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夕食と今後の予定

「ジェムの整理はもう終わり? お疲れさま。ねえねえケン、私、お腹が空きましたー!」

 シルヴァが可愛く笑顔を作って、両手を胸元で握って俺を覗き込む。

「はいはい、沢山あるから食べてくださいよっと」

 そう言って笑って頷くと、サクラからハンバーグとチーズ入りハンバーグ、自分が食べたかったので唐揚げ二種類も、それぞれ皿ごと取り出して並べる。

 それからサイドメニューの生野菜のサラダ、温野菜と切ったトマト、フライドポテトも取り出して横に並べておく。

 あとは丸パンと食パンを出しておき、横に簡易オーブンもセットしておけばいい。パンを焼きたい人はセルフでどうぞ。

 ドリンクは、コーヒーと紅茶、俺用に緑茶も取り出して並べておいた。お酒はハスフェル担当なのでここには出さないよ。

 ご飯は、自分が食べたいのでシンプル塩握りを並べておく。


 準備完了。そのまま好きに食ってもらうと思ったが、不意にある事に気が付いて慌てた。


「あ、仕込みでお皿を全部使っちゃったから、皆に使ってもらう皿が無いぞ」

 今までは、あの親子の住んでいたアルブル村で大量買いした木のお皿で食べてもらっていたんだが、大量に料理を作ったおかげで、ほぼ空いている皿が無い状態な事に気が付いた。

「ああ、それなら自分用の皿を出すよ。皆持っているから大丈夫だぞ」

 笑ったハスフェルがそう言って、俺が旅を始めた頃に使っていたような金属製の蓋付の鍋セットを取り出して見せてくれた。それを見た他の皆も、それぞれ似たような一人用の鍋セットを取り出した。

「じゃあ俺も、久し振りにこれで食べるか」

 そう呟いて、サクラから久し振りに携帯鍋セットを出してもらい、手早く分解する。

 一人用の大小の鍋と蓋がセットになっていて、鍋の蓋はそのままお皿として使えるようになっているのだ。

 浅い方の鍋に唐揚げとフライドポテトを取り、深い方の鍋には生野菜のサラダを取る。ドレッシングは適当に作ったフレンチドレッシングを振りかける。

 フレンチドレッシングは簡単だ。

 オリーブオイルとお酢と塩胡椒とお砂糖があれば出来るんだからな。混ぜるだけだから、子供でも出来るぞ。

 実は小学生の時に、初めての調理実習で俺が作ったのがフレンチドレッシングだった。

 同じ班になった友達が、ほうれん草のバター炒めを熱い熱いと大騒ぎしながら作っている横で、俺はひたすらドレッシングを混ぜ続けてたんだよ。

 俺も、火を使ってほうれん草のバター炒めを作りたかった。ちょっと切ない思い出だ。

 最後に、鍋の蓋には塩握りを取ってきた。


 椅子に座って、料理を取ってきたお皿を並べる。

 飲み物は緑茶を入れておく。コーヒーは食後にゆっくり飲もう。



 テントの外は、いつの間にかすっかり暮れて真っ暗になっているが、神様達があちこちに灯してくれたランタンのおかげで、テントの中は真昼みたいに明るい。

 嬉々として、料理を山盛りに取る神様達を眺めながら、俺はおにぎりと唐揚げ定食を堪能した。

 ハンバーグは大好評で、チーズ入りハンバーグは出した分があっと言う間に無くなってしまい、サラダを取っていて出遅れたグレイとシルヴァの女性コンビが、空になったチーズ入りハンバーグのお皿の前で無言で拗ねていたので、慌てて追加を出したよ。

「はい、まだまだあるから大丈夫ですよ。無くなってたら言ってください」

 新しい皿を出してやると、目を輝かせた二人からお礼を言われた。

 うん、美女の笑顔は最高だね!



