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またしても自重を知らない神様軍団……

「さてと、オムレツはこれくらいあれば良いかな。じゃあ後はケチャップライスの量産と……あ、激ウマビーフシチューが有るんだから、牛肉入りのバターライスバージョンも作っておこう。よし!」

 そう呟くと、今度は普通のステーキ用の牛肉を取り出した。

「サクラ、この肉、これくらいにカットしてくれるか」

 まずは牛肉を1センチ角くらいのサイコロ切りにしてもらい、これと玉ねぎだけでバターライスを大量生産する。食糧在庫に炊いてあるご飯は大量にあるので、遠慮無くガンガン使うよ。


 大食いのあいつらでも大丈夫だと思えるまでケチャップライスとバターライスを作ったら、後はホワイトソースも作っておく事にした。

「これで、定番トロトロオムレツのバターライスバージョンと、ケチャップライスバージョンの二種類が出来た。で、そのソースがビーフシチューバージョンと、ホワイトソースバージョンだ。よしこれなら、見栄えもするし良いだろう。ケチャップライスがあれば、シンプル薄焼き卵のオムライスも出来るもんな。ええと、じゃああとはサラダとスープを温めておくか」

 サラダは作り置きがあるから、顔を見てから出してやれば良い。

「じゃあ、スープは何にするかな?」

 在庫を思い出して、シンプル野菜スープと味噌汁を出しておく事にした。味噌汁の具はネギもどきとキャベツもどきだ。これは以前鍋で使ってみたところ、ほぼ白菜と同じだったので、まあ許容範囲かと思っている。

「洋食って、不思議と味噌汁が合うんだよな。それにしても、豆腐とわかめが欲しい。無いのかなあ。味噌も醤油も、酒や味醂まであったんだから、絶対どこかにあると思うんだけどなあ」

 味噌汁を温めながら、懐かしい味を思い出して、ちょっとしんみりしたのは内緒な。



「そろそろ準備完了だけど、あいつらはどうなったんだ?」

 先程から、時折地響きや鳴き声は聞こえるものの、最初の頃ほどの大騒ぎでは無くなっている。ずっと壁向いて作業していたから、背後がどうなってるのか見てないんだよな。

 味噌汁も温まったので、鍋に蓋をして振り返った。



 で、そのまま俺は、またしても固まる事になった。



「ええと、いつの間に異次元に飛んだのかなあ……」

 半ば呆然と呟いたのも無理は無い。

 レオとエリゴールが立ててくれた槍の外には、直径1メートルを余裕で超える巨大な六角柱の透明な水晶、いや、超巨大なジェムが山になって転がっていたのだ。



「ナニコレ……」

「どうだ?今日の我らの働きの成果だぞ」

 呆然と呟くと、得意げに答えたオンハルトの爺さんが、すぐ近くの岩に座って、手にした砥石でこれまた巨大な斧を悠然と研いでいる真っ最中だった。

「これって、もしかしてもしかしなくても……さっきの超デカいブラキオサウルスとかのジェム?」

「そうだ。こっちはブラキオサウルス。向こうはディプロドクス。そっちはアパトサウルスだな。まあ、ここにいたのはほぼこの三種類だったわい」

 確かに、ジェムの形や色合いに若干の違いがあるが、あまり違いが分からない。仮にまとめて置かれていたら、全部同じと言っても良いレベルだろう。

「へえ、俺にはほとんど一緒に見えるけど、違うんだ」

「まあ、大きさはほぼ一緒だな」

「あはは、確かにそうだな。ってか、なんでそのジェムがここにこんなに積み上がってるんだ?」

 スライム達に預けておけば良いのに、わざわざここへ持ってきて積み上げる理由がわからない。

「いやあ、ここまでデカいジェムは我らも初めてなもんでな。皆大喜びして張り切りおったもんで、なんだかとんでもない数になったらしい。で、せっかくだからそのまま積んだらどれくらいになるか、とかシルヴァが言い出しおってな。それなら一度集めてみようとなって、後半はスライム達にここへ運んでもらったんじゃ」

 その非現実的な光景に、俺は堪えきれずに大きく吹き出し、その場にしゃがみ込んだ。

「だから、自重って言葉の意味をちょっとは考えてくれよ。こんなデカいジェム一体どうするんだよ。一個でもクーヘンの店の地下室に入らねえよ! どこに売るんだって話だよ」

 俺でも持てなさそうな巨大なジェム。本気でどうするんだよこれ。



 ……叫んだ俺は、悪くないよな?




