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お疲れの夕食とスライム達の名前

「ああ、疲れた。もう今日は何もしないぞ。作り置きを出すから自分でなんとかしてくれ」

 そう言った俺は、マックスの背中に後ろ向きに倒れた。スライム達が総出で守ってくれているから、落ちる心配なんて無いよ。

 そのままぼんやりと、すっかり暗くなった空を見上げていた。



 そう、とにかくこれだけの数のスライム達をテイムするのはもう本当に大仕事だった。

 捕まえた直後は、テンションマックスだったから元気だったんだけどね。移動する為にマックスに乗った直後から物凄い眠気と倦怠感に見舞われてしまい、俺はもう、腕を動かすのも億劫なくらいに疲れ切っているのをようやく自覚したのだった。

 今、ニニの腹毛に潜り込んだら、確実に朝まで熟睡する自信があるくらいには疲れている。

 今にもマックスの背から落ちそうなくらいに疲労困憊の俺を見て、さすがにこのまま移動するのは無理だと判断した神様軍団の提案で、最後のスライムをテイムした場所から少し離れた草地で今夜はキャンプする事にしたのだ。


 俺のテントはハスフェルとギイが組み立ててくれたよ。俺はその間中、マックスの背の上で半分意識を飛ばした状態で転がっていた。




「ケン、テントが出来たぞ。とりあえず中に入って座れよ。机と椅子も出したぞ」

 テントから出てきてたハスフェルの声に、マックスが俺を落とさないようにゆっくりとそのまま巻き上げてもらったテントに入って行った。

 手を貸してもらって座ったマックスの背中から椅子に降りて座る。

 駄目だ。目が開かない……。




「ご主人、夕食は何を出す?」

「そうだな。すぐに食べられそうな……、ああ、ホテルハンプールの惣菜を色々出してくれるか。あとビーフシチューも頼むよ」

 机に突っ伏したままの俺の言葉に返事をしたサクラが、楽しそうに机に次々と取り出して並べてくれた。

 そう、サクラが出してくれたそれは、あのホテルハンプールで作ってもらった料理の数々だ。

 だって、無事に全員が隠しキャラをゲット出来たんだから、ここは豪華料理で祝杯を上げないと駄目だろう。って事で、燻製肉やお惣菜色々、そしてあの激ウマビーフシチューの鍋も置かれた。

 しかし、山盛りの料理を見ても、いつもみたいに温めたり盛り付けたりする元気も無い。

 座ったまま疲れ切って動けない俺を見て、黙って立ち上がったレオが、大鍋から別の鍋にビーフシチューを取り出して温めてくれた。

 パンも各自がオーブンで焼いている。

「あ、そうだ。サクラ、塩むすびとシャケもどきのおにぎりも出してくれるか。米が食いたい……」

 半分寝そうになりながらそう言うと、サクラはちゃんとお皿に乗せたおにぎりを俺の目の前まで持って来てくれた。

「ご主人、大丈夫? 美味しいお水、いる?」

 そのまま目の前で、心配そうに伸び上がって俺を見ている。

「あ、そうだよな、今こそあの美味い水を飲むべきだよな。おお、美味い水の水筒を出してくれるか」

 なんとか顔を上げてそう答える。

「これだね。はいどうぞ」

 ニュルンと伸びた触手が、美味い水の入った水筒を俺に渡してくれる。しかもちゃんと蓋を開けてくれている気配りっぷりだ。

 何だか介護されてる感満載だけど、今は多分、小学校低学年の子供より握力が無いのは分かるので、有り難くお世話になっておく。



 そのまま一気に水を口に含む。



「ああ、この水本当に美味え……」

 数回に分けて、水筒の水をほぼ飲んでしまった。

 ちょっと勿体無いような気もしたが、また増えるって言ってたから気にしない、気にしない。

「おお、ちょっと元気になったぞ。全回復とまではいかないけど、さすがに動きたく無いってのは無くなったな」

 大きく伸びをしてそう言い、とりあえず冷たい緑茶も出してもらった。

 何か腹に入れてからでないと、今アルコールを入れたら、俺、確実に潰れるよ。



 美味い水のおかげで、なんとか動けるようになったので、俺も料理を取ろうと思って手を伸ばしたがレオに止められた。

「取るよ。何が良い?」

「おお、悪いな。ビーフシチューと燻製肉、あとは適当に取ってくれるか」

 頷いたレオが、お椀にビーフシチューをたっぷりと入れてくれた、肉の塊がゴロゴロ入ってる。大きなお皿に、色々綺麗に取り分けてくれた。

 何この至れり尽くせりっぷりは。


 女性陣は、金色スライムになった子を肩に乗せて、満面の笑みで山盛りに料理を取っている。スライムは後ろ姿しか見えていないのに、ドヤ顔な事が分かるって、なんだか複雑だぞ、おい。



