まずは説明から!
「大切な従魔を触らせていただき、ありがとうございました! いつか、これくらい素晴らしい従魔を手に入れられるように頑張ります!」
名残惜しそうにゆっくりとマックスから離れたザックさんが、満面の笑みでそう言って俺に頭を下げてくれた。
「はい、魔獣使い目指して是非とも頑張ってください。もちろん、お手伝いしますよ」
「いやあ、素晴らしい撫で心地だったよ。大事な従魔を撫でさせてくれてありがとうな。実を言うと、流れの冒険者だった現役時代に、仲間達と郊外でのジェムモンスター探しをしていた時に野生のリンクスと遭遇した事があってな。本当に、あれはとんでもなく強かったんだ。冗談抜きで、これは死んだなと思ったほどだったよ。手持ちの貴重な万能薬は全部使い切るし、愛用の剣は折れるし散々だったんだ。なんとか逃げ切る事が出来たのは、今でも奇跡だったと思っているよ。それなのに今、こうしてリンクスに当たり前のように触れるなんて、魔獣使いとは凄いのだな。本当に夢を見ているみたいだよ……」
若干遠い目になったヴォイスさんの言葉に、アレクさん達も苦笑いしている。
「それは大変でしたね。ヴォイスさんも頑張って魔獣使いを目指してください。もちろん、みなさんもですよ〜〜」
笑った俺の言葉に、スライム達を引き連れたアレクさん達も笑顔で拳を振り上げたのだった。
そのまま全員揃って街を出たところでそれぞれの馬と従魔達に飛び乗り、まずは街道をしばらく進んでから揃って街道を離れて森の中を進み、ヴォイスさん達の案内で昨日とはまた違うスライムの出現場所に案内してもらった。
聞けば、街に比較的近い位置に数箇所スライムの湧く場所があるらしい。
「今まで、スライムの色なんて気にしていなかったが、確かここには、クリアーとピンククリアー以外は白っぽいピンクと黄色が出たはずだぞ」
「ちなみにもう一箇所、ここから少し離れたところに白っぽい赤とオレンジの出る場所があるぞ」
ヴォイスさんに続き、ザックさんが笑ってそう教えてくれる。
「ああ、俺達が教えようと思っていたのに!」
「先に言われた!」
わざとらしくアレクさんとパロットさんが頭を抱えてそう叫び、全員揃って大爆笑になったのだった。
ここで一旦スライムの出現場所から離れた俺達は、まずは今日が初めてのテイマー講習会に参加するヴォイスさんとザックさんに前に出てもらい、いつもの新人さん達にするテイムのやり方に始まり、あえて具体的な数は言わずに一日のテイムには上限があるって話や、従魔達と主人の関係なんかを一通り説明していった。
その場に座って真剣な様子で俺の話を聞いてくれたヴォイスさんとザックさんは、主人に捨てられた従魔が辿る最後の話や、セーブルの話やヤミーの話を聞いた時には揃って涙ぐんでいた。
一通りの説明を終えたところで、改めて、それでもテイマーになりたいかの確認をする。
もちろん二人とも、テイマーになりたいと即答してくれたし、テイムした従魔は絶対に捨てたりしないし、安易に売買したりもしない、生涯ずっと一緒だと言ってくれた。
それからヴォイスさんはギルドマスター的視点から、従魔の売買に関して、ギルドからなんらかの制限をかけた方がいいかもしれない、とまで言ってくれた。
まあ、これに関してはこの街だけの話に留まらないので、今後改めて、他の街にいる知り合いのギルドマスター達とも相談すると言ってくれたので、この件に関してはまずはお任せする事にした。
もちろん、何か言われたら喜んで協力する事は伝えておいたよ。
「ところで、ダイさん達やユーニンさん達は、昨日はスライムを二匹テイムしたところで止めましたが、今はどうです?」
「今のところ、特に体調に問題はありません。俺達も、せっかくですから違う色のスライムをもっとテイムしたいって話していたんです」
「目指すは、五匹テイムして魔獣使いの紋章を手に入れる事です」
俺の質問に、顔を見合わせたダイさん達が揃って笑顔になり、ダイさんとユーニンさんが自分のスライム達をおにぎりにしながらそう言って頷き合っている。その横では、ナフさんとクラウスさんも揃って笑顔で頷いている。
どうやらテイム数はリセットされているみたいだし、彼らもまだテイム出来るみたいだ。
「スライム五匹で魔獣使いってのもなんだが、別に構わないよな」
同じくスライム達をおにぎりにしている苦笑いしたアレクさんの呟きに、全員揃って「もちろん構わないぞ!」と見事なまでに声が重なり、その場は大爆笑になったのだった。
よしよし。リナさんやシャムエル様から聞いた昔の魔獣使いの悪しき慣習の一つである、スライムを馬鹿にする感覚は、どうやら払拭出来たみたいだ。
スライムは役に立つんだぞ。絶対に、連れていて恥ずかしくなんてないし、何より可愛いんだからな!
思わず拳を握って力一杯脳内で叫んだ俺だったよ。
よし、それじゃあ新色のコンプリート目指して、俺達も頑張ってみようじゃあありませんか!
2026年3月12日、アース・スターコミックス様より発売となりました。
「もふもふとむくむくと異世界漂流生活〜おいしいごはん、かみさま、かぞく付き〜」第六巻です。
いよいよ、早駆け祭りが始まります!
そして、お祭りの後のあれやこれやからクーヘンのお店が開店まで。
怒涛の展開な第六巻を、どうぞよろしくお願いします!
2026年2月13日、アース・スターノベル様より発売となりました「もふもふとむくむくと異世界漂流生活」十三巻の表紙です。
もちろん今回も、れんた様が最高に可愛いくて素敵な表紙と挿絵を描いてくださいました!
冬のバイゼンでの冬祭り、スライムトランポリンでまたしても大騒ぎです!
どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m




