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ガッツリな夕食と明日の予定

 少し早めの夕食は、俺とオンハルトの爺さんは照り焼き丼、ハスフェルとギイは照り焼きサンドって事になり、それぞれ自分で焼いてくれたパンに、俺が野菜とスライスした茹で卵と一緒にグラスランドブラウンボアの照り焼きを挟んで、山盛りの照り焼きサンドを作ってやった。

「ごめんよ。すぐ作るからもうちょい待っててくれよな」

 ご飯の入ったおひつを取り出しながらそう言うと、笑ったオンハルトの爺さんに、気にしないからゆっくり作ってくれと言われた。

 だけど、その手にあるのは絶対酒だよな。それを見た二人もマイグラスを取り出してる。

 相変わらずお酒好きだねえ、お前ら。まあ、俺も嫌いじゃないけどさ。

 だけど俺は飛び地では一応禁酒するよ。さすがに酔っ払ってる時に何かあったら、シャレにならないもんな。



 作り置きの大鍋から、四人分のわかめと豆腐の味噌汁を片手鍋に取って火にかけて温めておき、その間に丼用の深めのお椀にそれぞれご飯を盛り付ける。

 オンハルトの爺さんは山盛り、俺は普通サイズだよ。

 炒り卵と刻んだ海苔をご飯の上にたっぷりと散らして、その上にグラスランドブラウンボアの照り焼きを隙間なく敷き詰めてやる。これでもかってくらいにぎっしりと敷き詰めて、最後に真ん中に紅生姜を盛り付けたら完成だ。

 うん、彩りって大事だよな。



「お待たせ。はいどうぞ」

「おお、これまた美味そうだな」

 受け取ったオンハルトの爺さんも笑顔になる。

 全員分の味噌汁を用意してやり、俺とオンハルトの爺さんには野菜の塩揉みした浅漬けも、箸休めに出しておく。

 ハスフェルとギイの目の前には、洗ってくし切りにしたトマトを並べておく。ガッツリ食っていいから野菜も食え。



 いつものように、簡易祭壇に自分の分を並べて置き、冷えた麦茶も一緒に並べて手を合わせて目を閉じる。

「グラスランドブラウンボアの照り焼きだよ。少しだけど、どうぞ」

 いつもの収めの手が俺を撫でていくのを感じて目を開くと、照り焼き丼を軽く叩くみたいにして触り、OKマークをしてから消えていった。

「気に入ったみたいだな」

 小さく笑った俺は、手早く自分の席に小皿や味噌汁などを移動して最後に丼を持って席に着く。

 待っていてくれたハスフェル達と一緒に、もう一度手を合わせてから食べ始めた。

「グラスランドブラウンボアの肉って、ちょっとクセがあるけどこんな風にしっかり味付けすると美味いんだよなあ」

「確かに。このくらいのぶ厚さなら、肉の硬さも気にならんしな」

 器用にお箸を使って食べているオンハルトの爺さんが、大きな肉を豪快に一口で食べてしまった。

「おお、すげえな」

 笑った俺は、一切れを三口くらいで食う。あんな食い方したら、口の中にいつまでも肉がある状態になるって。

 どうやら俺は、腕力だけじゃなくて咬合力でも全敗している模様……まあ、噛む力が弱まってると言われる現代人なんだから、これは負けて当然だよな。あはは。




「そういえばあの、はぐれのオオトカゲは今日の獲物だったのか?」

 食べ終わった俺は、自分の分の緑茶を入れながら三人を振り返った。ちなみに食べ終わった三人はすっかり酒盛り状態だ。

「ああ、三人なら危険なジェムモンスターでも大丈夫だって事になって、あの大木でカメレオンスタッグビートルとセンティピートを集めたあとは、別の場所に移動したんだ」

「で、そこで戦ったのがあのブラックコモドドラゴン。俺達が行った時には、既に最初の出現は終了していて、辺りにはもう数匹しかいなかったんだ。恐らく出現場所を離れたヤツが、頑張ってここまで来たんだろうさ。まあ、あんなことはそうは無いから心配するな」

 ハスフェルの言葉に、ギイとオンハルトの爺さんが揃って笑っている。

「それにしても、他にもはぐれのジェムモンスターはいるだろうに、わざわざ出現数の少ない凶暴なコモドドラゴンと当たるなんて、やっぱりケンだよな」

「だな。相変わらずだ」

 きつい酒を平気でグイグイと飲んでる二人がそう言って笑ってる。

「別に、狙って襲われてるわけじゃないんだけどなあ。だけどまあ、今日のはわりと本気で怖かったよ」

 誤魔化すように笑うと、三人が揃って持っていたグラスを捧げてくれた。

「フライパンの勇者に乾杯!」

 ハスフェルの言葉に、全員揃って吹き出して大爆笑になった。




「それで、ジュース作りは上手くいったのか?」

 ギイが新しい酒を注ぎながら俺を振り返る。

「おう、金物屋で買ったガラスピッチャー全部に入ったよ。あれだけあれば、しばらくあるんじゃないか?」

 作ったジュースは、今は取り出した冷蔵庫に順番に冷やしてはサクラに預けるのを繰り返している。

「今まであまり温度なんて気にしていなかったが、確かに冷えてるのも美味いな」

 ハスフェルの言葉に、二人も笑って頷いている。

「じゃあ、飲みたくなったらいつでも言ってくれよな。さて、明日はどうするかな?」

 一応リクエストのジュースは大量に作ったし、気になってたサングリアも仕込み完了。となると、せっかく貴重な飛び地に来ているんだから、俺もちょっとは戦っておくか。

 一応覚悟を決めてから、三人を見る。

「それじゃあ仕込みも終わったし、明日は俺も参加するよ。あ、言っておくけど俺でも大丈夫そうなのが出る場所をリクエストするけど何かあるか? あのコモドドラゴンは勘弁して欲しいけどさ」

 若干びびりつつそう言うと、それを聞いた三人は満面の笑みになった。

「よしよし、それでこそ冒険者だ。じゃあ言っていた沢へ行くか」

 嬉しそうなハスフェルの言葉にギイが頷く。

「そうだな。それならそうしよう」

「良いんじゃないか。あそこならそれほど危険なのは出ないからな」

 オンハルトの爺さんも嬉しそうに頷いてる。

「お手柔らかに頼むよ。何しろヘタレなもんでねえ」

 肩を竦めてそう言うと、後ろにいたニニが俺の背中に頭突きして来た。

「大丈夫よ、ご主人は私達が守ってあげるからね」

「おう、頼りにしてるぞ」

 座ったまま後ろを向いて、大きな頭を抱きしめて額に俺も頭を擦り付けてやった。

 おお、短い頭の毛も気持ち良いぞ。ああ、癒される。

「こらこら、こいつを甘やかすんじゃないぞ」

 呆れたようなハスフェルの言葉に、また全員揃って大笑いになったのだった。

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