 とは言え、それ以外の特に面倒な下ごらえをほぼ手伝ってくれるので、俺的にはもうスライム無しでの料理なんて考えられないくらいにありがたい存在になっているよ。

 スライム万歳!



 スライム達による流れ作業で、定番のタマゴサンドが量産されていく。

 それを見ながら俺は、次の準備をする。まずはお椀に卵を二個割って、塩胡椒とミルク少々入れて軽くかき混ぜる。それから、別に用意してあったコンロに火をつけてやや深めのフライパンを火にかける。

 軽く油を入れて温まったら一気に玉子を投入。勢いよくかき混ぜて一気に火を通し、お箸でまとめていく。

「軽く揺すって集めたら、ひっくり返してチーズを乗せて火を止めるっと」

 そう言いながらサンドイッチサイズになるように形を整えたら、フライパンをあおって一気にオムレツをひっくり返す。もう一度形を整えたら上にスライスチーズを一枚乗せて火を止める。

 バターとマヨマスタードを塗ったパンを一枚用意しておき、出来上がったオムレツをそこに乗せる。余熱でチーズが溶けていい感じになってる。

「上からもう一枚を乗せたら出来上がりっと」

 軽く押さえてパンをくっつけたら出来上がりだ。冷めたら二つに切ってお皿に並べてサクラに順番に預けていく。

 これは火を使うので俺しか出来ないから、手早くどんどん作っていく。



「いやあ、鮮やかなもんだな」

「全くだ。あのオムレツを簡単にまとめてひっくり返すだけでも俺には絶対無理だよ」

 完全に観客状態のハスフェルとギイが、揃ってそんな事を言いながら俺のする事を見ている。

 そして尻尾大興奮状態のシャムエル様も、目をキラッキラに輝かせながら俺のする事を見ていた。

 オンハルトの爺さんは、少し離れたところでのんびり一杯やりながら俺の作業を眺めている。

「おいおい、そんなに見つめられたら照れるじゃないか」

 最後のオムレツをひっくり返しながらそう言ってやると、全員揃って大笑いになった。

 まあ、おっさんに見つめられても別に嬉しくもなんともないけどさ。

「じゃあ暇してるんだったら、コーヒー淹れておいてくれよ」

 そう言ってコーヒーセットを渡しておき、ハスフェルとギイにはホットコーヒーを大量に淹れてもらった。

 まあまだ在庫はあるけど、空いたピッチャーもあるからいいよな。どうせ皆が一番よく飲むものだしさ。

 立ってるものは親でも使え、じゃなくて、暇してるなら神様でも使え、だな。

 出来上がったオムレツサンドを切りながら、若干罰当たりな事を考えて小さく笑った。



 それから後も、がっつり野菜サンドや鶏ハムサンド、それから定番のハムサンドを大量に仕込み、作り置きの揚げ物の在庫から、唐揚げサンドとトンカツサンド、ソースカツサンド、それからチキンカツサンドも大量に仕込み完了。

 クラブハウスサンドとBLTサンドも作ったところで用意したパンが全部無くなった。

 よし、これだけあればしばらく大丈夫だな。

 改めて今日仕込んだ量を思い出して思わず遠い目になる。俺の料理って、完全に業務用の仕込み量だよな。ってか多分、街の小さなパン屋さんなら、こんなに沢山のサンドイッチを一気に仕込まないと思うぞ。

 あっという間にスライム達が片付けてくれたおかげで、机の上にはもう何にも汚れたものが無い。

 いやあ、スライム軍団、後始末まで完璧だよ。ちょっと惚れそうだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] うん。 スライム万歳!(∩´∀`)∩
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