 レオにお礼を言って、俺は豪華な夕食を楽しんだ。

 後半はハスフェルが出してくれた白ビールを飲みながら、テニスボールサイズになった七色スライム達を机に並べて、突っついたり合成して金色のスライムになってもらったりして遊んでいた。



「なあ、今って収納や浄化の能力ってどうなってるんだ?」

 俺の腕に、楽しそうにタッチアンドゴーを繰り返して空中浮遊している金色スライムを見て、ふと思いついた疑問を聞いてみた。

「ってか、そもそもこの金色の姿の時の自我って誰なんだ? それとも全く別のスライムなのか?」

 素早く捕まえてやり、上下から両手で包んで軽くおにぎりの刑にしてやる。

「おお、弾力がサクラやアクアだけの時よりも増している。やや硬めのプリンプリンだよ」

 笑ってこね回していると、伸び上がったスライムが得意そうに胸を張った……多分。



「今はアクアがいるよー! だけど他の子もいるから、呼んでくれたら交代するからね」

「へえ、外面はアクアなんだ」

 もう一度撫でてやると、ちょっと伸びたスライムがパタパタと羽ばたきながら俺の目の前まで飛んできて止まった。

「じゃあ、この姿の時はアクアゴールド、な訳だな」

 笑って突っついてやると、くるっと一回転した金色のスライムは、得意気に伸び上がった。

「荷物の出し入れも、全部出来るからね。名前を呼んでから言ってくれたら、サクラも、他のアルファ達も今の状態で荷物の出し入れが出来るんだよ」


 俺には分かる。今のはドヤ顔だ。


「へえ、そうなんだ。じゃあ、地下洞窟に入ったら、この状態でいてもらっても良いかもな」

 笑って目の前のアクアゴールドを突っついてやった。

 捕まえた他のスライム達にも、シャムエル様が収納と浄化の能力を授けてくれているのだ。だけどこれは、予備みたいなもんだと思っている。

 でも、場合によってはアイテムの種類で分けて、別の子に持っていてもらうのも有りかもな。



「しかし、名前を付けるのには苦労したよ学生時代に妙な事覚えてると、役に立つもんだな」

 小さく呟いた俺は、目の前のアクアゴールドを見て笑った。


 そう、何しろ名前だけでも俺が七匹、ハスフェルとギイが八匹ずつ。レオとエリゴール、それからオンハルトの爺さんの三人がそれぞれ九匹ずつだよ。

 シルヴァとグレイに渡した子達で、数字のストックは使い果たしちゃったので、考えた結果、俺のスライムから順番にギリシャ文字の読み方で命名した。

 絶対忘れるから、ちゃんとメモは取ってある。


 つまり俺のスライムはオレンジがアルファ、青がベータ、緑がガンマ、赤がデルタ、黄色がイプシロン、紺がゼータ、紫はエータって付けたよ。


 そのままハスフェルのスライムにも、オレンジにシータ、青にイオタ、緑はミストがいるので飛ばして、赤がカッパー、黄色がラムダ、紺がミュー、紫がニュー、それからクリアーがクシー、クリアーピンクがオミクロンだ。


 ギイのスライムにも、オレンジがパイ、青はリゲルがいるのでスルーして、緑がロー、赤がシグマ、黄色がタウ、紺がウプシロンで紫がファイ、クリアーがカイで、クリアーピンクがプサイだ。


 そのままレオのスライムが、オレンジがオメガ。

 はい、ここでギリシャ文字終了のお知らせ。悩んだ挙句に、ドイツ語のアルファベットに飛んだ。

 青がアー、緑がベー、赤がツェー、黄色がデー、紺がエー、紫がエフでクリアーがゲー、それでクリアーピンクがハーだ。


 エリゴールのスライムが、オレンジがイー、青がヨット、緑がカー、赤がエル、黄色がエム、紺がエヌ、紫がオー、クリアーがペーで、クリアーピンクがクーだ。


 オンハルトの爺さんのスライムが、オレンジがエル、青がエス、緑がテー、赤がウー、黄色がファオ、紺がヴィー、紫がイクス、クリアーがユプシロンでクリアーピンクがツェット。最後はドイツ語のアルファベットの最後ギリギリで終わった。


 よっしゃ、足りたぞ!

 と、命名が終わった瞬間、叫んだ俺は間違ってないよな。

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― 新着の感想 ―
[一言] もうレオと結婚しちゃえよ……
[気になる点] 男性神たちに一匹いたはずよねスライム 女性神たちがほしいって言った後についでにテイムした 名前アインスからフュンフまでのはず
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