明日の予定と従魔達
大満足の食事を終えて、デザートに果物を出してやった時に気がついた。
「ええと、お前らって何を食うんだ?」
テントの梁と椅子の背に分かれて留まっている、新しく仲間になった鳥達を振り返る。
「そうですね。果物やナッツ類、それから葉物の野菜や穀物ですね。ある程度は自力でも確保出来るけど、ご主人が持ってるその果物を少しもらえたら嬉しいです」
代表してモモイロインコのローザが答えてくれる。
「あ、そうなんだ。じゃあちょっと待ってくれよな。ベリー達も食べるだろう?」
最近では、シャムエル様経由で欲しい時にサクラから貰って食べてるって聞くけど、こんな時くらいは一緒に食べたいものな。
振り返ってそう聞くと、嬉しそうに机の横にベリーとフランマが寄って来る。
大きな箱を一つ出してやり、寄って来た草食チームにも食べさせてやる。
羽ばたいた鳥達が、ベリーの肩や背中に留まって果物を出してもらっている。
「草食チームと、猫族軍団、翼のある子達も五羽になったのか。良い感じに増えてきたな。なんて呼ぶ? 空挺団? ううん、それはちょっと違うな。翼部隊? ううん、何かないかな?」
ぶどうを口に放り込んで腕を組んで考える。
「あ、お空部隊。よし、呼び名はこれで行こう!」
手を伸ばして、ローザの背中を撫でてやる。うん、良い感じにふわふわだよ。
お空部隊は、それぞれに半分に割ったリンゴをベリーにもらってご機嫌だ。ベリーも手を伸ばして鳥達を撫でたりしてうれしそうだ。あれ、平気な顔してるけど絶対に内心では大喜びだぞ。
ちょっと笑って、側にいたニニに抱きつく。
ううん、やっぱりこのボリューム最高。
「あ、そうだ。今度街へ行ったら、止まり木になりそうな横棒が太めのスタンド式になったハンガーみたいなのを探してやろう。椅子の背は留まりにくそうだものな」
今は、ハスフェル達の両肩にも、新しく従魔になった鳥達がそれぞれ二羽ずつ留まっている。
「なあ、ちょっと思ったんだけど、今度街へ行ったら鳥達用の止まり木を探してやらないか? 椅子の背ってちょっと留まりにくそうだしさ」
激ウマリンゴを丸かじりしていたハスフェルが、俺を振り返って頷く。
「ああ、それは俺も思ってたよ。良いんじゃないか? 服を掛けるハンガーみたいなので良いだろうから、それなら何かあるだろう」
それを聞いたギイとオンハルトの爺さんも頷いている。
「だな、じゃあそれは街へ行った時に探す事にしよう」
同じ事をハスフェル達も思っていたみたいでなんだか嬉しくなる。
「従魔達の彩りもなかなか賑やかになったな。さてと、じゃあ明日はその何だっけ。ああそうそう、カメレオンソルティーのところへ行くんだよな」
「ああ、午前中にそこへ言って、そのあとはカメレオンエミューが出てるらしいから、そこへ行こうと思ってる。まあ、これだけ従魔が増えれば何とかなるんじゃないか?」
エミュー? ええと、どこかで聞いた様な覚えがあるけど、何なのかは思い出せないな。
って事で、明日の予定は、名前は聞いてるけどどんなのかは行ってみてのお楽しみって事になったみたいだ。
「それじゃあもう休むか。ご馳走さん。今日の飯も美味かったよ」
三人がそう言って、それぞれのテントに戻って行く。
見送った俺は、テントの垂れ幕を全部下ろして机の上に残っていた食器や果物を、全部まとめてサクラに預ける。
お空部隊は、夜は椅子の背に並んで留まってくっついて眠るみたいだ。
ううん、これまたもふもふで気持ち良さそう。
「じゃあ、止まり木が見つかるまではここで寝てくれよな」
順番に一羽ずつ撫でてやり、猫族軍団とは違う羽毛の手触りを満喫した。
それぞれに、大きな嘴で俺の指を甘噛みしてくれたよ。
「ううん、だけどあの嘴で本気噛みされたらシャレにならない事になるだろうな。頼むから、俺は噛まないでくれよな」
冗談半分でそう言ってやると、ローザ達は揃って羽を膨らませた。
「人間の皮膚がとても柔らかいのは知ってますよ、ちゃんとそこは加減しますからご安心を」
得意気な言葉に笑ってまた撫でてやる。
「そっか、ありがとうな」
それから、マックスを先頭に順番待ちしていた他の子達も好きなだけ撫でたり揉んだりしてやる。
最後にサクラにいつもの様に全身綺麗にしてもらえば、もう寝る準備完了だよ。
「ここは水場が無いから、水浴びが出来なくて残念だな」
「大丈夫だよ。乾燥地帯にずっといたら大変だけどここは緑も多いからね」
「そうだよ。緑が多いから乾燥するわけじゃ無いから大丈夫で〜す」
アクアを揉みながらそう言うと、スライム達が揃って大丈夫だと言ってくれる。
「そっか、ちょっとぐらいは水が無くても大丈夫なのか、じゃあ、綺麗な水のあるところへ行ったらまた思う存分水浴びしような」
そう言って下ろしてやると、スライム達は一斉に跳ね飛んでくっつき合ってあっという間にいつものスライムウォーターベッドになってくれた。
マックスとニニが勢いよく飛び上がって跳ねているのを見て、笑った俺も二匹の隙間に飛び込んだ。
「もふもふパラダイス空間到着〜!」
ニニの腹毛に顔を埋めた時、ガサゴソという音が聞こえて驚いて顔を上げると、ハリネズミのエリーが中型犬サイズになってそこらを歩き回っていた。
「あ、そうか。確かハリネズミって夜行性だったよな。エリー、餌探しするなら外にも出るのか?」
テントの垂れ幕の紐は全部結んでるから、あのサイズはちょっと出入り出来ないぞ。
俺の声に顔を上げたエリーは嬉しそうに目を細めた。
「大丈夫ですよ。外に出る時は小さくなりますから」
「ああ、確かに小さいサイズなら出入り自由だな。じゃあ気をつけてな」
「はい、遠くには行かないからご心配なく」
そう言って、また地面をモゾモゾと歩き回り始めた。
それぞれの従魔達がいつもの定位置につき、最後にタロンが勢い良く俺の腕の中に滑り込んで来る。
「今夜はタロンか。よろしくな。俺の抱き枕さん」
鼻先にキスして、ふわふわの額の辺りに顔を寄せる。
「ああ、最高だね、このもふもふパラダイス空間……」
小さくそう呟いて目を閉じた後の記憶は無い。
いやあ、毎度毎度、我ながら本当に感心するくらいに気持ちの良いの墜落睡眠だよな。
「水浴びだって」
「水浴びしても良いんだって」
「水浴びできたら嬉しいです!」
お空部隊の新入り三羽がさっきの俺とスライム達の会話を聞いて、水浴びだ水浴びだと喜んでいたらしい事を、俺は翌朝シャムエル様から聞く事になるのだった。
鳥達の呼び名「お空部隊」は、感想を下さった如月様のコメントから頂戴いたしました。
如月様、素敵な呼び名をありがとうございます!