 食後のお茶を飲んでいたら、真っ暗な中を猫族軍団が狩りから戻って来た。

「おかえり。お腹いっぱいになったか?」

 駆け寄って来たので、順番に大きな頭を撫でてやる。

「ただいまー。この辺りも生き物の気配に満ちてるから、狩りが楽で良いわ」

「本当だよね。もうお腹いっぱい」

 俺の声に嬉しそうにソレイユとフォールがそう言い、テントの外に転がって身繕いを始めた。

 タロンは小さくなって俺の足元に来て、そのまま膝に乗った。

「はいはい、俺はタロンの椅子だもんな」

 笑って頭や背中を撫でながら、残りのお茶を飲み干した。



「明日には街に戻るんだよな? 頼んでいた肉を受け取って来ないと」

「そうだな。今日の目的の従魔達の狩りと、クーヘンに渡す分のジェムの整理は出来たから、明日、街へ戻ったら、後は何をするかな」

「それなら、明日、肉をもらったら、追加の料理をするよ。グラスランドチキンも美味しいんだろう? グラスランドブラウンブルや、グラスランドブラウンボア、おまけにそれの亜種もあるんだからさ。それに、野生の牛や猪の肉なんてそう手に入るものじゃ無いから、どんな風なのかちょっと興味あるんだよな。肉を引き取る時に、調理の方法とか聞けるかな?」

 汚れた食器や空いた皿をサクラに綺麗にしてもらいながらそう言うと、こっちを見た皆の目が光った。

「おお、グラスランドチキンだけじゃなく。ブラウンブルとブラウンボアまであるのか。そりゃあ楽しみだな」

「猪肉は、ちょっと個体によって独特の臭いが有るのと、脂身の部分が塊である位だよ。基本的には豚肉と同じで良いよ」

 こっちを見たレオが、嬉しそうに教えてくれる。

 おお、さすがは大地の神様。野生肉(ジビエ)の調理法までご存知とは、恐れ入りました!

「臭みがあるのか。じゃあ調理の前に、下拵えでお酒で漬けておくか。あ、牡丹鍋とか良いんじゃね? 味噌はあるから作れるぞ。それなら街へ戻ったら、生姜を探そう。あれがあれば臭み消しになるからな」

 トンカツ屋で店長が言ってた、肉の臭みを消す方法を必死で思い出しながら明日の段取りを考えていた。

「生姜? これだろう。持ってないのかい?」

 レオがそう言って、突然大きな塊を取り出してくれた。おお、生姜の塊なんて持ってたんだね。

「え、もらって良いの ?」

「もちろん、いるんでしょう?」

「ありがとう。これがあれば生姜焼きも出来るし、佃煮とかも出来るな。よしよし、ご飯の友がまた一つ増えるぞ」

 後は何を作ろうか考えてブツブツ呟いていたら、グレイとシルヴァが二人揃って俺に手を上げている。

「食べたい!食べたい!」

「猪肉料理、食べたい!」

「グラスランドチキンも食べたい!」

「野生の牛のステーキも食べたいー!」

 それを見た周りの連中も、一緒になって手を上げて食べたい食べたいと言い出した。

「分かった、分かったからちょっと落ち着こうか。ってか、お前ら、今食ったところだろうが」

「明日のお腹は、また減るもんね」

「そうなのよね。この身体って、維持するのにかなりの量を食べなきゃ駄目みたいなのよね。人間の身体って、本当に非効率なのね」

 しみじみとグレイがそう言って腕を組む。



 ……おお、胸が……ご立派な胸が、素晴らしい事になっております。



 見事な胸の谷間から無理やり視線を引き剥がして、タロンを抱き上げて視界を遮る。

 すっかり俺の膝の上で寛いでいたのに、突然抱き上げられて嫌そうに身をくねらせたが、もう一度しっかり抱き直してやると、そのまま安心したのかまた寝てしまった。

 よしよし、ここはもふもふに顔を埋めて誤魔化しておこう。



 しかし、まさかのこんなところで大食いの理由判明。

 モデル体型のグレイさんでさえ、ハスフェル達ほどでは無いけど相当食ってるのはそういう意味があったんだな。

 きっと神様達は、よく分からんが消費するカロリーも俺達とは桁が違うんだろう。

 まあそれなら致し方あるまい。

 って事は、もっと料理を仕込んでおかないと、噂の新しい地下洞窟に入るのには心許ないな。

 よし、街へ戻ったらまた改めて大量に料理を仕込もう。


 セレブ買い、再びかな?

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