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本日も買い出しと料理!

 ぺしぺしぺし……。

 ふみふみふみ……。

 カリカリカリ……。

 つんつんつん……。

「うん……起きます……」



 いつものモーニングコールに、半ば無意識返事をした俺は、大きく欠伸をしてそのまま気持ち良く二度寝の海へダイブして行った。



 ぺしぺしぺしぺし……。

 ふみふみふみふみ……。

 カリカリカリカリ……。

 つんつんつんつん……。

「あい……起き……」

 胸元のもふもふなフランマを抱きしめて、顔を埋めながら生返事をした時だった。



 ザリザリザリザリ!

 ジョリジョリジョリジョリ!



 ソレイユとフォールによる超強力モーニングペロペロ攻撃に、俺は文字通り飛び起きた。

「うわあ! ごめんなさい! 起きます起きます!」

 首の後ろと右耳を押さえて転がる。

「ご主人起きた〜!」

「やっぱり私達が最強よね〜」

「ね〜!」

 朝からご機嫌なソレイユとフォールの猛獣コンビを、起き上がった俺は順番におにぎりの刑にしてやった。

 それから、いつものように水場で顔を洗ってサクラに綺麗にしてもらう。

 クロッシェも含めて、スライム達をいつものように水槽に放り込んでやり、部屋に戻った。

 ファルコとプティラが水槽から顔を出して水を跳ね飛ばすスライム達と遊んでいるのを見ながら、のんびりと身支度を整えた。

 そうそう、こう言う平和な朝が良いよな。


『おはよう。もう起きてるか?』

 丁度その時、頭の中でハスフェルの声が聞こえた。

『おう、おはよう。今、丁度準備が終わったところだよ。朝はどうする?』

『それじゃあ外へ行くか』

『了解、じゃあもう出るよ』

 気配が途切れて、声が聞こえなくなる。

「いつもの屋台へ行くけど、お前らはどうする?」

 振り返ってそう言うと、全員、既に出かける気満々で待ち構えてました。

「あはは、じゃあ行こうか」

 ニニの鼻先を撫でてやり、アクアゴールドが入った鞄を背負った。

 しかし、何だか全員ピカピカの毛並みになってるのは気のせいじゃ無いよな。

 うん、たまには拭いてやろう。主に、街にいる間。




 相変わらずの大注目だが、何となく街の人たちが逃げなくなって来てるような気がする。

 チラチラとこっちを見てる人や、興味津々で近寄ろうとしては下がるって感じだ。

「もし勝手に誰かに触られたり毛を毟られたりしたら声を出して良いぞ。だけど、それ以上は駄目だからな」

 一番被害に遭いそうな、ニニとマックスにそう言って撫でてやると、二匹はそれぞれ甘えるように鼻で鳴いた。

「分かってます。人間相手に牙を剥くような事はしませんよ」

「大丈夫だから心配しないでね」

 優しい二匹の言葉に、俺はもう一度順番にしっかり抱きしめてやった。



 到着した広場で、マイカップにコーヒーを入れて貰い、定番タマゴサンドと野菜と鶏ハムのたっぷり入ったクロワッサンサンドを買った。

「おお、このクロワッサンサンドも美味そうだな。後で買っておこう」

 サクサクのクロワッサンサンドを時々シャムエル様にも齧らせてやりながら、広場の端でマックスの脚に座って手早く朝食を済ませた。

「今日はどうするんだ?」

 串焼きを齧っているハスフェルに尋ねると、顔を上げた彼は苦笑いしながら肩を竦めた。

「ベリーは、もう大丈夫だと言ってくれたからな。さて、どうするかな」

 ギイとオンハルトの爺さんも、それぞれ大きな串焼きの肉を朝から食べながら笑っている。

「まあ、賢者の精霊が大丈夫だと言ってくれたんだから、そっちはもう信用して良かろう。となると、俺達の仕事が無くなったな」

 苦笑いするギイの言葉に、二人も笑っている。

