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今後の予定

 リンゴをシャムエル様に小さく切って渡しながら、俺もリンゴを口にした。

「ううん、何度食ってもこのリンゴって美味いよな」

「確かに、あの飛び地の果物は、本当に最高だよ」

 残った芯と皮を駆け寄ってきたラパンとコニーとスライム達に渡してやりながら、最後の一切れを口に放り込んだ。

「で、明日はどうする?」

「どうするかな。お前、料理の仕込みの方はどうなんだ?」

「仕込みは、もう少し作りたい料理があるから、出来ればもう少し日にちが欲しい。それにあと二日、ご飯の配達を頼んでるんだよ。だから、もし出かけても日暮れまでには帰って来ないと」

「ああ、そうなんだ。それじゃあ後二日、お前は料理の仕込みと仕入れを頼むよ。俺達は明日と明後日は例の問題のあった場所の様子を一通り確認をしておこうと思ってる。それなら従魔達も、交代で狩り行けるだろうしな。あ、なんならベリー達にも一緒に行ってもらっても良いかもな」

 こちらも最後の一切れを口に放り込んだハスフェルの言葉に、俺の横で一緒になってリンゴを食べていたベリーとフランマが顔を上げた。

「ああ、そうですね。それじゃあ一通り場所を説明しておきますので、今後の警備の参考にしてください」

 ベリーの言葉に、俺も納得して頷いた。

「そっか、地脈の吹き出し口の場所って、基本変わらないって言ってたもんな」

 確か、一時的に止まったりする事はあるけど、場所は変わらないって聞いた記憶がある。

「それじゃ後二日はそれで行くか。ケンの料理の仕込みが終われば、西アポンのマギラスの店とハンプールのクーヘンの所に寄って、それからオレンジヒカリゴケを収穫に行って、それでようやくバイゼンだな」

 ハスフェルの言葉に、ギイとオンハルトの爺さんも笑って頷いている。

「そうだな。それで良いと思うぞ。しかしもう予定は狂いまくってて、いつまで経ってもバイゼンに辿り着けないような気がしてきたよ」

 肩を竦めた俺の言葉に、三人揃って吹き出し、俺も一緒になって大爆笑になったのだった。




「それじゃあお休み。また明日な」

 笑顔の三人が部屋に戻るのを見送り、机の上を綺麗に片付けた俺は、大きく伸びをして屈伸をした。

「いくら大丈夫とは言っても、なんだか体が鈍ってる気がする。ちょっとは運動もしておかないとな」

 って事で、久し振りに柔軟体操の後、腹筋と腕立てを始め、スクワットや屈伸など、室内でも出来る一通りの基礎運動をこなした。

「やっぱり、ここは冷えた麦茶だよな」

 空になっていた牛乳瓶をアクアに綺麗にしてもらって、そこに麦茶を入れて冷やしていたんだよ。

「運動の後はやっぱりこれだよね」

 ビールはもう今日は二本も飲んでいるので駄目。

 って事で、冷えた麦茶を飲んでから、汗をかいていたので、サクラにいつものように綺麗にしてもらって、もう寝る事にした。



「それでは今夜もよろしくお願いします!」

 既にベッドに横になって待ち構えていたニニとマックスの間に、靴と靴下を脱いで飛び込む。

 タロンが俺の腕の中に勢い良く飛び込んで来て、定位置に収まる。ラパンとコニーは俺の背中側、ソレイユとフォールは顔の横に収まり、フランマはベリーのところへ行ったみたいだ。

