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幸せの二度寝と遅い朝食

「まあ、気持ちよく寝てるねえ」

「起こしますか?」

「いや、今日はもう休みにするってさっき言ってたそうだから、まあ好きなだけ寝させてやれば良いんじゃ無い」

「じゃあ、もうちょっとくっついて寝ようか」

「そうよね。セーブルとフランマばっかりずるいよねえ」

「私達だって一緒に寝たいです!」

「そうだそうだ!」

「そうよね! やっぱり皆ご主人の側にいたいわよね〜! じゃあ、私はここ!」

「ああ、ずるい。じゃあ私はこっち〜!」

「それなら私はここで寝ようっと」

「それなら私はここにします」

 夢うつつでぼんやりと微睡んでいた俺の耳に、従魔達の何やら楽しそうな声が聞こえる。

 直後に俺の胸元と顔、それから首筋のあたりにふわふわの暖かい塊が押しつけられた。それ以外にも、フランマを抱いている腕にも柔らかな毛が当たる感覚があり、俺は寝ぼけたままちょっと笑った。

「なんだよ、この柔らかなもふもふは……」

 そう呟いたきり、また俺の記憶はプッツリと途切れてしまうのだった。




「う、うん……」

「あ、やっと起きたね」

 また耳元で聞こえたシャムエル様の声に、俺は返事をしようとしたが果たせなかった。

「いたた……く、首が……」

 ミシミシと、本気で骨が折れたんじゃないかと思うくらいに本気で首が痛い。

「なんだ、これ……」

 その時、あちこちに感じていた柔らかなもふもふが次々に離れていくのを感じて、追いかけようとしてまた走った激痛に呻き声をあげた。

「うう〜マジで何だよこれ。めちゃめちゃ痛いんですけど」

「大丈夫?ご主人」

 これはサクラの声だ。

「これ飲みますか?」

 差し出された水筒の気配に、俺は大喜びで手を伸ばした。




 結局、二日続けて美味しい水のお世話になり、水筒の中の水をほぼ全部飲み干して、ようやく痛みが消えてきたのだった。




「はあ、なんとかこれで復活だ。よし、いい加減起きよう」

 太陽はすっかり高く登っていて、おそらくもう昼に近い時間だろう。

「うう。気持ちよく寝過ごしたけど、あいつらの朝飯ってどうしたんだろう?」

 一応食事係を自任する身としては何も言わずに職場放棄をしてしまったわけで、何やら申し訳なくなってきた。

 洗面所で顔を洗ってきた俺は、サクラにいつものように綺麗にしてもらって大急ぎで身支度を整えた。

「おはよう、すっかり寝過ごしたよ……って誰もいないし」

 出来るだけさり気なく、眠そうにそう言いながら真ん中にある広い居間へ出て行ったのだが、なんと部屋には誰もいなかった。

「ええと、ハスフェル達は?」

 当然の様に右の肩に座っているシャムエル様にそう尋ねる。

「全員まだ気持ちよく熟睡してるよ。いくら声をかけても全然反応がないもんだから、本気で死んだんじゃないかと思って心配した私の身にもなってよね」

「あはは、全員揃って気持ちよく熟睡だったか。もしかしてランドルさん達も?」

 笑って頷くシャムエル様を見て、俺はもう一度、今度は遠慮なく吹き出して大笑いしたのだった。




「おはよう。いやあ、気持ち良く二度寝したよ」

「おはようさん、酒はもう残ってない筈なんだけどなあ」

「休日の二度寝は、最高の幸せを感じるのもだよなあ」

 三者三様の言い訳と感想を言いつつ、すっかり身支度を整えて出てきた三人を俺も笑って出迎えた。

 それを合図にしたかの様に、ノックの音がしてランドルさんとバッカスさんも顔を出した。これで全員集合だ。

「おはよう。俺もさっき起きたところだよ。また朝昼兼用だけど、何か食おう。どうする」

「本気で腹が減ってるので、持っている作り置きを出してもらってもいいか。今から注文していたらかなり時間がかかるだろうからな」

 真顔のハスフェルの言葉に、ギイとオンハルトの爺さんが揃って大きく頷いてる。

「まあ、確かに腹は減ってるな。了解、じゃあ作り置きのサンドイッチとか適当に出しておくから、好きに食ってくれよな」

 そう言って、サンドイッチ各種と一緒に簡単に摘めそうな揚げ物や野菜なども適当に並べておく。

 少し考えて、ここへ来る前に作っていた巨大唐揚げも並べておいた。




「おいおい、これ何だよ」

 それに気付いたらしい、妙に嬉しそうな三人の声が重なる。ランドルさん達も一緒になって目を輝かせている。

「良いだろう? 鳥の胸肉丸ごと一枚使った巨大唐揚げだよ。まあそれはハイランドチキンとグラスランドチキンの胸肉だから、適当な大きさに切ってあるけどな」

 全員が嬉々として巨大唐揚げを取るのを見て、笑った俺も一枚だけ巨大唐揚げを取って皿に乗せた。

「ねえ、それ食べたい!」

 目を輝かせたシャムエル様が、皿に乗った巨大唐揚げを見て大興奮している。

「ええと……まさかとは思うけど一枚丸ごと?」

「もちろん! それは丸ごと齧るから美味しいんでしょう?」

「お説ごもっともです」

 何故かドヤ顔でそう言われてしまい、苦笑いした俺はそう答えて、出来るだけ大きそうな唐揚げをシャムエル様用にもう一枚皿に取り分けた。

 一応、いつものタマゴサンドと野菜サンドも一切れずつ取り、それから温野菜をたっぷり小皿に取り分けてマヨネーズを添えておく。

 飲み物は、豆乳とコーヒーで豆乳オーレにして、グラスにはいつもの激うまジュースを並々と入れて席についた。



「あ、じ、み! あ、じ、み! あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っじみ! ジャジャン!」

 今日もシャムエル様のダンスはキレッキレだ。

 素早い足運びで見事なステップを踏みながら、大きなお皿を目を輝かせながら振り回している。

「はいはい、今日も格好良いぞ」

 笑いながら、決めのポーズで片足立ちになったシャムエル様に拍手してやる。

「うん、今日も絶好調だね」

 満面の笑みでそう言い、お皿をぐいぐいと俺の手に押し付ける。

「痛いって。今入れるから、押さないでくれって」

 ご希望の唐揚げを丸ごと一枚お皿に乗せてやる。

「こっちは?」

「タマゴサンドをお願い! あ、野菜サンドは半分でいいからね」

 おう、まさかの両方ご希望だった。しかも、タマゴサンドは丸ごといく気か。

 苦笑いした俺は、野菜サンドを半分に切って大きい方をお皿に乗せて、ご希望のタマゴサンドは丸ごとその上に乗せてやる。

 うん俺の分は後で取りに行こう。

 飲み物もそれぞれ蕎麦ちょことグラスに入れてやり、改めて俺は自分の分を取りに行ったよ。



 ううん、しかしどんどんシャムエル様の食う量が増えてる気がするけど、大丈夫なのかね。

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― 新着の感想 ―
たぶんシャムエル(リス・アバ〇ー)の胃袋は異空間でドラゴン体の胃袋に繋がってる・・・かも!?(;^ω^)
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