「じゃあ俺はもう一日料理かな。もう少し仕込んで置かないと、メインの料理が足りなさそうだからさ」

「じゃあ、俺達はギルドに顔を出して、もう一日休むか。従魔達の食事は?大丈夫か?」

 マックスを見ると、ウンウンと頷いてくれたので、今日はもう一日料理をする事にした。

 広場で三人と分かれて、俺はまた広場の屋台で色々と買い込んでから朝市へ顔を出し、果物や葉物の野菜を中心に、目についた物をガンガン買い足した。

 それから、通りがかりに見つけた油の専門店で、探していた胡麻油を発見。

 しかも、ちゃんと無色透明な太白油と呼ばれる焙煎していない白胡麻で絞った胡麻油と、綺麗な茶色の焙煎した胡麻を絞った、いわゆる定番の香りの強い胡麻油の両方があったよ。もちろん、どちらも大量購入。よし、これで胡麻油で天ぷらも出来るぞ。

 他にも、菜種油や、ひまわり油もあったので、これも大量購入。

 大量の瓶を平然と鞄に入れる俺を見て、店主の爺さんは目をまん丸にしてたよ。

 そして、油屋の隣にあった牧場直営の牛乳屋さんで、チーズももう少し追加で買い込んだ。

 そして見つけたよ。ヨーグルト。

 口の広い瓶に入ったそれも、買えるだけ買わせてもらったよ。ヨーグルトは俺もよく食べてたし、探してたんだよな。これとカレー粉があればタンドリーチキンが作れる。

 満面の笑みの店員さん達に見送られて、店を後にしたのだった。





「さて、それじゃあ何からするかな?」

 一通りの買い物を終えて、部屋に戻った俺は、手を洗って防具を外すと、まずは調理道具を一式取り出した。

「じゃあ、せっかくだからタンドリーチキンを仕込んでおくか。とんかつはまだあるから、後は唐揚げと鶏ハム、それから煮物系を色々作っておくか。がんもどきがあるから、あれをぜひ使いたいな。でもまずは、手間の掛かるタンドリーチキンからだな」

 頭の中で何を作るか段取りを考えながらそう呟いて、サクラに材料を出してもらう。



「あ、そういえば昨日のカレーは出しておかないと」

 今夜は、これでカツカレーにしてやろうと思うので、昨夜鍋ごと冷蔵庫に入れておいたカレーを取り出し、軽く一煮立ちさせておく。




「さてと、それじゃあ始めるとするか」

 まずは大きなボウルに、ヨーグルトとカレー粉、それから醤油と塩、ケチャップと蜂蜜も入れる。

「で、これを混ぜる!」

 調味料が全部入ったところで、泡立て器でダマが無くなるまでしっかり混ぜる。

 一旦冷蔵庫にいれておき、ハイランドチキンの胸肉の塊を取り出す。

 待ち構えていたアクアに、適当な大きさに切り分けて貰い、冷蔵庫から取り出した調味料の入ったボウルに入れてしっかりと馴染ませる。

 それから、深型の大きなバットにチキンを並べて残った漬けタレも上から掛けて広げる。

 さすがにサランラップは無いので、蓋がわりに浅型のバットを上から重ねてから冷蔵庫に入れておいた。

「ねえ、あれはすぐに焼かないの?」

 机の上で、目を輝かせて作業を見ていたシャムエル様の言葉に、俺は笑って冷蔵庫を指さした。

「あのまま一晩冷蔵庫で寝かせるんだよ。そうすればしっかり味がつくからね。明日取り出して、焼いてからサクラに預けるんだよ。冷蔵庫が無いと、こう言う時間を掛けた仕込みは出来なかったからさ」

「ああ、そっか。味の付いた生肉を外に出していたら、気温で傷んじゃうもんね」

「そうそう、だから冷蔵庫が欲しかったんだよ。ハスフェルのおかげで二つも手に入ったから、料理用と飲み物用で使い分けも出来るよな」

「へえ、じゃあ明日を楽しみにしてるね」

 既に味見する気満々のシャムエル様の尻尾を、俺は笑って突っついてやったのだった。

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