「それじゃあ、あかりを消すね」

 サクラの声がして、ランタンの明かりが消されて部屋が真っ暗になる。

「おやすみ」

 ニニのふかふかな腹毛の海に顔を埋めた俺は、小さく呟いて目を閉じた。

「おやすみなさい」

 優しいベリーの声が聞こえたが、もう俺には返事をする余裕は無く、気持ち良く眠りの国へ旅立って行ったのだった。

 相変わらず、もふもふパラダイス空間の癒し効果半端ねえっす。





 ぺしぺしぺし……。

 ふみふみふみ……。

 カリカリカリ……。

 つんつんつん……。

 いつものモーニングコールチームの攻撃に、返事をしようとした俺だったが、どうにも目が開かなくてそのままニニの腹毛に埋もれて二度寝の海に墜落した。



「やっぱり寝たね」

「寝ちゃいましたね」

「相変わらず、朝は起きないねえ」

「それじゃあ起こしますか」

「そうだね。サクッとやっちゃって!」

 シャムエル様の言葉に不意に目を覚ました俺は、慌ててうつ伏せになっていた状態から、腕立ての要領で一気に起き上がった。

「ふぎゃん!」

 何やら柔らかい衝撃があり、ソレイユの怒ったような声がして、俺の後頭部に爪の無い肉球パンチが当たった。

「ご主人、そんなにいきなり起きたら駄目なの。ソレイユが落っこちちゃったじゃない」

 フォールの声に振り返ると、ソレイユが俺の足を伝って上がってきたところだった。

「ご主人。よくも私を落としたわね」

 態とらしくそう言ったソレイユが、いきなり俺の後頭部に飛びかかって来た。そのまま後頭部にしがみつかれて、後ろ足でキックされる。

 当然、ちゃんと加減してくれてるから怪我をするような事は無いけど、地味に痛いって。

「ごめんごめん。痛いから許してくださ〜い!」

 笑ってそう叫んだ俺は、飛びかかって来たソレイユを引き剥がして顔を両手で揉んでおにぎりの刑に処してやった。

 ご機嫌で喉を鳴らすソレイユの鼻先にキスをしてやり、突っ込んで来たフォールとタロンも同じように揉んでやった。

 ううん、どの子も気持ち良くもふもふだね。




 それから、出かける準備をしてハスフェル達と合流して屋台へ向かう。

「あ、その前に今日の弁当を渡しておくよ」

 宿泊所を出る前に思い出して、以前作ってあったカツサンドとタマゴサンド、キャベツサンドの盛り合わせの皿を三人に渡してやった。

「おお、これは嬉しいな。じゃあ有り難く頂いて行くよ」

 三人とも嬉しそうにそう言って受け取り、一瞬で収納してしまった。

 あそこまで簡単に収納するのは、まだ俺には無理。出し入れする動作に紐付けするのが一番確実なので、今のところそれで何とかしている。

「とは言え、今のところ俺が収納して持ってるのって、槍とハンマー、後は水筒とお金くらいだよな」

 鞄の中にはアクアゴールドが入ってくれているので、一応買い出しで買った物は、全部サクラが預かってくれている。

「まあ、出し入れすれば多少は大きくなるって言ってから、たまには訓練を兼ねて自分の方にも収納するか」

 小さく呟いて、たまにはやってみようかなんてのんびり考えていた。




 いつもの屋台で、好きに買い込み食事をした俺は、従魔達を連れて出て行くハスフェル達を見送ってから、屋台でいくつか追加を買い込んで朝市へ向かった。

「キャベツをもう少し買っておかないとな。今日作る料理には、キャベツが絶対必要なんだからさ」

 小さく呟き、キャベツを中心に、これまた色々とかなりの量を買い込んで朝市の通りを後にした。

 途中、他にも幾つか目についたものを買い、またあの老夫婦がやっている豆腐屋さんへ行って、豆腐各種やおから、がんもどきや厚揚げに薄揚げ、それから豆乳を買わせてもらった。

「豆腐A店各種確保だな。もう一軒の豆腐B店各種も買っておかないとな」

 小さく呟いて、もう一軒の量産豆腐のある大型店へ向かった。

 ここでもまた、豆腐各種の追加を大量に購入。よしよし、これで当分の間豆製品には苦労しないぞ。

「あ、味噌と醤油ももう少し買っておくか。どこか良い店ってあるかな?」

 そう呟き、さっきの店のお店員さんに聞いて、おすすめの味噌屋さんを教えてもらった。 

「それじゃあ、味噌と醤油を買ったら、また戻って料理かな」

 教えてもらった店に向かいながら、頭の中では、今日作る予定の料理の作り方を必死になって思い出していたのだった。

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