「なんだか良い匂いがするんですけど!」

 オンハルトの爺さんとそんな話をしている間に、どうやら一面クリアーしたらしい神様軍団が意気揚々と戻ってきた。彼らだけで無く、従魔達まで全員揃ってドヤ顔だ。

 おいおい、お前らまであの巨大なのと戦ったのかよ……。



「おかえり、なんだかとんでもない事になってるな」

 ビビってるところを見せるのも何だか悔しかったのでわざと平然とそう言ってやると、俺の言葉に神様達全員が笑い出した。

「いやあ、面白かったぞ。久々に本気で暴れさせてもらった」

「全くだ。ここまで全力で暴れたのは久し振りだよ」

 ハスフェルとギイの言葉に、全員が満面の笑みで頷いてる。

「今度から、鬱屈してて気分転換したい時はここにくれば良いのよね」

「ああ、それ良いわね。ここへ来れば、遠慮無く大暴れ出来そうよね」

 シルヴァとグレイは、何やら物騒な事を嬉々として話しているぞ。

「崩落した壁や天井は大丈夫かと思っていたが、どうやら固定化されているみたいだしな」

「我らの全力にもびくともしなかったからな。ここなら安心して暴れられる」

 レオとエリゴールまでもが、嬉々としてこれまた物騒な事を言ってるし。

「良い狩場を見つけたではないか。集めたジェムはケンに引き取ってもらおう」

 オンハルトの爺さんの言葉に、俺は慌てて首を振った。

「待て待て。何勝手に決めてるんだよ。いくらなんでも多過ぎだって」

「別に良いではないか。スライムの収納力は無限大なのだろう?」

 ハスフェルにそう言われてしまい、口ごもる。

「いや、そりゃあそうだけどさあ……」



「貰っておいて、ケン。この大きなジェムは、いずれ必要になると思うからさ」

 なんと言って断ろうかと考えていた時、いきなり神様の声のシャムエル様にそう言われて、俺は驚いて右肩を見た。

 頬を膨らませたシャムエル様がこっちを見ている。



 なんだよその可愛い頬は。突っつくぞ!モフるぞ!



 思考が脱線しかけたが、無理矢理元に戻す。

「ええ? それってどう言う意味?」

「えっとね、私にもよく分かんないけど、何だかそんな気がするんだ。だから、これは売らずに持ってて下さい」

「俺が?」

「うんそう。ケンが持ってて下さい」


 しばらく見つめあっていたが、今回も俺が目を逸らした。


「分かったよ。じゃあこれは売らずに持っておくよ」

「ありがとう。ごめんね、変な事言って。でも、持っていた方が良い気がするんだ。だからお願い」

「分かった分かった。持ってるから心配しないで、って、まあ持ってるのは俺じゃ無くてアクアだけどな。あ!売らないのなら、レインボースライム達に手分けして持たせておいた方が良いくないか?」

「あ。それ良いね。じゃあ、適当に分けて持たせてやってくれる?」

 シャムエル様の言葉に、俺は改めて積み上がった巨大なジェムを見上げた。

「他の皆は、もういらないのか? ハスフェル、ジェムのコレクションは?」

「大丈夫だ。一通り頂いたよ」

「俺達も、それぞれいくつか貰ってるから、遠慮しないでくれよな」

 レオ達の言葉に、笑った俺はスライム達に言って積み上がってるジェムを手分けして飲み込んでもらった。

「ええと、今飲み込んでもらったジェムは、他と違って販売はしないから、俺が言うまでそのまま持っててくれよな」

「了解です!」

 触手を上げて元気にそう言ったスライム達は、役目を与えられてなんだか嬉しそうだ。



「それで、さっきからすっごく良い匂いがしてるんだけど、夕食のメニューは何ですか?」

 シルヴァとグレイがキラッキラの目で持って、両手を胸元に握りしめて聞いてくるので、俺は笑って振り返った。

「もう食べるか? オムライスを作ってみたんだけど」


「食べる!」


 俺の言葉に、シルヴァとグレイだけで無く、全員揃って綺麗に揃った返事をしてくれたよ。

「分かった、じゃあ座ってくれ、オムライスを用意するから」

 全員嬉々として椅子を用意するのを見て、サクラを抱き上げた俺はもう笑いが止まらなかった。

「じゃあ、腹ペコな神様達に、さっき作ったのを出してやるか」

「了解。じゃあどこに出す?」

「ああ待って、机の上にお願いします!」

 慌てて机に駆け寄り、サクラがケチャップライスを取り出してくれるのを見ながら、アクアに手を綺麗にしてもらった。

 じゃあ、オムライスを用意してやるか。

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