解決策とテイムの終了
「俺は、何故かは分からないが見つけたスライムを叩こうと思ったら空振りしちまった」
「俺もだ。ちゃんと見て剣を振ったつもりだったんだけどな」
困ったようにそう言ってナフさんとダイさんが顔を見合わせている。
「俺は捕まえはしたんだが、全く言う事を聞いてくれなくて、伸びて顔に張り付いてきたからつい焼いちまったよ」
指先から小さな炎を出しながら、ドワーフのクラウスさんが残念そうにそう言って首を振る。
「俺もだ。捕まえたが全然言う事を聞かなくて、それどころかこっちに巻き付いて攻撃してきたから、これで焼いたよ」
そう言って手にした小さな縦長の小物を見せてくれた。
少し形は違うけど、あれは俺の元いた世界では世界的にアウトドアでは定番の、風が吹いてもすぐに火がつくオイルライターだった、ジッポーライターによく似ている。
ちなみにこっちの世界でも、あれはそのままライターって呼ばれている。
基本的な構造も同じで、蓋を開けてスイッチを押せば火花が飛んで火がつくだけのシンプルな構造だ。
もちろん燃料は、こっちの世界ではオイルではなくてジェムだけどね。
パロットさんとユーニンさんも同じだったらしく、パロットさんは指先に小さな火を灯し、ユーニンさんはライターを手に揃って困ったように顔を見合わせている。
「ええと、もしかして何か問題がある?」
ここはシャムエル様に確認すべきだよな。
いつの間にか俺の右肩に座っていたシャムエル様が、俺の言葉に意外なくらいの真面目な顔で頷く。
「ううん、今の彼らは、まだテイマーでしかないね。これに関しては、この世界の設定に関する部分に関わってくるから、ちょっとあまり詳しい説明は出来ないんだけど、今はまだ無理、としか言えないね。だからとにかく今は、テイムした子達と仲良くしてもらうしかないね。以前にもちょっと説明したけど、従魔達から寄せられる信頼と愛情が大きければ大きいほど、そしてご主人が従魔達を愛して可愛がれば可愛がるほどに、その人のテイマーとしての能力が少しずつだけど上がっていくんだ。だから、早いランクアップを無理に望まずに、今テイム出来た子達を、まずはちゃんと愛して可愛がってあげて、としか言えないね」
少し困ったように頬を膨らませたシャムエル様の言葉に、以前バイゼンにいた時にそんな話を聞いたのを思い出した。
「そっか、じゃあ無理にランクアップを焦るんじゃあなくて、今いる子達とちゃんと向き合っていくのが先って事だな」
俺の言葉に、頬をぷっくらと膨らませたシャムエル様がうんうんと頷く。
ああ、その頬を俺に突っつかせてくれ!
でもそんな事をしたら間違いなく空気に張り飛ばされて吹っ飛ぶのが目に見えているので、グッと我慢してエアなでなでするに留めておいたよ。
「ええと、もしかしたらまだ皆さんは魔獣使いになるには経験不足なのかもしれませんね。個々によって能力には差があるみたいだから、そういう事もあるみたいです。なので無理をせずに、まずは今いる子達をしっかりと愛してあげてください。ご主人がちゃんと従魔達を愛して可愛がれば、従魔達はそれ以上の愛情と信頼を寄せてくれます。さっき説明しましたが、従魔達にとってご主人の存在は絶対ですからね。そうやって相互の関係が良くなれば良くなるほど、テイマーの能力も上がって、従魔達もどんどん賢くなって様々な事を覚えてくれるようになります。なので焦りは禁物ですよ」
少し考えて、戸惑う彼らにちょっと詳しい説明をしてやる。
「そうか。俺達のテイムの限界値はアレクよりも少なかったわけか。確かに話を聞く限り焦りは禁物だな。では、まずはテイム出来たこの子達をしっかり可愛がってあげる事にしよう」
俺の説明で納得してくれたらしく笑ったクラウスさんの言葉に、テイム出来なかった皆も笑顔で頷いてくれた。
魔獣使いにしてあげられなかったのは残念だけど、あとはもう本人の努力次第だって事だね。
「じゃあ、俺達はここからは下がってスライム狩りをする事にしますので、スライムの色集めをする皆さんは、どうぞテイムを続けてください」
笑ったクラウスさんの言葉に、頷いたナフさん達も武器を手に下がる。
って事で、ここからは色集めの為のテイムが始まり、俺は無事にパステルオレンジのスライムをテイム出来たのだった。
ちなみに名前は、ランタナと付けた。オレンジ色の小さな花が塊で咲く低木樹だ。
これは、会社の事務所のビルの庭に植っていて、木の名前を書いた名札が立っていたから俺でも知っていたんだよ。
一応、ハスフェル達もそれぞれ二匹ずつテイムしてやったから、俺はこれで一日八匹。
まあ、俺の上限まではまだまだ余裕はあるけど、一応皆には最高でも一日十匹程度って説明をしているので、俺も今日はここでテイムは終了しておいた。
さて、一休みしたら場所を変えて海鮮バーベキューの昼食だな。
持ち込みの具材は何があるのか、実はちょっと楽しみなんだよな〜〜。
密かにワクワクしながら、アクア達が散らばったジェムを新人さん達のスライム達と一緒に集めるのをのんびりと眺めていたのだった。
2026年3月12日、アース・スターコミックス様より発売となりました。
「もふもふとむくむくと異世界漂流生活〜おいしいごはん、かみさま、かぞく付き〜」第六巻です。
いよいよ、早駆け祭りが始まります!
そして、お祭りの後のあれやこれやからクーヘンのお店が開店まで。
怒涛の展開な第六巻を、どうぞよろしくお願いします!
2026年2月13日、アース・スターノベル様より発売となりました「もふもふとむくむくと異世界漂流生活」十三巻の表紙です。
もちろん今回も、れんた様が最高に可愛いくて素敵な表紙と挿絵を描いてくださいました!
冬のバイゼンでの冬祭り、スライムトランポリンでまたしても大騒ぎです!
どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m




